【終活】大切な人との別れ、悲嘆を乗り越えるために

人は誰しも、生きていく過程で別れを経験することがあります。

その経験が終活を考えたり、
終活をはじめるきっかけになった方もおられるのではないでしょうか。

ただ、事故など、突然の死別は心の準備が難しく、
自力で悲しみから立ち直ることは簡単なことではありません。

この悲嘆を乗り越えるために近年、
「グリーフケア(悲嘆ケア)」の一環としてある取り組みが広がっています。

以前お話ししたグリーフケアを振り返りながら、新たな取り組みを紹介したいと思います。

「グリーフケア(悲嘆ケア)」とは?

以前の記事
「【終活】死別の悲しみに寄り添う「グリーフケア」と介護現場との関係性」でも取り上げましたが、
「グリーフ」とは「悲嘆(grief)」の意味であり、
家族や友人など親しい人との死別で受けた深い悲しみから心と体を癒すために、
周囲の人々が寄り添いサポート(ケア)することです。

グリーフの反応は個人差がありますが、
睡眠障害や食欲障害などの「身体的な反応」、
感情の麻痺や自責感などの「精神的な反応」、
ぼんやりしたり、死別をきっかけとした反応性の「うつ」によるひきこもりなどの
「日常生活の行動の変化」
といった、症状が現れます。

これらは自然な症状で、
そのような状態の人に寄り添い、援助することが
「グリーフケア」となるのです。

しかし、グリーフに陥っても、自分自身の心のケアができない場合もあります。
例えば、行政的な手続き、死別の場合の遺品整理や相続問題、
仕事の引き継ぎや後始末、
子どもの学校の準備や子どもの心のケア
などやらなければならないことが沢山あるからです。
それにより、職場で今までは対処できていたことが難しくなってしまい、
今までの仕事量がこなせなくなることもあります。
そのストレスから人間関係が煩わしくなったり、
不眠などで疲れが取れなかったりと体調不良を訴えるようになってしまうのです。

さらに問題なのが、
自分がグリーフに陥ってしまっていることに気づいていない人がいるということです。

自分では気持ちの整理がついているように感じても、実際はそうでないことが多いため、
グリーフに気付かず体と心を酷使して体調を崩してしまうのです。
グリーフの状態から立ち直るには、周囲の人の支えが必要です。
人と人との交流が薄れてきている現代では、それが難しくなりつつあります。


配偶者との死別増加、浮きぼりになる問題

2015年の国勢調査「65歳以上の有配偶関係」の表を見ると、
65歳以上で配偶者と死別した人は男女合わせて約864万人で、
1990年からの25年間で約1.5倍に増加しています。

さらに、団魂世代が70代を迎えることから、今後も増え続けて行くとみられます。

こうした配偶者を亡くされた方の増加や、
近年、核家族化が進み、地域との繋がりも薄れてきていることから、
遺族を支える人が減少しているのです。

65歳以上の人だけでなく、
30~40代の現役世代が直面する仕事や子育ての問題も浮きぼりになっています。

このような現状を受けて、グリーフに陥った遺族を支援する自助グループが近年増え始めています。

語り合う場で同士と癒し合う

2003年12月、公益社が設立した遺族支援組織であり
有職者の講演会や体験談の語り合いの場を毎月提供する「ひだまりの会」

配偶者を亡くした遺族に特化した支援を行う「ほほえみネットワーク」

そして30~40代の若い世代にピントを当て、同じ境遇の人々と共感と理解を
深めていくことを試みとした「die-a-log LABO(ダイアログラボ)」

これらの組織に共通する取り組みが、
大切な人の死後間もない遺族が、同じ境遇のメンバーと対話を重ね、
共感と理解を深めて悲嘆から回復に繋げようというものです。

また、組織の取り組みだけではなく、「お一人様」向けのサービスが支えになるケースもあります。
旅行大手のクラブツーリズムが2015年、
ツアー旅行に一人で参加する人向けに集合場所を下見するバスツアーを企画したところ、
配偶者を亡くした女性が多数参加したといいます。
その中の3年前に夫と死別した60代の女性は、
「ずっと夫に任せきりだった。
一人では集合場所まで行くのも不安」と話していたといいます。

ツアーを企画した添乗員は、
「同じ境遇の人と出会える場にもなっており、
つらい思いをした人たちが一歩前に踏み出す後押しになれば」と話し、
企業のグリーフケアへの関心が高まっていることがうかがえます。
核家族が増え、地域との繋がりが薄れる中で、グリーフケアの一環として
これら自助グループや、企業のサービスが遺族の心を癒す場として活躍しています。

グリーフは自然なことです。
大切なのはできるだけ無理はせず、周囲の人や専門家に助けを求めることです。
信頼できる身近な人や、カウンセラー、
先ほど紹介した組織などで話を聞いてもらうことは立ち直るための助けになります。

「自分の心の声」にしっかり耳を傾けてあげましょう。

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終活とは成熟した大人がこれからの人生をどのように楽しみ、
次の世代に何を託すのかを決める作業です。
何かを決めるということは大変な作業ですが、
それだけにその決断は大切なヒトへのやさしさや愛情になるのではないでしょうか。
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