【終活】増え続ける空き家、防止策は?

終活を行う上で、日々生活を営んでいる住まいの問題も、
とても大きな問題です。
現在、全国の空き家の数が増加の一途を辿っています。
総務省が行った調査では日本国内の空き家の数は、
2013年は820万戸ですが、
野村総合研究所の試算では、
2033年には約2160万戸に膨らむとの考えが発表されました。
今後ますます空き家問題が深刻化していくことが予想されます。
そこで今回は、住み手がつかず放置されてしまった空き家に焦点を当てて紹介します。
なぜ空き家を放置してしまうのか、
放置することで及ぶ影響、放置を防ぐための活動などについて見ていきましょう。

空き家の種類

総務省統計局が発表した「平成25年度住宅・土地統計調査」から、
日本の総住宅数は約6063万戸、
その内の約820万戸は空き家
だということが分っています。
これは日本の総住宅数の13.5%を占める割合です。

その空き家には大きく4つの種類があります。
それぞれの定義を具体的に説明します。

○二次的住宅・・・週末や休暇の際に避暑や避寒、保養のために使われる別荘。
残業で遅くなった時に寝泊まりする家のように普段は人が住んでいない住宅。空き家全体の約5%を占めています。

○売却用の住宅・・・新築、中古に関わらず売却を目的として空き家になっている住宅。
空き家全体の約4%を占めています。

○賃貸用の住宅・・・新築、中古に関わらず賃貸のために空き家になっている住宅。
空き家の全体の約53%を占めています。

○その他の住宅・・・転勤、入院などの何らかの理由によって長期不在になっている住宅や、取り壊すことになっている住宅。
空き家全体の約39%を占めていて近年最も増加傾向にあります。

上記の内の「その他の住宅」は住み手が見つからずに放置されてしまう可能性が高いです。
ではなぜ所有者達は空き家を放置してしまうのでしょうか?

放置された空き家が増える理由

放置された空き家が増加している一つ目の理由として「固定資産税」があります。
「固定資産税」とは毎年1月1日に土地、家屋、償却資産(これらを総称して固定資産といいます)を所有している人が、
その固定資産の価格をもとに算定された税額、を所在する市町村に納める税金のこと
です。
固定資産税は家屋の立っている土地に対しては住宅用地として軽減措置がとられています。
しかし、空き家を取り壊し更地にすることで固定資産税が最大6倍になってしまうことがあります。
したがって、所有者は空き家を撤去せずにそのままにしてしまうのです。
二つ目の理由は「解体費用」です。
一般的な木造家屋で解体に100万円、鉄骨や鉄筋コンクリート造りなどは150~200万円ほどかかる場合もあります。
空き家の所有者には住む人がいないから仕方なく持っている人が多く、
必要のないものにお金をかけるわけにはいかないと考えているので、そのまま放置してしまいます。
さらに経済面だけではなく、気持ちの整理がつかず撤去をためらってしまう人もいます。
長い間、生活の拠点として住み続けた住宅を壊すことをためらうことは不思議ではありません。
さらに、現行の建築基準法が施行される前に建てられた古い空き家は、
再建築が認められていない土地になっているケースがあります。
このような事情から解体せずに放置する空き家が存在します。

国土交通省が2014年に行った実態調査では、
空き家に人が住まなくなってからの期間は「10年以上」が31%で最も多く、
「5年以上10年未満」を合わせると50%を超えています。
半数以上の空き家が長期間使われていないことが分かります。

空き家の放置が及ぼす悪影響とは

空き家は放置されることによって、以下のように周辺環境に悪影響を及ぼす場合があります。

・ゴミ、電化製品の投棄、害虫の発生により近隣の方に精神的苦痛を与える。

・不審者が勝手に侵入し住み着いたり、未成年者の溜まり場と化し近隣の方を不安にさせる。

・発見されにくい場所と認識され、犯罪行為が行われ風評被害を受ける。

・放火される対象になり易く、放火されることで隣接する建物が延焼し第三者に被害が及ぶ。

・地震などの災害が発生した際、倒壊して避難路をふさぐ可能性がある。

周囲にこのような迷惑をかけないためにも管理者が定期的に雑草処理やクリーニング、ポストの郵便物の処分、
換気を行い、建物の風化を防ぐなどをしていくことが大切です。
しかし、空き家を何とかしたいと考えてはいても、
どうしたら良いか分からず困っている所有者もいるでしょう。
その現状を受けて、空き家問題に取り組む活動やサービスが全国で広がりつつあります。

空き家増加を防ぐための活動

置される空き家の増加を防ぐため、
NPOや自治体が主導で行う活動やサービスがあることをご存知でしょうか?
その一部をご紹介します。

「NPO法人空き家コンシェルジュ」は2013年、
東京の住宅関連会社に勤めていた有江正太さん(45)が立ち上げた法人です。
転勤で故郷の奈良県に赴任した際、
空き家の多さを目の当たりにし、危機感を抱いたことがきっかけで設立されました。
この法人は空き家をかかえる所有者や、
今後空き家になる可能性が高い独居高齢者が住む住宅の所有者や、
空き家・空き地の増加に懸念を示している行政・自治体に向けて、
空き家や空き地の定期巡回や維持管理、有効活用の勉強会などを開催しています。
また有江さんは奈良県内の市や町と組んで「空き家バンク」も運営しています。
「空き家バンク」とは自治体や自治体から委託を受けた団体によって運営される、
空き家所有者と利用希望者のマッチングをする仕組みです。
実は20年以上も前からこの制度は使われていましたが、
全国に広がったのはここ最近のことです。
これまで複数の物件で売却や賃貸につながっており、
空き家問題の解決の一手として、
普及していくことが期待されます。

「兵庫空き家相談センター」は、
親から家屋を相続する人の支援に重点を置いたNPO法人です。
不要になった遺品の取り扱いなどについて遺品整理士や建築士と協力し、
相続人らに家財の処分や家屋の新しい活用法を提案しています。

さらにはこの状況を踏まえ国は2015年、
空き家対策に関する特別措置法を施行しました。
これにより倒壊の危険や景観を損なう空き家を「特定空き家」と位置づけ、
自治体が所有者に撤去や修繕を命令できるようになりました。

このように空き家バンクなどのサービスを利用して、
空き家を賃貸物件として貸し出したり、
空き家を介護センターやオフィスとして再利用する活動も広まってきています。
自分や家族だけではなかなか解決できない空き家問題も、
専門の団体や法人を活用することで、解決の手助けとなることでしょう。
思い出が深く、なかなか手放せない家でも、
放置することによって余計にお金がかかってしまうケースもあります。
そうなる前に、元気なうちから家の将来について考えることが大切です。

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エンディングノートや遺言をつくることだけが終活ではありません。

終活とは成熟した大人がこれからの人生をどのように楽しみ、次の世代に何を託すのかを決める作業です。

何かを決めるということは大変な作業ですが、

それだけにその決断は大切なヒトへのやさしさや愛情になるのではないでしょうか。

リガーズサービスのコラムが、あなたの充実した終活のお役に立てれば幸いです。

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