【終活】寒い冬はお風呂に注意!体に負担がかからない入浴の仕方は?

大寒波が日本を直撃した2018年。
2月末になろうとしている現在でも、
未だ朝と夜は上着を着ていないと寒い気温です。

そんな冷えた身体を温めるのに、一番に思い浮かべるのはお風呂だと思います。
しっかり湯に肩まで浸かって体の芯から温まる…。
そんな冬のリラックスタイムですが、
お風呂の入り方に気をつけないと、
体調が急変して亡くなる恐れがあることをご存知ですか?

今回、終活世代の方々には要注意である、
寒い夜のお風呂の危険性と対策についてお話します。

増える突然死。浴槽での溺死者数増加。

厚生労働省の人口動態推計によると、
2004年での自宅の浴槽での溺死者は、2,807人でしたが、
2016年には5,138人と1.8倍に増加しています。
そのうち65歳以上が9割、85歳以上が半数を占め高齢者の多さが目立っています。
さらに入浴中の心筋梗塞や脳卒中による死者も含めると、
推計17,000人〜19,000人が毎年亡くなっています。

なぜ、お風呂に入るだけなのに心筋梗塞や脳卒中になってしまうのでしょうか。
その理由には、外気の気温と入浴の仕方にあります。

本当は怖い「ヒートショック」とは?

冷え込んだ夜の脱衣所や浴室で裸になることで体表温が急速に降下。
寒さで血管が収縮することで、
血圧が急上昇し心筋梗塞や脳卒中を招きます。
また、冷えた体で熱い湯に浸かることで血管が拡張し血圧が急降下。
その結果浴槽内で失神し、水没して溺死してしまう恐れがあるのです。
これらの急激な温度差によって、体に及ぼす影響のことを「ヒートショック」と呼びます。
このヒートショックが起こりやすいのが、体の弱い高齢者なのです。

しかし、気をつけなければならないのは高齢者だけではありません。
糖尿病や高血圧等の持病がある人、
コレステロール値が高くメタボリック症候群、あるいはその予備軍の人なども、
急激な血圧の変化でヒートショックになってしまう恐れがあります。
特に中高年の男性はこれらの健康状態であることが多いので要注意です。
晩酌の後お風呂に入ってしまうこともリスクが上がり危険です。
元気だから大丈夫だと思って油断しないことが大切です。

ヒートショックの発生は健康面の問題だけでなく、
住まいの問題から起きることもあります。
例えば、タイル張りで窓のある浴室は熱が逃げやすく、寒くなりやすいです。
築年数の長い家は隙間風が入ったり、壁に断熱材が入っていないことがあります。
こうした住まいでは、常に体が冷えやすく入浴の時に温度差が激しくなる場合があるようです。
ご自宅のお風呂がどういう構造なのか、改めて確認してみるのもよいでしょう。

ヒートショックを事前に防止するには

ヒートショックにならないためには、まず入浴時の温度差をなくすことが大事です。
手軽に取り入れることのできる対策方法を紹介します。

ヒートショック対策方法

1.脱衣所を暖める
脱衣所にファンヒーター等の暖房器具を設置。
裸になったときの急激な寒さを和らげ、血圧の急上昇を防ぎます。

2.湯船のフタを開けておく
入浴の5分前から浴槽のフタを開けておきましょう。
湯気が上がるので浴室全体が温かくなり、
お湯の温度も若干下がるので、お風呂に入った時の温度差を和らげます。

3.シャワーでお湯をはる
湯船のフタを開けておく理由と同じで、お風呂のお湯をシャワーで張るのは大変効果的です。
湯気で浴室が温まる上に、お湯の温度も下がります。

4.熱いお湯に長く浸からない
熱いお湯とは、42℃以上のお湯のことを言います。
長湯してしまうとのぼせてしまい、頭痛や吐き気を引き起こす場合があるので危険です。
特に高齢者は、お湯の温度は41℃以下に設定し、10分程度で上がるようにしましょう。
室内や脱衣所とお風呂の温度差が10℃以上開くとヒートショックのリスクが高まるため、
一般的に41℃なら、10℃以上開く危険が少なくなります。

6.夕食前に入浴する
夕食前に入浴すると、比較的体の疲れが出ていない状態でお風呂に入れます。
食事をすることで血圧が下がりその状態で入浴すると、
ひどい場合は失神する恐れがあるため、
食事を取る前にお風呂に入るか、食後はしばらく休んでから入浴しましょう。

7.高齢者には一番風呂をすすめない
一番風呂は浴室が冷えきっていて、お湯も入れたてで熱いです。
しかし2番目以降なら、
浴室は温まっていますし良い湯加減になるのでヒートショックになりにくいでしょう。

8.浴槽からはゆっくり出ましょう
入浴中はお湯により体に水圧がかかっているので、
その状態から急に立ち上がると、水圧がなくなって圧迫されていた血管が一気に拡張。
結果、脳に行く血液が減り、貧血状態になって一時的な意識障害を引き起こす可能性があります。
こういった症状は大変危険なので、湯船からはゆっくりと出る事を心がけましょう。

以上がヒートショック対策方法です。
その他にもカンタンな対策としては、
浴槽に入る前に手足など体の末端からかけ湯をしてお湯に体を慣らしていくのも効果的です。
まずはすぐにできそうなものからはじめてみてはいかがでしょうか?

まとめ

「世界一の風呂好き」とされる日本人。
温かいお風呂にゆっくり浸かりたいという気持ちがあるのはもちろんだと思います。
毎日安心してお風呂に入るためにも、
今回ご紹介したヒートショック対策をぜひ取り入れてみてください。
健康的な終活ライフが送れるよう、できることからはじめていきましょう。

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【終活】高齢者は要注意!身体のサイン、オーラルフレイル②

前回お話した、口の衰えを示す「オーラルフレイル」。
今回は、増加傾向にある一人暮らしの高齢者が、
自分では気づきにくいフレイルチェックをどう行えばいいのか、
そして一人で日頃から行えるオーラルフレイル対策をご紹介して行きます。

食事中の高齢者を観察して、フレイルチェック

家族や知人と食卓を囲む人は、多様な食品を口にしたり、
会話も弾むことで唾液の分泌も多くなりオーラルフレイル予防につながります。
しかし、一人暮らしの方だと同席者もなく、
好きなものだけを黙々と食べてしまいがちになり、
口の状態に関心を払いにくくなってしまいます。

前回も紹介した千葉県歯科医師会専務理事で歯科医の久保木さんは先ほどと同じように、
「家族らができるだけ高齢者と食事を共にして、
オーラルフレイルの兆しがないか確認する」
ことを勧めていますが、
肉親以外でも知人や日頃接する人たちが、
オーラルフレイルになっていないか目を配ることも予防になる
と言います。
高齢者と食事を一緒にする機会があった時には、
食べ方などを良くみるとよいでしょう。

また、東京都健康長寿命センターの平野浩彦歯科口腔外科部長は、
「かかりつけの歯科医で定期的に口の健康チェックを受け、
メンテナンスをしっかり続けることが大事」
と強調します。
そして、誰かにチェックしてもらうだけでなく日頃の行動により、
自分でオーラルフレイルの予防をすることもできます。

では次に、日頃からできるオーラルフレイル対策を紹介したいと思います。

日頃からできる「50代からの」オーラルフレイル対策

オーラルフレイルを防ぐためには、平野部長は、
「50代から意識したほうがいい」と話します。
予防に効果があるのは食事の際に口の筋肉をしっかり使うことです。
体の筋肉と同じで、食べる力も意識して使わないと衰えてしまいます。
柔らかい食べ物を食べると主に前歯しか使わず、
噛みしめるための筋肉が衰えてしまうので、
食べ物はしっかり奥歯で噛むことが大事です。
また、食べやすさで食べ物を選んでしまうとオーラルフレイルにつながってしまいます。
口の筋肉を使えるように少し硬めの食べ物を選ぶと良いでしょう。

口の体操も効果的です。
その一つとして、
「パ」「タ」「カ」の3音を短時間でどれだけ細かく発音できるかを測る、
「パタカテスト」
というものがあります。
この3音はそれぞれ、
・「パ」…食べ物を口からこぼさない動き
・「タ」…上あごにしっかりくっつく舌の動き(食べ物を押しつぶす・飲み込む)
・「カ」…誤嚥せずに食べ物を食道へと送る筋肉の動き

を意味しており唇や舌の機能を強化できると共に、
食べるための機能が正常かどうかを簡単にチェックすることができます。
千葉歯科医師会は3音を含めたフレーズ
「パンダノタカラモノ」を繰り返すことも勧めています。
時間の空いた時などにやってみると良いでしょう。
その他にも本や新聞などを口に出して読んでみたり、
カラオケで歌ったりするのも、口の筋肉を鍛えるのに効果的です。

どうでしたか?オーラルフレイルは早い段階で予防していくことが大切です。
オーラルフレイルを予防することは、健康寿命を延ばすことにもつながります。
日頃から本人や周囲がより一層健康に気を配り、
終活ライフを元気に過ごせるようにしましょう。

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【終活】高齢者は要注意!身体のサイン、オーラルフレイル①

終活をはじめるにあたって、身体のメンテナンスをしっかり行う事も重要なポイントです。

皆さんは滑舌や、食べこぼし、飲み物でむせる
といったお口のトラブルで悩んだりはしていませんか?
それは身体が弱りはじめているサインかもしれません。

健康にイキイキした終活を進めるために、
これらのサイン「オーラルフレイル」について今回は考えましょう。

「オーラルフレイル」とは?

まず「オーラルフレイル」とは、
英語で「口腔」を意味する「オーラル」、「虚弱」を意味する「フレイル」、
この二つの単語を掛け合わせたもので、「口を介した身体の衰え」という意味です。
口の衰えは身体全体に加え、精神面も含めて健康と大きな関わりがあります。
すなわち「オーラルフレイル」は老化のはじまりを示すサインなのです。

オーラルフレイルになってしまうと
物が噛めなくなり、食事が喉に詰まりやすくなるため、
必然的に柔らかいものを食べるようになってしまいます。
するとさらに口の筋肉が衰え、いっそう物が噛めなくなるという
悪循環に陥ってしまいます。
食べるということは、生きていく上で欠かせないものです。
オーラルフレイルが生活に支障をきたすことは明白でしょう。

オーラルフレイルと歯周病の関係性

オーラルフレイルの影響で口の筋肉が衰えると、
食べ物をよく噛まずに食べてしまうようになります。
よく噛まずに食べてしまうと、唾液の分泌が低下してしまいます。
唾液の分泌が低下することで、
口腔内にある食べ物のかすが長い間残ってしまい、
歯周病が非常に発症しやすくなってしまいます。
歯周病の直接的な原因は「歯垢(プラーク)」です。
歯垢とは、歯と歯茎の隙間の溝に溜まった最近の塊のことで、
歯垢が出す毒素によって歯茎に炎症が起きて歯周病になります。
歯周病になってしまうと口の中がネバネバしたり、
口臭が気になったりなど様々な症状が起きてしまいます。
最悪、抜歯を選択せざるを得ない状態になる可能性もあります。
そうならないためにもオーラルフレイルのケアが大切です。
では、どのようにすればオーラルフレイルの悪化は防ぐことができるのでしょうか?

オーラルフレイルの悪化を防ぐには

オーラルフレイルの悪化を防ぐためには、
以下のようなオーラルフレイルの些細なサインに気づくことが大事です。

これらの症状が見当たる方は要注意です。

しかし日頃から注意していないと、
本人もその周囲の家族すらもサインに気づきにくく、
単なる加齢によるものだと軽視してしまいます。
千葉県歯科医師会専務理事で歯科医の久保木由紀也さんは
「本人に不快な思いをさせたくないと、
家族があえて指摘しないケースもある」
と話します。

この状況を踏まえ、自治体や地域の歯科医師会などが、
オーラルフレイルの予防に向けたセミナーや相談会、
筋力強化や栄養指導と併せた教室を高齢者に向けて開いています。
その一つの例として2017年10月中旬、
千葉県柏市で同市地域包括支援センター主催の、
「フレイルチェック講座」が開かれました。
市内在住の60歳以上の男女約20人が、
滑舌の良し悪しを測るテストを受けました。
計測器の数値が6以上だと、
「口回りと舌の筋肉がきちんと動かせている」と判定されます。
普段から朗読や合唱などの地域活動に参加して、
よく声を出しているというA子さん(85)の判定の結果は6以上でした。
このことから日頃から口を動かすことが、
オーラルフレイルの予防に繋がる
ということが分かります。
講座では質問票で、
「食べ物や飲み物を楽にすっと飲み込めないことがありましたか」
などの他に12項目を聞き、口の元気度をチェックします。
測定を担当する市民サポーターは、
「チェックを通じて高齢者自身にオーラルフレイルではないかどうかを確認してもらい、
予防に取り組むきっかけになれば」と話しました。

このように定期的にチェックをすればオーラルフレイルの進行を抑えることができます。
歯科医の久保木さんは、
「高齢者に症状が出てきたら、
かかりつけの歯科医に相談するよう家族が促してほしい」と勧めています。

しかし、一人暮らしの高齢者の方はどうすればよいでしょうか。
少子高齢化、長寿化社会となっている現代では、
一人で暮らす高齢者の数も多いです。
その場合、誰がフレイルチェックを行えるのでしょうか。
また、一人でもオーラルフレイルの対策をする方法はないのでしょうか。

次回の記事では、
一人で暮らす高齢者のフレイルチェックや、
日頃からできるオーラルフレイル対策について話したいと思います。

つづく

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【終活】増える納骨堂、その問題と実態とは?

近年、首都圏などの都市部では墓地用地が不足し、
墓地に代わる新しいお墓のカタチとして、「納骨堂」に関心が高まっています。
それと同時に、多くの問題も出てきはじめています。

お墓の問題は、終活を始めるきっかけになることも多く、
終活世代にはとても切実な課題です。
今回は、納骨堂とその問題点について紹介します。

納骨堂とは?定義とその種類

納骨堂とは、お墓のようにご遺骨を土に埋めるのではなく、
個人、夫婦といったさまざまな単位でご遺骨を収蔵する
「納骨スペース」のことを言います。

実は納骨堂は昭和初期からあり、
お墓を建てるまでの間に一時的にお寺の境内で
ご遺骨を預かる建物のことを指していました。
現在では、深刻な少子高齢化の影響で承継者不足に悩む利用者が増えたことから、
三十三回忌、五十回忌など安置期間を定め、
その一定期間が経過したあとは
永久供養墓などの合祀墓に移して供養する納骨堂が多いようです。

そんな納骨堂ですが、所謂ロッカー式のイメージが強いと思いますが、
最近では多くの施設が工夫を凝らし、種類が豊富になってきています。

個別の収蔵庫が縦横に並んだ「ロッカー式」。
駅などで見かけるコインロッカーのようなシンプルなデザインから、
小さな墓石や仏壇のようなものもあります。
仏壇より区画が狭いものも多く、費用を抑えることができます。

立体駐車場の技術が応用された「機械式」。
カードキーやタッチパネルなどで操作することで、
収納スペースに収められた骨壷が礼拝スペースまで移動してきます。
土地不足の都市部で増えてきています。

棚に骨壷を並べて収蔵するタイプの「棚式」。
最近では専用の礼拝スペースから拝むようになっているものが多くなり、ご先祖
様を直接拝んでいるという感覚が持ちにくい人もいるそうです。

このようにバリエーションも様々です。

納骨堂は墓石が不要であるためお墓を建てるより安価であり、
墓地に行くよりお参りがしやすいことから利用者が増えはじめています。

「宗旨・宗派を問わない」と掲げているところも増え、菩提寺のない人のほか、
神道、道教、キリスト教などの仏教以外の宗教を信仰している人々の利用も増えています。

その一方で、
建設計画への住民の反対や、、
課税対象か否かの判断が自治体ごとに異るなど、
納骨堂に関する曖昧な法律が様々な問題を引き起こしています。


増え続ける納骨堂、起こる都市混乱

納骨堂は全国で約1万2000件(15年度)あります。
さらに、首都圏1都3県と京都府、大阪府、兵庫県では15年度は計1386件と、
10年前に比べて32%増えました。

ですが、墓地とは違い法制度上の位置づけが曖昧なため、
普及に課題が見えてきています。

40年以上地元の方々に愛され、
年間約600件のお産を手がけている、
千葉県浦安市のある産婦人科医院。
2017年4月、産婦人科の隣に納骨堂の建設計画が持ち上がりました。
医院は「出産を控えた妊婦さんの心情を考えて欲しい」
と伝えましたが、
「法律上の問題はない」と住職に聞き入れてもらうことができず、
患者たち約7000人の建設反対署名を市に提出しました。
同年8月に市が出した回答は、
今回の計画は止められないという趣旨でした。

通常、墓地や納骨堂、火葬場の整備・経営は自治体の許可が必要です。
2000年に国が規定指針をつくり、
多くの自治体はその指針に基づき条例などを定めました。
当時は死者の供養は墓地で行うのが主流であり、
指針は墓地の設置場所や構造設備に基準を示していますが、
納骨堂に関する記述はほとんどありません。

医院のある浦安市も、2001年制定の条例があるものの、
「墓地は隣接の居住者らの許諾がないと原則作れないとしているが、
この規定に納骨堂は含まれない」
とされていたために、
納骨堂の建設問題は医院側の意見が聞き入れられなかったのです。

ただし問題となった市は、無秩序な乱立を防ぐため、
9月に納骨堂の整備基準を設ける条例改正案の骨子を公表しました。

別の都道府県でも問題は起きています。
大阪市では2017年8月、
住宅地に6階建ての「機械式ビル型納骨堂」の建設が計画されていました。
納骨堂の建設に反対する住民たちが、
市に経営許可の取り消しを求める訴えを起こしました。
原告の一人であり隣地のビル所有者は、
「個人の家があった土地で、しかも建築主は市外の宗教法人。
縁もゆかりもなく受け入れられない」と憤っていました。

このような問題が起こってしまうのは、法制度が曖昧で整備が
整っていないからです。

そして、法制度の曖昧さは寺院側にも及びます。
同じ遺骨を納める場所でありながらも、
地方税法では固定資産税か非課税か納骨堂には定めがありません。
そのため課税に踏み切る自治体が出ています。

金沢市に本院がある宗教法人は2013年、
東京都内に納骨堂を建てました。
ところが2015年3月に、納骨堂として使う敷地と建物の昨年度分の固定資産税として、
計400万円余りを納めるよう、東京都から求められました。
これに対して宗教法人は7月、都に課税取り消しを求め提訴しましたが、
2016年に東京地裁は訴えを退けました。

地方税法は、宗教法人が宗教目的で使う土地や建物は、
固定資産税などを非課税にすると定めています。

寺や神社、墓地も非課税あつかいとされてきたために、
宗教法人は納骨堂も墓地と同じ非課税だと考えていました。
しかし宗教法人は、宗教不問で遺骨を受け入れたり、
仏壇会社に販売委託して手数料を払うなどをしていました。
こうした手法が本来の目的で使う土地や建物の用途ではないとみなされ、
課税に踏み切ったのです。

気がかりなのは、自治体ごとで納骨堂への課税判断が異なるということです。
横浜市は、土地は非課税で建物が課税であり、
名古屋市では、実態を見て判断しますが現時点では非課税
とされています。
このことから、法の曖昧さがより深く見て取れるでしょう。

まとめ

2040年には死亡者数は推定168万人に上り、
納骨堂へのニーズはさらに高まることでしょう。
家族観の変化や技術革新で供養スタイルは変わるものです。
しかし、新しい弔いのカタチへの制度設備を放置していると、
子孫世代に禍根を残してしまうかもしれません。

終活世代の方々は、
今のうちにご家族とお墓について話し合い
ご自分の考えのみだけではなく、
ご家族にとってもベストな選択ができるようにしていきましょう。

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【終活】増え続ける空き家、防止策は?

終活を行う上で、日々生活を営んでいる住まいの問題も、
とても大きな問題です。
現在、全国の空き家の数が増加の一途を辿っています。
総務省が行った調査では日本国内の空き家の数は、
2013年は820万戸ですが、
野村総合研究所の試算では、
2033年には約2160万戸に膨らむとの考えが発表されました。
今後ますます空き家問題が深刻化していくことが予想されます。
そこで今回は、住み手がつかず放置されてしまった空き家に焦点を当てて紹介します。
なぜ空き家を放置してしまうのか、
放置することで及ぶ影響、放置を防ぐための活動などについて見ていきましょう。

空き家の種類

総務省統計局が発表した「平成25年度住宅・土地統計調査」から、
日本の総住宅数は約6063万戸、
その内の約820万戸は空き家
だということが分っています。
これは日本の総住宅数の13.5%を占める割合です。

その空き家には大きく4つの種類があります。
それぞれの定義を具体的に説明します。

○二次的住宅・・・週末や休暇の際に避暑や避寒、保養のために使われる別荘。
残業で遅くなった時に寝泊まりする家のように普段は人が住んでいない住宅。空き家全体の約5%を占めています。

○売却用の住宅・・・新築、中古に関わらず売却を目的として空き家になっている住宅。
空き家全体の約4%を占めています。

○賃貸用の住宅・・・新築、中古に関わらず賃貸のために空き家になっている住宅。
空き家の全体の約53%を占めています。

○その他の住宅・・・転勤、入院などの何らかの理由によって長期不在になっている住宅や、取り壊すことになっている住宅。
空き家全体の約39%を占めていて近年最も増加傾向にあります。

上記の内の「その他の住宅」は住み手が見つからずに放置されてしまう可能性が高いです。
ではなぜ所有者達は空き家を放置してしまうのでしょうか?

放置された空き家が増える理由

放置された空き家が増加している一つ目の理由として「固定資産税」があります。
「固定資産税」とは毎年1月1日に土地、家屋、償却資産(これらを総称して固定資産といいます)を所有している人が、
その固定資産の価格をもとに算定された税額、を所在する市町村に納める税金のこと
です。
固定資産税は家屋の立っている土地に対しては住宅用地として軽減措置がとられています。
しかし、空き家を取り壊し更地にすることで固定資産税が最大6倍になってしまうことがあります。
したがって、所有者は空き家を撤去せずにそのままにしてしまうのです。
二つ目の理由は「解体費用」です。
一般的な木造家屋で解体に100万円、鉄骨や鉄筋コンクリート造りなどは150~200万円ほどかかる場合もあります。
空き家の所有者には住む人がいないから仕方なく持っている人が多く、
必要のないものにお金をかけるわけにはいかないと考えているので、そのまま放置してしまいます。
さらに経済面だけではなく、気持ちの整理がつかず撤去をためらってしまう人もいます。
長い間、生活の拠点として住み続けた住宅を壊すことをためらうことは不思議ではありません。
さらに、現行の建築基準法が施行される前に建てられた古い空き家は、
再建築が認められていない土地になっているケースがあります。
このような事情から解体せずに放置する空き家が存在します。

国土交通省が2014年に行った実態調査では、
空き家に人が住まなくなってからの期間は「10年以上」が31%で最も多く、
「5年以上10年未満」を合わせると50%を超えています。
半数以上の空き家が長期間使われていないことが分かります。

空き家の放置が及ぼす悪影響とは

空き家は放置されることによって、以下のように周辺環境に悪影響を及ぼす場合があります。

・ゴミ、電化製品の投棄、害虫の発生により近隣の方に精神的苦痛を与える。

・不審者が勝手に侵入し住み着いたり、未成年者の溜まり場と化し近隣の方を不安にさせる。

・発見されにくい場所と認識され、犯罪行為が行われ風評被害を受ける。

・放火される対象になり易く、放火されることで隣接する建物が延焼し第三者に被害が及ぶ。

・地震などの災害が発生した際、倒壊して避難路をふさぐ可能性がある。

周囲にこのような迷惑をかけないためにも管理者が定期的に雑草処理やクリーニング、ポストの郵便物の処分、
換気を行い、建物の風化を防ぐなどをしていくことが大切です。
しかし、空き家を何とかしたいと考えてはいても、
どうしたら良いか分からず困っている所有者もいるでしょう。
その現状を受けて、空き家問題に取り組む活動やサービスが全国で広がりつつあります。

空き家増加を防ぐための活動

置される空き家の増加を防ぐため、
NPOや自治体が主導で行う活動やサービスがあることをご存知でしょうか?
その一部をご紹介します。

「NPO法人空き家コンシェルジュ」は2013年、
東京の住宅関連会社に勤めていた有江正太さん(45)が立ち上げた法人です。
転勤で故郷の奈良県に赴任した際、
空き家の多さを目の当たりにし、危機感を抱いたことがきっかけで設立されました。
この法人は空き家をかかえる所有者や、
今後空き家になる可能性が高い独居高齢者が住む住宅の所有者や、
空き家・空き地の増加に懸念を示している行政・自治体に向けて、
空き家や空き地の定期巡回や維持管理、有効活用の勉強会などを開催しています。
また有江さんは奈良県内の市や町と組んで「空き家バンク」も運営しています。
「空き家バンク」とは自治体や自治体から委託を受けた団体によって運営される、
空き家所有者と利用希望者のマッチングをする仕組みです。
実は20年以上も前からこの制度は使われていましたが、
全国に広がったのはここ最近のことです。
これまで複数の物件で売却や賃貸につながっており、
空き家問題の解決の一手として、
普及していくことが期待されます。

「兵庫空き家相談センター」は、
親から家屋を相続する人の支援に重点を置いたNPO法人です。
不要になった遺品の取り扱いなどについて遺品整理士や建築士と協力し、
相続人らに家財の処分や家屋の新しい活用法を提案しています。

さらにはこの状況を踏まえ国は2015年、
空き家対策に関する特別措置法を施行しました。
これにより倒壊の危険や景観を損なう空き家を「特定空き家」と位置づけ、
自治体が所有者に撤去や修繕を命令できるようになりました。

このように空き家バンクなどのサービスを利用して、
空き家を賃貸物件として貸し出したり、
空き家を介護センターやオフィスとして再利用する活動も広まってきています。
自分や家族だけではなかなか解決できない空き家問題も、
専門の団体や法人を活用することで、解決の手助けとなることでしょう。
思い出が深く、なかなか手放せない家でも、
放置することによって余計にお金がかかってしまうケースもあります。
そうなる前に、元気なうちから家の将来について考えることが大切です。

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【終活】大切な人との別れ、悲嘆を乗り越えるために

人は誰しも、生きていく過程で別れを経験することがあります。

その経験が終活を考えたり、
終活をはじめるきっかけになった方もおられるのではないでしょうか。

ただ、事故など、突然の死別は心の準備が難しく、
自力で悲しみから立ち直ることは簡単なことではありません。

この悲嘆を乗り越えるために近年、
「グリーフケア(悲嘆ケア)」の一環としてある取り組みが広がっています。

以前お話ししたグリーフケアを振り返りながら、新たな取り組みを紹介したいと思います。

「グリーフケア(悲嘆ケア)」とは?

以前の記事
「【終活】死別の悲しみに寄り添う「グリーフケア」と介護現場との関係性」でも取り上げましたが、
「グリーフ」とは「悲嘆(grief)」の意味であり、
家族や友人など親しい人との死別で受けた深い悲しみから心と体を癒すために、
周囲の人々が寄り添いサポート(ケア)することです。

グリーフの反応は個人差がありますが、
睡眠障害や食欲障害などの「身体的な反応」、
感情の麻痺や自責感などの「精神的な反応」、
ぼんやりしたり、死別をきっかけとした反応性の「うつ」によるひきこもりなどの
「日常生活の行動の変化」
といった、症状が現れます。

これらは自然な症状で、
そのような状態の人に寄り添い、援助することが
「グリーフケア」となるのです。

しかし、グリーフに陥っても、自分自身の心のケアができない場合もあります。
例えば、行政的な手続き、死別の場合の遺品整理や相続問題、
仕事の引き継ぎや後始末、
子どもの学校の準備や子どもの心のケア
などやらなければならないことが沢山あるからです。
それにより、職場で今までは対処できていたことが難しくなってしまい、
今までの仕事量がこなせなくなることもあります。
そのストレスから人間関係が煩わしくなったり、
不眠などで疲れが取れなかったりと体調不良を訴えるようになってしまうのです。

さらに問題なのが、
自分がグリーフに陥ってしまっていることに気づいていない人がいるということです。

自分では気持ちの整理がついているように感じても、実際はそうでないことが多いため、
グリーフに気付かず体と心を酷使して体調を崩してしまうのです。
グリーフの状態から立ち直るには、周囲の人の支えが必要です。
人と人との交流が薄れてきている現代では、それが難しくなりつつあります。


配偶者との死別増加、浮きぼりになる問題

2015年の国勢調査「65歳以上の有配偶関係」の表を見ると、
65歳以上で配偶者と死別した人は男女合わせて約864万人で、
1990年からの25年間で約1.5倍に増加しています。

さらに、団魂世代が70代を迎えることから、今後も増え続けて行くとみられます。

こうした配偶者を亡くされた方の増加や、
近年、核家族化が進み、地域との繋がりも薄れてきていることから、
遺族を支える人が減少しているのです。

65歳以上の人だけでなく、
30~40代の現役世代が直面する仕事や子育ての問題も浮きぼりになっています。

このような現状を受けて、グリーフに陥った遺族を支援する自助グループが近年増え始めています。

語り合う場で同士と癒し合う

2003年12月、公益社が設立した遺族支援組織であり
有職者の講演会や体験談の語り合いの場を毎月提供する「ひだまりの会」

配偶者を亡くした遺族に特化した支援を行う「ほほえみネットワーク」

そして30~40代の若い世代にピントを当て、同じ境遇の人々と共感と理解を
深めていくことを試みとした「die-a-log LABO(ダイアログラボ)」

これらの組織に共通する取り組みが、
大切な人の死後間もない遺族が、同じ境遇のメンバーと対話を重ね、
共感と理解を深めて悲嘆から回復に繋げようというものです。

また、組織の取り組みだけではなく、「お一人様」向けのサービスが支えになるケースもあります。
旅行大手のクラブツーリズムが2015年、
ツアー旅行に一人で参加する人向けに集合場所を下見するバスツアーを企画したところ、
配偶者を亡くした女性が多数参加したといいます。
その中の3年前に夫と死別した60代の女性は、
「ずっと夫に任せきりだった。
一人では集合場所まで行くのも不安」と話していたといいます。

ツアーを企画した添乗員は、
「同じ境遇の人と出会える場にもなっており、
つらい思いをした人たちが一歩前に踏み出す後押しになれば」と話し、
企業のグリーフケアへの関心が高まっていることがうかがえます。
核家族が増え、地域との繋がりが薄れる中で、グリーフケアの一環として
これら自助グループや、企業のサービスが遺族の心を癒す場として活躍しています。

グリーフは自然なことです。
大切なのはできるだけ無理はせず、周囲の人や専門家に助けを求めることです。
信頼できる身近な人や、カウンセラー、
先ほど紹介した組織などで話を聞いてもらうことは立ち直るための助けになります。

「自分の心の声」にしっかり耳を傾けてあげましょう。

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終活とは成熟した大人がこれからの人生をどのように楽しみ、
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何かを決めるということは大変な作業ですが、
それだけにその決断は大切なヒトへのやさしさや愛情になるのではないでしょうか。
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【終活】シニアのクレジットカード、その上手な使い方

終活は何からはじめたらいいの?
終活のはじめ方にはお手本があるの?
など、終活を考えておられる方々から終活をはじめる手順を尋ねられることがあります。
しかし、それぞれの人生が違うように、
終活にもきまったマニュアルはありません。

今回取り上げるカードのお話は、ある人にとってはとても終活に役立つ話題です。
やるべきことやらなくていいことをコラムを通して判断していただき、
充実した終活を目指していただければ幸いです。

現役時代に利用していたクレジットカードを、
定年退職を機会に整理しようと考える人は多いと思います。

引退後は仕事を持っていた頃とはライフスタイルが大きく変わるので、
現在の生活に合わせたカードの見直しは
家計の負担が減るだけでなく、利便性の向上にもつながっていくでしょう。

しかし、整理の仕方を間違ってしまうと、あとで後悔することもなきにしもあらず…。
そこで今回は、終活世代のクレジットカードとの付き合い方について考えていきます。

クレジットカードは何歳まで作れる?

一昔前は、60代になるとクレジットカードを作るのは難しいとされていましたが、
近年は定年時期が遅れていることもあり、65歳くらいまではそれほど厳しい審査を通らなくても
クレジットカードを持てるようになっています。

ただし、大半の人が現役生活を終える65歳を超えると収入は年金のみになるケースが多くなるため、
年齢を重ねるにつれて審査が厳しくなっていく
のが一般的です。

その背景には、高齢になると高い消費が期待できないことや、
突然返済不能になるリスクがどうしても上がってしまうことなどが挙げられます。

また、カード会社によって審査基準は違いますが、
年金を収入として認めているかどうかも現役を退いた終活世代にとっては、
大きなハードルになってきます。
もし年金を収入として認めていないカード会社であれば、
返済能力がないとされ申請を受け付けてくれない可能性が高くなるでしょう。

ただし、何らかのビジネスで安定した収入があると証明できれば、
高齢であってもクレジットカードの取得は可能です。

ちなみに、現役時代に利用していたカードは、
返済さえ滞らなければ基本的に持ち続けることができます。

そのため、定年退職前の50代から60代前半の間に
リタイア後を視野にいれた長く使えるクレジットカードを作っておくと安心
です。

特にハイステータスなカードを希望するのであれば、定年退職前に持っておかなければ、
年金生活で作るのは難しいと考えておきましょう。

不要なカードの整理も大切


手持ちのカードが今の生活に必要なものかどうかを見直すのも、終活世代の重要なポイントです。

都内の会社員Aさんは、高齢の母親(81)のクレジットカードの年会費がもったいないと話します。
母親は60代まで大手企業に勤務し、海外出張に出かけるなどカードを使う機会は多かったそうですが、
最近は遠出することも減り、買い物も身の回り品程度でカードを利用することが減っています。
しかし、現役時代と同じカードを契約し続けているため、年会費は1万円を超えているそうです。

ライフスタイルが変わっているのに、
仕事を数多くこなしていた現役のときと同じカードを持ち続けるのは、
維持費の面から見てあまり得策ではありません。
また、たくさんのカードを所有しているのなら、
管理面も考えて必要な数枚に絞り込みを行うべきでしょう。

一度すべてのカードを集めて、
どのくらい維持費を払っているか付帯されているサービスや特典を確認し、
いまの自分に必要なものだけに絞り込んでいくことが大切
です。

クレジットカードはシニアの生活サポートアイテム

絞り込みは大切ですが、
全てのクレジットカードを解約するのは避けた方が良いでしょう。
なぜなら引退後の生活では、
現金以外の支払い手段をもっておくメリットが大きい
からです。

ここから地方都市在住の女性Aさんの失敗談をご紹介します。

現在70代のAさんは、
年金生活に入るのを機に手持ちのクレジットカード10枚ほどを全て解約しました。
今後大きな買い物をする予定もありませんでしたし、
所持していたカードの中には高額な年会費が発生するものもあったので、
年金生活での負担を少しでも軽くしたいとの思いがありました。

飲料や米などの重い食料品や、
かさばる商品をインターネット通販で購入していたAさんは
代金引換を利用することにしましたが、
商品が届く際に必ず家にいなければならないことや、
その都度現金を準備しなければならないこと、
さらには代引手数料までかかってしまうことに不便を感じ始めました。

そこでAさんは再びクレジットカードを申し込むことにしたのですが、
なんと審査に落ちてしまったのです。

この例では、
解約に踏み切る前に自分のライフスタイルから、
必要なカードをよく吟味すること
の大切さが見えてきます。

最近では長期入院時の病院への支払いや、
国・地方自治体への納税などカードが利用できる場面は広がっています。
今後の消費行動を想定し、
生活をサポートしてくれる便利ツールとしてクレジットカードの所有を検討してみましょう。

シニアのクレジットカード、ここがポイント

必要最小限を所持
現金以外の支払い手段として便利。ただし何枚も持たないこと。1〜2枚あれば充分でしょう。
年会費無料のものがおすすめ
年金生活では年会費は負担になってしまいます。はずせない特典があれば別ですが、
有料カードは基本的に避けましょう。
新規契約には制約も
定年後などに新たに契約する場合、利用上限は現役時代に比べ低くなる場合があります。
特典をチェック
シニア向けの特典があるクレジットカードが増えているので、
自分のライフスタイルにあった特典内容を選びましょう。

シニア対象のクレジットカードや審査不要のデビットカードも

退職後に新たにカードを持ったり、
定年後を見据えたカードをあらかじめ作っておきたい場合、
年会費とともに自分に合った特典内容のカードを選びましょう。

60代になると、
気ままでゆとりのある終活ライフを送りたいとの希望もでてくると思いますが、
そんな理想をサポートしてくれるシニア限定特典を備えたカードなど、
ステータス性やサービス性の高いカードが増えています。
ビューカードの「大人の休日倶楽部カード」は50歳以上が対象で、
JR東日本・北海道の切符が5~30%引きで購入できます。

普段使いでお得にカードを活用したいなら、
高いポイント還元率や割引サービスが受けられるものがおすすめです。
「イオンJMBカード(G.Gマーク付き)」は55歳以上向けに発行され、年会費が無料。
そしてネットショップを除くイオンなどの買い物代金が毎月15日に5%引きになる特典があります。

このように余暇の楽しみから、日常生活での節約をサポートしてくれるものまで、
ここでは紹介しきれない程数多くのシニア対象のカードがありますので、
理想のライフスタイルに合わせて選んでみてください。

また、こうした特典に関心がない人であれば、
審査が不要で定年後でも簡単に契約できるデビットカードや、
プリペイドカードも選択肢に入れると良いでしょう。

銀行口座から利用額を原則として即座に引き落とすデビットカードや、
事前入金した額の範囲で使えるプリペイドカードは、
クレジットカードに比べれば特典は少ないですが、
利用できる店舗やネットショップなどの範囲はほぼ同じです。
また、デビットカードは不正利用保障が付いているので、
落としたら終わりの現金より安全
と言えます。

選択肢が多い、現役時代からの見直し

上の項でも紹介しましたが、高齢であることから発生するリスクを避けたいカード会社は、
60代後半になると審査を厳しく設定し始めるといわれます。
80代ともなればクレジットカードを新たに持つのはかなり難しいというのが一般的です。

このことから、定年後の自分に合ったクレジットカードを検討し始めるのは、
50代からでも早すぎることはない
のかもしれません。

現役で働いていて安定した収入があれば、
50代なら新規でカード会員になれる可能性はとても高いのです。
作りにくいカードであればあるほど、
審査に通りやすい現役のうちに作っておくのがおすすめです。

 


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【終活】長く働くほど年金額が増える?今後の社会の動きとは。

これまで、高齢者の長寿化や、元気なシニアが増えているというお話をさせていただきました。
その記事の中で、
40歳以上の男女1600人を対象に行った「何歳まで働きたいですか?」というアンケートでは、
「働けるうちはいつまでも働きたい」という回答が最も多いという結果になりました。

長く働くことで、収入を得続けることができるのはもちろんですが、
それ意外にもメリットがあることをご存知でしょうか。
今回は、働く高齢者へのメリットを見ていきましょう。

定年を過ぎても働く高齢者が増加

まずは、65歳以上で働いている高齢者の数はどのくらいいるのでしょうか。
これまでは60歳で定年退職し、老後の生活を送る方が多いと考えられていました。
しかし、2015年に総務省が公開したデータを見ると、
65歳以上の高齢者の就業者数は12年連続で増え続けているのです。

2015年では65歳以上で働いている高齢者の数は「730万人」と、
過去最多の人数となりました。
2015年の高齢者の就業率は21.7%と、高齢者の5人に1人が働いている状況です。

そんな中、定年以降も働くことにより通常65歳からもらえる年金の受給を遅らせることで、
年金額が増え財政の安定が増すのではという考えが出てきました。

その理由には、今の年金制度が関わっています。
年金の支払い方式には2つ種類があります。
現役世代が将来の自分のためにコツコツとお金を積み立て、
その積み立て金額によって老後に受け取る年金の金額が変わる「積立方式」。
もう1つが、現役世代の人たちが支払った保険料を現在の年金受給者に渡す「仕送り方式」です。
今の年金制度は、この「仕送り方式」を仕組みとしています。
しかし、少子高齢化が進んでいるため、仕送りをする現役世代の人数が急速に減り、
仕送りを受ける側の人数が急速に増えています。

なので、今度は受給者であった高齢者が働き手に回ることで、
年金額が増えて財政の安定も増すと考えられているのです。

これを受けて、その年金制度を見直す案が出て来ています。

厚生労働省が2014年に発表した年金財政検証で、
最長で40年間となっている保険料の納付期間を延ばして、
支給開始年齢も引き上げた時の年金額を試算しています。
現役世代の所得のどのくらいをカバーするかを示す「所得代替率」を、
14年の時点で50.6%にまで引き下げないと、年金の財政は安定しません。
そこで政府は公的年金の支給額を決める際、年金に加入する現役世代の減少や、
受給者の長寿命化などを反映させるマクロ経済スライドなどを導入しました。

これにより、保険料を納める期間を5年間延ばし支給開始を65歳まで上げると、
所得代替率が57.1%となり、財政が安定するようになります。
さらにある人が70歳まで働いて、保険料を50年納め、支給開始を70歳まで自主的に繰り上げると、
所得代替率が85.4%まで高まることになります。
このように、長く働いて保険料を納めることによって年金額が増えるのです。

つまり、保険料を納める働き手が増えたり、受け取っていた高齢者側が働き手に回ったりすることで、
貰える年金額が増えていくということなのです。

2020年以降は人生100年の時代?変わる社会保障

政界でも、年金制度の線引きを変える議論が広がっています。
2016年の10月に、
自民党の小泉進次郎氏らが「人生100年時代の社会保障へ」と題した提言を発表しました。
「20年学び、40年働き、20年の老後を過ごす」ことを前提に設計された今の労働法制や、
社会保障制度は今後維持出来なくなるとされています。
そこで、新たな社会保障制度では、
いかなる雇用形態であっても企業に働く人が全員加入できる「勤労者皆社会保険制度」の創設や、
働く高齢者の年金を減らす在職老齢年金制度の廃止、
年金の受給開始年齢を選べる年金制度への転換
なども含まれており、
まさに先ほど記述したように、長く働けば年金額が増えるようになるかもしれないのです。
少子高齢化・長寿社会で暮らす現役世代や高齢者にとっては、
政治に大きな期待を寄せる提言となりました。

まとめ

少子高齢化、長寿化により、定年を越えても働く高齢者が増えています。
その働く高齢者を支えるべく、政界も動き始めています。
もちろん健康状態を一番に考慮しつつ、
60歳を過ぎた終活世代である高齢者が、これまでと変わらずイキイキと働ける環境を、
制度だけでなく現役世代も一緒につくっていくことが大切です。

【関連リンク】【終活】いくつになったら高齢者?

 


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【終活】要介護度改善で報奨金 介護はどう変わる?

2017年6月に政府が発表した「未来投資戦略2017」。

多種多様な政府施策が示された安倍政権5度目の成長戦略ですが、ここに盛り込まれた施策の一つに、
「利用者の介護度を改善させた介護事業者への報酬を手厚くする方針」があります。

自立支援を中心にした介護へと軸足を移すことで、元気な高齢者を増やし、
介護医療費の抑制につなげる狙いです。

この成功報酬制度は今後の介護をどのように変えていくのでしょうか?
いち早く取り組みを始めた自治体などを参考に、
大きく方向転換を始めた介護事業について考えていきます。

介護事業者のジレンンマ

前回の記事でも少し話題にしましたが、
現行の介護保険制度は、要介護度が高いほど介護事業者に支払われる報酬が高く設定されています。

これは、介護を必要とする人の介護度が高ければ高いほど、
提供するサービスの量が増えるため
なのですが、
逆に言えば利用者の状態改善によって要介護度が下がれば、
事業者の報酬が減ってしまうということになります。

本来なら介護事業者は自立のために要介護者にリハビリを受けさせ、
要介護度を下げることが望ましいのですが、
それにより介護報酬が減ってしまうというジレンマも生まれます。

すべての介護事業者がそうだとは言えませんが、
介護報酬が減ることを懸念して状態改善に動こうとしない事業者もあるかもしれません。

成功報酬をいち早く導入した自治体

上記のような危惧もある中で、成功報酬制度を自治体主体でいち早く導入したのが岡山市です。

岡山市は政令指定都市の中で、
高齢者1万人当たり17.3施設と人口あたりのデイサービス事業所数が多く、
政令指定都市の中で1位にあたります。

事業所が必要以上に増えてしまった結果、
サービスの質が低下している…などの声も聞こえてくる現状を受けて、
今回の評価事業を始めました。

導入にあたり、市内のデイサービス事業所や厚生労働省、有識者で協議し、
日常生活機能を評価する13の項目を設定。
その他、機能訓練指導員数をはじめ認知症高齢者の受け入れ数、
介護福祉士数など要介護度の改善具合だけで報酬を与えない評価基準を設けました。

これは改善が見込める人だけを受け入れる「いいとこ取り」と、
改善見込みのない人が利用しにくくなってしまうのを避けるためです。

評価項目 0点 1点 2点
1 介護者が安静の

必要があると判断

判断しない 判断する
2 どちらかの手を

胸元まで持ち上げられる

できる できない
3 寝返り できる 何かにつかまればできる できない
4 起き上がり できる できない
5 座位保持 できる 支えがあればできる できない
6 移乗 介助なし 一部介助 全介助
7 移動方法 介助を要しない移動 介助を要する移動
8 口腔清潔 介助なし 介助あり
9 食事摂取 介助なし 一部介助 全介助
10 衣服の着脱 介助なし 一部介助 全介助
11 他者への意思伝達 できる できる時と

できない時がある

 

できない

12 介助の指示が通じる はい いいえ
13 自傷行動 ない ある

 

決められた指標を達成した事業所は「指標達成事業所」と認められ、
市の広報紙などで紹介されます。
さらに指標達成事業所のうち改善率の高い上位10事業所は市から表彰され、
10万円の奨励金も与えられます。

取り組み前と比べ指標を達成した事業所では、一人当たりの介護保険給付費の減少、
利用者の状態の改善など、
一定の効果があるようです。

向上する施設職員の士気

重度になるほど報酬が上がる現状の介護保険は、
どうしても機能回復に積極的になれない要因を作り出しています。
努力して自立支援を行った結果、受け取る報酬が減るのでは、
それも当然といえるでしょう。
しかし、今回政府が導入しようとしている成功報酬制度は、
職員のモチベーションを大きく上げているようです。

岡山市の指標達成上位10事業所に選ばれた「デイサービスセンター・アルフィック東川原」。
最新のトレーニング機器が並ぶこの施設では、
1日平均42人が作業療法士らの指導のもと、
リハビリなどの運動をしています。
責任者の小馬誠士さんは「表彰で職員の士気が高まった。
これを励みに、さらに機能回復に向けた取り組みに力を入れたい」
と利用者の自立支援への意欲を語っています。

指標達成上位10事業所に次ぐ、
高い評価を得た「愛光苑」の筒井恵子施設長は「私たちの仕事を世間に認めてもらう好機。
利用者の身体機能の維持・改善に向けた職員の意識もより明確になった」
と評価しています。

このような職員の士気の向上は利用者にも伝わり、回復意欲を高め、
早期改善にもつながっているようです。

状態改善を優先しすぎるリスク

要介護度の改善に力を入れる一方で、
状態改善が見込めない利用者に対する配慮をどうするべきかという問題があります。
自立支援に重点をおく事業者が、
本人の意思を置き去りにした過度のリハビリを行う可能性も考えなければなりません。

例えば90歳を超えた利用者に対して行うむやみな歩行訓練で、
その人の生活満足度を下げてしまっては意味がないばかりか、
本人が望まない過酷なリハビリは「虐待」と受け取られることもあります。
他にも、状態改善が見込めない利用者を避ける介護事業者が出てくる可能性もあります。
成功報酬による成果主義を徹底すれば、
収益につながりそうな利用者だけを選別し受け入れる事業者が現れるリスクも当然考えなければなりません。

今回の成功報酬制度は報奨金にばかり目が行きがちですが、
介護は公共サービスであり過度な儲け主義に傾かないよう、
国や行政で管理していく必要があるでしょう。

介護の本来の目的

介護の本来の目的を考えるならば、人生が終わるそのときまで、
その人らしく生活を続けられるようサポートすることではないでしょうか。
オムツを履きベッドで1日中過ごすよりも、自分の足で行きたいところに行き、
やりたいことができるのが理想です。

成功報酬制度は、要介護者の生活の質を向上させ自立を促すという面で、
本来の介護の目的を果たす鍵
になりえます。
この取り組みが高齢化の進行で膨れ上がる介護医療費の抑制につながり、
さらには介護事業者のやる気を高めてくれるというメリットもあります。

しかし、本当に自立困難な要介護者が敬遠され取り残されてしまっては、元も子もありません。
終活世代の方々にとっては他人事では済まされない、切実な問題。
損得の計算が先に立つ介護ではなく、
人の喜びや悲しみに寄り添うことができる介護事業の運営を願うばかりです。

【関連リンク】「増え続ける介護給付費…その実態とは」

 


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【終活】増え続ける介護給付費…その実態とは?

年老いた親は家族で面倒を見るのが当然と思われていた時代から、
社会全体で高齢者を支えようという時代に変わり、2000年度に生まれたのが介護保険です。
そのおかげで、要介護認定度が低くても受けられるサービスや保険が増えています。
こうして介護の社会化は進んできましたが、
今、財政的な限界が見え始めているようです。
それはなぜなのか、その背景を追いました。

要介護認定の基準

まず、要介護認定について改めて見ていきましょう。
要介護認定とは、”介護が必要な必要量”を示す尺度のことを言います。
どのくらいの介護サービスを行う必要性があるのかを、7段階にわけて判断します。

要支援1 生活の中で身の回りの世話の一部に手助けが必要な状態。

掃除など、立ち上がり時になんらかの支えを必要とする時がある。

排泄や食事はほとんど自分でできる、など。

要支援2 要支援1の状態から能力が低下し、日常生活で何らかの支援または部分的な介護が必要となる状態、など。
要介護1 ・みだしなみや掃除などの身の回りの世話に手助けが必要な状態。

立ち上がり、歩行、移動の動作に支えが必要となるときがある。

・排泄や食事はほとんど自分でできるが、問題行動や理解の低下が

みられることがある、など。

・日用生活はほとんど1人でできる。

要介護2 ・みだしなみや掃除等、身の回りの世話の全般に助けが必要な状態。

立ち上がりや歩行、移動になんらかの支えが必要。

・排泄や食事に見守りや手助けが必要なときがあり、問題行動や理解の低下がみられることがある、など。

・日常生活の中の動作に、部分的に介護が必要。

要介護3 ・みだしなみや掃除等身の回りの世話、立ち上がりなどの動作が1人でできない状

態。歩行や移動など、1人でできないことがある。

・排泄が自分でできない。いくつかの問題行動や理解の低下がみられることがある、

など。

・日常生活の動作の中で、ほぼ全面的に介護が必要。

要介護4 ・みだしなみや掃除など、立ち上がり、歩行などがほとんどできない状態。

・排泄がほとんどできない。多くの問題行動や全般的な理解の低下が見られることがある、など。

・介護なしでは日常生活が困難。

要介護5 ・みだしなみや掃除など、立ち上がり、歩行や排泄、食事がほとどできない状態。

・多くの問題行動や全般的な理解の低下がみられることがある。ほとんど寝たきりの状態に近い、など。

・介護なしでは日常生活が送れない

 

要支援1、2は「生活機能が低下し、その改善の可能性が高いと見込まれる状態」の事を言います。
この要支援は維持介護予防サービスにより、
身体機能の維持や高齢化を緩やかにすることを目指します。
一方要介護は、「現在、介護サービスが必要である状態」で、
数字が大きくなるほど、より介護が必要であることを示しています。

元々、要介護1では介護サービスを受けるには早い段階だとされていましたが、
以前の記事、「仕事と介護の両立…増える要介護者に、社会はどう動くのか」でも話題に挙げたように、
要介護1でも受けられる制度や保険商品が拡充されてきています。

こうした要介護1でも介護サービスなど受けられることは、
介護者の負担が大幅に減ることに繋がるので良いことです。
しかし、こうした認定の範囲が広がれば広がるほど要介護認定を受ける人は増え、
それに並行して介護給付費も増加しているのです。

増加し続ける介護給付費

介護給付費とは、1年間にかかった介護サービスの保険料支払い額のことをいいます。
簡単に言えば、介護をするために払っているお金です。
この介護給付費が今、超高齢化社会を表すかのように増加の一途をたどっているのです。

2016年度に厚生労働省から発表された「介護給付費等実態調査」によると、
介護保険制度が始まった2000年では、年間3兆2427億円だった給付費が、
2016年には年間9兆6,924億円となり、過去最高の値になりました。

これが私たちにどういった影響を与えているのかというと、
そもそも介護保険は国民全員が40歳になった月から加入して保険料を支払い、
介護が必要な要介護者が、介護サービスを受けられるように支える仕組みで、
保険制度の半分がこの40歳以上の国民によって成り立っています。
そしてそのもう半分は税金が投入されているのです。
結果、給付費が増加すると、私たち国民の税の負担が重くなっていくのです。

給付費が増加した理由については、
年齢が上がるにつれて一人当たりの介護費が増加していることが挙げられます。
さらに、年齢が80歳を越えたあたりから介護費用が上がります。
それを裏付けるデータを厚生労働省が発表しています。

年間の介護費用が65〜69歳では3.5万円。それほどかからないように思うかもしれませんが、
75〜79歳では17.1万円。
85〜89歳では79.9万円。
90歳超に関しては153.9万円になっています。

この結果を見て分かるように、年齢を重ねるごとに一人当たりの介護費用が増加しています。
しかしそれは、人間歳を取れば取るほど体が思い通りに動かなくなるのは自然なことで、
介護費用が高くなってしまうのも自然な流れなのです。

では、今の私たちには何ができるのでしょうか。
そこで求められるのは、介護が必要な状態にならないように予防をすることであり、
周りの人たちが地域で高齢者を支える「地域福祉」という考え方です。

地域社会で支える高齢者

地域福祉とは、住民や自治体、様々な組織が協力し合いながら
地域の課題を解決する活動全般のことを指します。
この地域福祉は「助けたり助けられたり」「おたがいさま」という、
前回の記事でもお話しした、「共助」の関係を構築することになります。
高齢者を家族だけではなく、地域で支えて行くことが高齢者や介護者の心の支えになり、
高齢者の身体能力の低下や認知症などの症状悪化を抑えることで、
介護費用を減らすことにつながるのです。

まとめ

超高齢化により、40歳以下の人口と日本人口全体における割合が逆ピラミッドになっています。
今後も人口増加、少子高齢化は進んで行くことでしょう。
そんな中で現役世代にできることは、少しでも経済を良くして行こうと前を向くこと。
終活世代の高齢者ができることは、地域とのコミュニケーションを活発にして人との繋がりを強めること。
超高齢化社会ではなく、超長寿化社会としてポジティブに受け止め、
希望を持って人生を生きていくことが大切です。

【関連リンク】
仕事と介護の両立…増える要介護者に、社会はどう動くのか
行政では支えきれない?重要視される人と人との支え合い

 


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