【終活】まだまだ元気!増加する働く高齢者②

前回のコラムでは、65歳以上の高齢者を雇用する企業が増え、働く高齢者が増えていることをお話しました。
その理由は、若い人の人口減少により働き手が減っているだけでなく、元気な高齢者が多く、就労ニーズが高まっていることが挙げられています。
また、高齢者の雇用に対して前向きな企業も増えてきました。

では何故、体も元気で活気のある若い人だけでなく、高齢者も雇用しようと思ったのでしょうか。
それにより、企業側、高齢者側にメリットはあるのでしょうか。

今回はそのメリットについて中心にお話します。

働くことで得られるメリットとは

まずは、働くことで高齢者にどういったメリットがあるのか見て行きましょう。

■収入を得ることができる
前回のコラムでもお話したように、年金が支給されるのは65歳から。
定年退職は60歳からなので、5年間は収入が無い状態になり退職金・貯金で生活をすることになります。
ただ、貯金をどんどん崩していくというのは、徐々に不安を煽るものです。
そういった不安を、働いて収入を得ることにより減らすことができます。

■体が健康になる
働き始めると、規則正しい生活になるので頭を使うようになります。
頭をよく使うことで認知症の予防にもなり、軽い仕事でも作業をすることで程よい運動になるので運動不足が解消されます。
また、雇用形態によっては健康診断を受けることができるので、病気の早期発見にも繋がる可能性があるのです。

■コミュニケーションが取れる
老後生活でこもりきりになると、外部との関係が絶たれてしまい、孤独を感じてしまう方が少なくありません。
しかし仕事をすると、職場のスタッフとコミュニケーションがとれ、接客の仕事だと直にお客様から喜びの声をもらったりと刺激があります。
これにより、仕事をしていることの充実感や、生きていることへの満足感を得ることができるのです。

次に、企業が何を求めて高齢者を雇用しようと考えているのか、企業側が高齢者を雇うメリットを見て行きます。

■真面目に勤務する人が多い
高齢者男性の就業意欲のある人は、60歳から65歳までで50%を超えているとされています。
そして働く姿勢は真面目で、接客態度も良く若手の見本になるなど、企業とお客様から好評価を得ているのです。
職員・店員の好評価は企業への評価につながるので、企業側には大きなメリットになります。

■客層に変化をもたらす
高齢者のスタッフが増えると、同年代の高齢者の来店が増えたというお店が多く見られます。
来店する高齢者のお客様からは、「同世代の人が働いているとお店に入りやすい」「同世代の人が頑張って働いているのを見ると、元気をもらえる」などの声をいただいているようです。

■時間の融通が利く人が多い
定年を過ごす人は時間に余裕がある人が多いため、勤務時間に融通が利きやすいということが挙げられます。
働く人の中には、少しだけ働ければいいという方もいるので、普通だと人を見つけにくい短時間勤務の枠を受け入れてくれる人の割合も、高齢者が高いとされています。

■高齢者の経験と人脈を活かすことができる
多くの人脈を築き、様々な事を現役世代に経験してきた高齢者の知恵や人脈を活用してもらい、新しい事業展開や、新商品の開発を行っている事例もあるそうです。若い人には思いつかない新しいアイディアが出てくることは、企業側にも大きなプラスとなっています。

以上が、高齢者側と企業側が得られるメリットになります。

実際に企業で働く高齢者

企業が高齢者を雇用している事例は前回のセブン-イレブンでも話しましたが、別の企業の実例もあります。
仏壇・仏具等の小売り販売を行っているある企業。こちらでは「高年齢者スポット勤務」を実施しています。
高年齢者スポット勤務とは、平常時に1日4時間の短時間勤務、繁忙期は1日8時間フルタイム勤務と、業務量の変化に合わせて高齢者を活用する取り組みです。

その高年齢者スポット勤務を取り入れることで、通常働いている時間に他の従業員が休憩をとることができるようになりました。
そして、繁忙期に必要な人員の確保もできるようになったのです。

また、高齢者は年配のお客様の気持ちに寄り添った接客ができることから、お客様に安心感を与え、それが信頼に繋がります。
これにより顧客の満足度の向上という大きな成果を得ることができたそうです。

このように高齢者の雇用によって、企業や他の従業員に大きなメリットを与えると同時に、働きたいという高齢者のニーズを満たすこともできるのです。

さらに、高齢者を積極的に雇用する企業に対して厚生労働省は助成金を支給しているので、企業にとっても高齢者を雇用することは大きなプラスとなるでしょう。

まとめ

今後も高齢化・長寿化は続いていくと言われ、少子化になり働く若者が少なくなっていくことが懸念されています。
その中で、働く意欲のある高齢者を積極的に活用していくことは、今後の社会には必要不可欠となるでしょう。

高齢者の方も、もちろん老化により体が思うように動かず働けるかという不安もあるかもしれませんが、高齢者の方には経験という大きな武器があります。
それに、働くことは認知症や病気の予防にも繋がり、さらに人とコミュニケーションが取れ明るく前向きな気持ちにさせてくれます。
行政も、高齢者を積極的に雇用していくための支援策をはじめています。
今後は、高齢者が働きやすくなる制度がさらに整えられていくことでしょう。

働く意欲が残っている終活世代・高齢者の方は、再度働いてみることを前向きに考えてみてはいかがでしょうか。

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それだけにその決断は大切なヒトへのやさしさや愛情になるのではないでしょうか。
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【終活】まだまだ元気!増加する働く高齢者①

最近、近くのセブンイレブンで、高齢の男性が働いているのを目にしました。
男性は他の従業員の方に助けられながらも、てきぱきと仕事をこなしていました。

この「セブン-イレブン・ジャパン」では、積極的に高齢者の雇用を増やしているそうです。
こうした高齢者を雇用する企業が今増加しつつあります。

その背景には、高齢者の長寿化や元気なシニアが増えていること、そして長く働きたい高齢者が多いことが挙げられます。
今回は、そんな高齢者を積極的に雇用する企業と、それによる高齢者へのメリットをお話します。

働く意欲のある高齢者。雇用する企業

内閣府が発表した「平成28年版高齢社会白書」全産業の雇用者数の推移によると、高齢者の雇用者数が右肩上がりになっており、平成27年の時点で60~64歳の雇用者が438万人。
65歳以上の雇用者は458万と、初めて65歳以上が60~64歳を上回りました。
65歳以上人口に占める65歳以上の雇用者数の割合も年々上昇傾向にあります。

この結果を見ても分かるように、65歳以上になっても、働く高齢者が多いということです。

では、なぜ65歳を過ぎても働く高齢者は増えているのでしょうか。
これには、高齢者の生活環境の変化、そして意識の変化が理由に挙げられています。

以前の記事「【終活】いくつになったら高齢者?」でも話題に取り上げた、40歳以上の男女1600名に行ったアンケートでは「働けるうちはいつまでも働きたい」と考えている人が多いことが分かりました。
このように高齢者の働く意欲が高くなっていることと、年金支給年齢が上がったことも働く高齢者が増える理由の一つとなっています。
60歳で定年退職をしても、年金がもらえるのは65歳から…。
退職金だけでは心もとないと考え、年金が支給されるまでは働きたいと考えている高齢者が多いのです。

しかし、定年を延長している企業はそう多くありません。
定年後も収入を得るには、新しい企業への就職が必要な場合があるのです。

そんな中、積極的に高齢者を雇用する企業が少しずつ増加しています。

東京都新宿区にある「モスバーガー」の店舗では、働いている従業員8人のうち半数が60歳以上の高齢者です。
この店舗のパート従業員である72歳の女性は、「年金と給料で生活にゆとりができる。体力が続く限り働きたい」と、午前10時~午後6時の間で週3日働いています。
運営する「モスフードサービス」は、パートの雇用に年齢上限を設けておらず、「大学生を採用しづらい時間帯で経験豊富な高齢者は欠かせない」と高齢者雇用に積極的な意欲を見せています。

また、冒頭でも述べましたコンビニエンスストア、「セブン-イレブン・ジャパン」では、全国の加盟店で働く65歳以上の高齢者が1万2,000人にものぼります。
これには自治体との連携が背景にあります。
現在、自治体は高齢者の自宅を訪問する見守り活動が不十分な状態です。
その代わりにセブン-イレブンのコンビニ店員が、高齢者宅へ弁当などを配達することで自治体の活動を補っています。
これにより、自治体は住民サービスを高められるようになりました。
それに対し、自治体は高齢者の働き口としてセブン-イレブンと協力し、高齢者の雇用を増やし、コンビニの慢性的な人手不足を解消しています。
こうした自治体との連携が行われているのです。

このようにまだまだ少数ですが、高齢者を雇用する企業は徐々に増えてきているのです。

高齢者・雇用する会社へのメリットは…

今回は、高齢者を雇用する企業が増えてきている事例をご紹介しましたが、そもそも何故企業は高齢者を雇用しようと考えているのでしょうか。
少子高齢化により人手不足という理由もありますが、実は高齢者を雇用することで、企業にも高齢者にも大きなメリットがあります。

次回は、その高齢者側・企業側へのメリットについてご説明します。

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【終活】お墓の引っ越しで先祖を守る

少子高齢化と年間130万人もの人が亡くなる多死社会。

それに伴いお墓を継承する人は減り続け、代々受け継いできたお墓を守るのが難しい時代になっています。

少し前までは「あとは子世代に任せる」という人が多かったのですが、近年では「自分たちが元気なうちに解決しておきたい」と考える人が多くなっているお墓問題。

そして近年、お墓のお引っ越しである「改葬」が増加傾向にあります。
以前、改葬を取り上げたコラムでは、改葬を行う上でのおおまかな流れや必要な手続きについてご紹介しました。

そこで今回は、前回の記事「【終活】増える改葬。今時のお墓事情とは?」の続編として、改葬のメリットや、具体的な費用についてお話していきます。

増える「改葬」その背景

少子高齢化と都市部への人口集中からそのニーズを高めている改葬。

郷里のお墓が遠方のため管理が大変だったり、子どもがいない人や、高齢の人にとってはお墓の管理や維持が難しいのが実情です。

この状況では、いずれお墓を継承する親族がいなくなり、放っておけば管理されず荒れ果てた「無縁墓」が増えるのは避けられません。

そのような背景もあり、お墓参りが難しい遠方のお墓を閉めて近くに永代供養墓を購入したり、郷里のお墓を取り壊して、住まいの近くに新しくお墓を建立するなど、お墓の引越し「改葬」をする人が増えています。

その改葬に主には4つの方法があります。
区画の大きさや霊園の基準などがあるので、引越し先の条件にあった方法を選ぶ必要があります。

引っ越し先の状況に合わせて、最適な方法を選びましょう。

改葬のメリット、かかる費用

少子高齢化などの社会構造の変化に伴い、改葬について検討する人は増えています。
お墓の維持管理の負担を減らしたり、承継者を必要としない供養ができるなどのメリットが多くあるからです。

それでは具体的なメリットをみていきましょう。

改葬で得られる多くのメリット

1.無縁墓を防げる
継承者がいなくなると、管理や補修などの人の手が入らなくなりお墓が荒れ果ててしまいます。そうなると他のお墓や墓地全体に迷惑をかけることにもなりかねませんが、改葬することでこのようなお墓の無縁化を防ぐことができます。

2.お墓の継承の必要がなくなる
納骨堂や樹木葬など、継承の必要がない埋葬方法に切り替えれば、子世代の管理負担を減らすことができます。また、継承者がいない場合や、いても管理を頼むのが難しい場合などでも安心です。

3.今のお墓の管理者に年管理費を支払わなくてよくなる
年に数回、もしくは数年に一度しか訪れないお墓であっても、
管理者に年間管理費を支払っている場合がほとんどでしょう。
改葬することで、めったに行かないお墓のための管理費を支払わなくてよくなります。

4.お墓参りにかかる費用を抑えられる
遠方のお墓は行くまでの労力だけでなく、費用も大きな負担になります。新幹線や飛行機などを使わなくてはいけない距離にあったり、日帰りで帰ってこれない場所にあったりすれば、交通費や宿泊費が必要になってきます。改葬することで、将来お墓参りにかかるトータルコストを抑えることができます。

5.利便性の高い場所にお墓を移すことで、頻繁に足を運べる
お墓が身近になれば、自然とお墓参りの頻度が上がります。お盆やお彼岸だけでなく、命日や家族にとって大事な日に足を運ぶこともでき、ご先祖様の存在をより身近に感じることができるでしょう。

このように、改葬には多くのメリットがあります。

次に費用です。前回の記事で少し紹介しましたが、状況によってかかる費用は異なってきます。
目安としては全国平均で「300万円」となっています。

その費用は大まかに3つに分けられ、移転元の墓石の撤去、移転先の墓石の建立、永代使用料が主なものになります。
合計すると新たにお墓を購入するのと同じくらいの金額が必要です。

さらにお墓の永代使用には管理費も発生するので、改葬の初期費用だけでなく管理費など継続してかかる費用についても想定しておくことが重要です。

ただしこの相場、地方によって同じ改葬でも金額がずいぶん変わってくることがあります。

その理由として、お墓の構造が日本全国全て同じではないことが考えられます。
火葬の際、関東では全骨収骨ですが関西では部分収骨が一般的なので、地域によって遺骨の量が違うのです。

一見全く同じように見えるお墓ですが、関西の納骨室は関東の約1/3程度の広さしかありません。

納骨方法の違いがお墓の構造の違いとなり、それに伴い改葬費用の差につながることがあるので注意が必要です。

先祖を守り続けるために…

少子高齢化や核家族化が進む現代、昔の「家制度」に沿ったお墓の維持は困難になってきています。

先祖代々一家がまとまって一つの場所に祭られるお墓は、かつて自らのアイデンティティーを確かめる場でもありました。

しかし家族の形が多様化した結果、家を継ぐといった考え方は古いものとなり、先祖を守りつながりを保つという先祖供養の意識が薄らいでいるのが現状です。

現在のお墓が家族にとって負担であったり、管理のできないままの状態が続くようであれば荒れ果てた無縁墓になってしまうのは避けられません。

少しさみしい気もしますが先祖代々からのお墓を締め、きちんと供養してもらえる場所にお墓を移すのも選択肢の一つです。
先祖を守るという意味では、「改葬」は合理的で責任感のある選択といえるでしょう。

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【終活】育児と介護の両立…。ダブルケアの実態とは?②

前回ご紹介した、「ダブルケア」で浮き彫りになった働く女性への問題。
高齢の家族のケアをしながら子育てに励むには、経済的な負担や体力的な負担、さらには精神的な負担が大きくのし掛かっていることが分かりました。

そんな育児と介護に悩む”ダブルケアラー”を、地域の自治体や団体などでサポートをする取り組みがはじまっています。

今回は、そんなサポート活動をご紹介します。

どんな支援が必要?地域で行われているサポート活動。

2016年の厚生労働省による「高齢社会に関する意識調査」によると、ダブルケアラーへどのような支援が必要かというアンケートに、33.6%の人が「介護も育児も合わせて支援サービスが提供される場所を地域でつくる」、最も多い43.3%の人が「介護も育児も合わせて相談できる行政窓口」と答えていました。
この結果から、多くの人は相談をする場所を求めている傾向であることが分かります。

しかし、介護と育児それぞれに相談窓口は存在していますが、窓口が違うことでたらい回しにされる場合があり、ダブルケアラーに対するサポート制度は整備が進んでいないのが現状です。

そんな中、ダブルケアに悩む人のニーズに応えるカタチで、地域でサポート活動が増えています。
その一部をご紹介します。

■横浜市港南区「お喋りカフェ
「ダブルケアカフェ」とも呼ばれるこちらのカフェは、地域コミュニティスペースで毎月開かれており、ダブルケアラーの駆け込み寺となっています。
地域のダブルケアラーが20人近く参加し、それぞれの悩みを共有しています。
参加者の中には、「高齢の親の症状は悪くなるばかりで、負担が大きい。正直『早く亡くなってほしい』と思ったことがある。」涙ながらに悩みを打ち明ける女性もおり、その女性の気持ちに寄り添うように参加者から「あなただけではない」と慰めの言葉をもらうそうです。
「こうして経験者や当事者が集まって話を聞くだけで、1人で抱えている悩みを減らすことができる。」と主催者は話します。
他にも、「一般社団法人ダブルケアサポート横浜」を立ち上げ、各地でセミナーやイベント開催のサポート、啓蒙活動など、全国への発信を行っています。

■大阪堺市「ダブルケア相談窓口」
2016年10月に、堺市内の7区それぞれが持つ基幹型包括支援センターにダブルケア相談窓口を設けました。
窓口には主任ケアマネージャーや保健師、社会福祉士ら介護と育児のプロが常駐しており、介護と育児どちらの相談も一緒に行えます。
他にもセミナーなどを開催するなど、積極的に支援活動をスタートさせています。

■京都府「ガイドブック作成・配布」
2017年にダブルケアの啓蒙活動として、「仕事と介護・子育て両立支援ガイドブック」の小冊子を作成・配布を行いました。
またインターネットを用いたアンケートを行い、現状を把握したうえで子育て世代包括支援センターと市町村設置の地域包括支援センターとの情報共有を強くしています。
さらに、両センターの職員が介護・育児両方の相談に応じることができる体制作りや、介護のケアプラン作成の際に子育てにも配慮した計画作りを行っています。

地域だけではない。ダブルケアに対する公的な制度や民間企業サービス。

こうした地域のサポート活動だけではなく、まだ十分とは言えませんが現在行われている制度や、民間企業のサービスを活用することでダブルケアへの負担を減らすこともできます。

働きながらダブルケアを行う場合、育児休業給付や介護休業給付など公的な制度を利用すると良いでしょう。
これは、雇用保険の給付の一つで、育児や介護のために仕事を休む場合に手当が支給される制度です。

この他にも、デイサービスや育児支援サービスなどを利用することもできます。
これにより子どもの行事への参加や、介護している親の通院の付き添いなど、どうしても手が離せない場合に負担を減らすことができます。

買い物や食事の支度、掃除など、家事の一部分を手伝ってもらう宅配サービスや代行サービスの利用も、毎日のケアの場面では大きな負担軽減の一つとなるでしょう。

まとめ

ダブルケアへの地域でのサポートや、公的な制度の負担軽減の話をしましたが、今後社会の高齢化が進みますますダブルケアの事例が増えて行く中で、これだけでは対応しきれないのが現状です。

まずは、このダブルケアの現状を周知させるために啓蒙活動を進め、企業内でもダブルケアについての認識を深めることが必要となってきます。
前回のコラムでも紹介したように、ダブルケアラーは30代~40代が中心。
働き盛りで優秀な人材が多いため、つなぎ留めるためにも企業側が後押しし、家族で支え、国や自治体も負担軽減に動く未来が求められています。

終活世代の方々にも、ダブルケアに悩んでいる人がいらっしゃると思います。
そんな時は1人で抱え込まず、早めに窓口や身近な人に相談しましょう。

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【終活】育児と介護の両立…。ダブルケアの実態とは?①

近年、晩婚化に伴い「ダブルケア」の問題が浮き彫りとなっています。
ダブルケアとは、育児と介護を同時に担う状況を指し、働く女性にとって今大きな問題となっています。

終活世代の方の中にも、高齢の家族のケアをしながら子育てに励んでいる方がいることでしょう。

今回はそんなダブルケアの現状と、ダブルケアで悩む女性の「ケア」を行っている自治体についてお話していきます。

「ダブルケア」を行う人の増加。晩婚化が背景に。

ダブルケアをする人の増加には、冒頭で少し触れた晩婚化が背景にがあります。

厚生労働省が平成27年に発表した「婚姻に関する統計」によると、男女共に初婚の場合の平均年齢が男性は30.7歳、女性が29.0歳。
そして、初産時の母親の平均年齢は30.7歳ということが分かりました。
20年前よりも3.2歳も上昇し、都心部であるほど初産の年齢が高い傾向にあります。

こうした晩婚化に伴い、女性が子どもを出産する年齢が上昇することで、高齢となった親の介護と育児の板挟みとなるダブルケアになる場合が多いのです。

平成27年の国民生活基礎調査の表を見ると、ダブルケアを行っている人の人口は男女合わせて約25万3千人にも及んでいます。
また、年齢層を見てみると30~40歳代が全年齢層の約8割を占め、現役で働く世代がダブルケアを行っている割合が多いということが分かります。
そのうち、3人に2人が女性であり、女性の負担の偏りが浮き彫りになりました。

また、内閣府の「育児と介護のダブルケアの実態に関する調査(2016年)」によると、ダブルケアにより仕事量や労働時間を減らしたと答えた人の割合は男性が18.7%、女性が38.7%と女性の就業への影響が大きいことが分かります。

昨今、働く女性が多い中でこの数値がどれだけ影響を与えているのでしょうか。
ある女性の一例をご紹介します。

埼玉県に住むAさん(38)は子どもを出産し、育児休業を終えて職場に復帰したばかりの頃、
母親(66)が脳梗塞で倒れ、体にマヒが残ってしまいました。
家事に不慣れな父親(69)だけで介護をすることは難しいと考え、理解のある上司に背中を押され最長3年ある育休制度を延長することを決めました。

しかし、まだ小さい子どもの世話に加え、母親のケア、両親分の食事を用意する毎日に手が足りず、Aさんは「一日中人の面倒を見続ける無限ループに、逃げ出したくなる」「私は本当に職場に復職できるのか…」と不安をこぼしていました。

女性が活躍する現代では、こうした仕事と育児と介護の板挟みに悩む人が今後も増加する可能性があります。

ダブルケアに必要な支援とは…

主にダブルケアの問題としては、
子どもの教育の費用の他に、親の介護や通院にかかる費用の負担と、親と子どもが同時に体調を崩したり、介護と子どもの帰宅が重なってしまう体力的な負担、周囲の協力が得られず、1人で2つのケアをしている場合の精神面の負担が挙げられます。
それに仕事も加われば、さらに大きい負担となることは目に見えています。

しかしこうした問題に対して、まだサポートする制度が整っていないのが現状です。

そんな中、地域の自治体や団体などで、こうしたダブルケアに悩む人をサポートする取り組みが各地で行われ始めています。

次回では、自治体でのダブルケアに悩む人へのサポート活動をご紹介します。

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【終活】自転車がシニアの新しい足?増加しつつある電動アシスト自転車。

前回のコラム「【終活】増える高齢者の危険運転。家族はどう対処する?」でもご紹介した、高齢者の運転卒業。
運転卒業をためらう高齢者の中には、生活をする上で車の運転はかかせないという方がいるというお話もしました。
そんな中、新しい高齢者の移動手段として、電動アシスト自転車に注目が集まっています。

足腰が弱っている高齢者には、今時の電動自転車は性能が良いため便利で使い勝手がよく、利用する高齢者も増えています。
しかし、電動アシスト自転車は車と同じ扱いとなるため、一歩間違えると歩行者を巻き込んだ大きな事故になりかねません…。

今回は、そんな電動アシスト自転車のメリット、デメリットについてお話させていただきます。

増える電動アシスト自転車に乗る高齢者。

警察庁の調べによると、運転免許の自主返納件数は上昇傾向にあり、2016年には自主返納をした75歳以上の高齢者が、約16万2000人と過去最多を記録しました。
それに比例するように、自動車業界がまとめた表を見ると、2012年には約39万台の出荷だった電動アシスト自転車が2016年には約57万台と増加傾向にあります。
その背景にはこの運転免許証の自主返納があるとされています。

一度の踏み込みでグンと進み、らくらく移動出来る電動アシスト自転車は、運転免許証も返納し加齢により身体能力が衰えた高齢者にとって新たな移動手段としては最適なものでしょう。

自転車メーカー各社もシニア層に焦点を当て、高齢者が乗っても運転が簡単で安全な商品の開発を積極的に進めています。

しかし、電動アシスト自転車は大変便利なものですが、法律上「軽車両」として該当される物です。
扱いを間違えてしまえば、大きな事故に発展してしまうおそれがあります。

自転車による死亡事故も…。安全に走行するためには。

交通事故総合分析センター(ITARDA)の調べによると、電動アシスト自転車に乗っていて死亡した人は2001年の19人から、
2011年には50人と、2.6倍に急増していることがわかりました。
その85%が65歳以上の高齢者となっており、これは一般自転車の60%を大きく上回っています。

シニアの自転車事故の原因は法令違反によるものだと言われています。
電動アシスト自転車は法律上、自転車と同じ「軽車両」となるので、基本的には車道や路側帯の走行が義務づけられています。

しかし、電動アシスト自転車の手軽さから軽車両という認識が甘くなり、いつも歩道を歩くように電動アシスト自転車で走行してしまう場合があるのです。

さらに、電動アシスト自転車はひとこぎで時速12キロ以上に達すると言われているので、判断能力や運動能力が衰えた高齢者は若い人に比べ歩行者にぶつかったり転んだりと、大きな事故や怪我を招くおそれが高いのです。

そんな高齢化と運転免許自主返納の流れを受け、70歳以上専用の自転車保険も登場したり、2017年5月には自転車活用促進法により、「自転車は車道」という原則が徹底されはじめました。
少しずつではありますが、自転車に乗る高齢者や歩行者が、心から安心できる環境づくりが広がってきています。

自分に合った電動自転車を選ぶことで減る事故・怪我。

高齢化や運転免許自主返納が増えていく中、移動手段として便利な電動アシスト自転車はこれからも高齢者に求められると予想されています。
事故も増えることは懸念されますが、それだけで電動アシスト自転車に乗るなとは言えません。
メーカーによっては機能性だけでなく、倒れにくく安定性の高い電動アシスト自転車もあります。

そこで、電動アシスト自転車を選ぶ時、注意すべき点をご紹介します。

●用途に合わせた仕様を選ぶ(買い物ならカゴ付き、レジャーなら軽量など)
●低床設計など、体に合ったサイズを選ぶ(両足が地面に着く、またぎやすい)
●照明、テールランプは自動点灯のものがベター。
●BAAマーク(自転車協会認証)が付いているか。
●安全のためヘルメットも購入。
●複数のタイプを必ず試乗し、感覚を確かめる。
(出典:2017年10月日本経済新聞より)

以上の事に注意して、電動アシスト自転車を選んでみましょう。
メーカーの試乗イベントにも家族や親子で参加してみるのも良いかもしれません。

ある家電量販店の自転車試乗コースでは、「免許を返納したけど、普通の自転車での移動がつらい。」とこぼす都内の60代女性が電動アシスト自転車を試乗してみたところ、「想像以上に乗りやすい。歩かなくなって、かえって老化が進んでしまうかも。」と笑って喜び、電動アシスト自転車に乗り換えを決めたそうです。

また、自動車やバイクでの移動は心配だからと40代の息子さんが70代のお父さんに電動アシスト自転車を薦め、お父さんも「これに乗ったら普通の自転車には乗れないな」と試乗しながら感嘆したそうです。

メリットやデメリットもありますが、足腰が弱っている高齢者には電動アシスト自転車はかなり便利な物です。
終活世代の方も、いずれ免許返納をする時が必ずくるでしょう。
その時の新しい移動手段として、電動アシスト自転車を考えてみてはいかがでしょうか。
外の空気を感じながら遠出することで、車にはない新しい生きがいや楽しさを見つけられるかもしれません。

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【終活】増える高齢者の危険運転。家族はどう対処する?②

前回は、年々増加傾向にある高齢者が関わる交通事故の現状と、家族で高齢者の運転チェックをすることで、危険運転をしていないか自覚を持ってもらうお話をしました。

しかし、それでも自分の運転技術に大きな自信を持っていたり、運転に生きがいや喜びを感じている高齢者に卒業を促すことが難しい場合もあります。
こうした家族だけでは解決できない時、どうすれば良いのでしょうか。

今回は認知症などによる交通事故を防ぐために家族ができることや、悩んでいる家族に寄り添う相談窓口についてご紹介します。

認知症かも、と心配になったら…。家族でできる高齢者のケア。

高齢者ドライバーを家族に持つ方の多くは、危険運転が認知症の影響なのではと不安を感じていると思います。
そんな家族の不安を解消するために、国立長寿医療研究センターが制作した「認知症高齢者の自動車運転を考える家族介護者のための支援マニュアル」を元に、高齢者家族が「認知症かも」と心配になった場合の対応をご紹介します。

大事な3つの対応
●本人(運転者)の安全確保
運転が危険だと感じた場合は、認知症であるかどうかにかかわらず止めるよう促しましょう。

●正確な診断・病気の理解
できるだけ早く医療機関を受診し、正確な診断を受けましょう。

●本人にとっての「運転の意味」の理解
日常生活に車の運転がかかせないのであれば、代わりとなる運転手段や支援をしてくれるサービスを探しましょう。
また、運転に生きがいや楽しみを持っている方には、別の楽しみや生きがいを一緒に探してあげましょう。

運転中止後の2つの対応
●本人が忘れてしまうことを防ぐ
主治医に「運転中止」について文書を作成してもらい、自宅の目につくところに貼っておきましょう。

●本人の努力と判断に対し、言葉をかけてねぎらいましょう。

始めに認知症のうたがいがある際は、医療機関を受診し高齢者の状態を知ることが大切です。
2017年3月には、75歳以上の高齢者は3年に1度の免許更新の時に記憶力や判断力をチェックする認知機能検査を受けることが法律で定められました。
今までは「認知症のおそれ」となっていてもそのまま免許の更新ができましたが、現在はきちんとした医師の診断が必要となり、認知症と診断されれば免許の取消か停止の対象となります。

しかし中には、前回のコラムでも取り上げたように、運転がいきがい・楽しみ・自立の証と思っている人もいるため、診断により免許を取消・停止された高齢者が家に引きこもってしまう場合もあります。
そんな時は、家族や周囲のサポートがあると良いでしょう。
趣味の講座やサロン、家庭菜園、デイサービスなど、地域で別の生きがいを一緒に探すことが大切です。

そしてもう一つ大切なのは、今までの感謝の想いをきちんと伝えることです。
今まで送り迎えなど車の運転で人の役に立っていた分、運転を止めると気持ちが落ち込む場合があります。
そこで、「これまでありがとう」「これからは代わりに運転するよ」とねぎらいの言葉をかけてあげましょう。
そうすることで、車から離れた人生のセカンドステージをポジティブな気持ちで迎えることができるのです。

抱え込まないで相談を。警察署に存在する相談窓口。

ただ、家族だけでは説得できない場合もあります。
その際には抱え込まず、第三者に相談をしてみることをオススメします。

全国の警察には、老化によって車などの安全な運転に不安を感じている高齢者ドライバーやその家族が相談することができる「運転適正相談窓口」があります。
通常は担当職員が対応にあたり、助言や指導、運転免許の自主返納を促したりしていますが、最近では看護師が対応している所も増加しています。

相談内容には認知症に関することが多く、しかも高齢者の家族からの相談が多いため、警察職員のみでは物忘れか認知症かの判断が難しいことから看護師による対応が広がっているのです。

その一例として、熊本県運転免許センターでは、2015年に全国に先駆けて看護職を窓口に配置しました。
その免許センターに在住する看護師は、「相談に来た高齢者の話に耳を傾け、免許を返納しろと頭ごなしに言わず、返せば家族が安心すると本人が納得するまで説得をします。」と話します。
「一人ひとりに様々な事情があって、何年も培った思いがある。家族と連携しながら、支援の方法を今後も考えて行きます。」と高齢者や家族の気持ちに寄り添いながら、医師への受診や免許の自主返納を促しています。

この取り組みが効果を発揮し、熊本県内の2015年の免許返納件数は、配置前の2014年から4割近く増えた3千件弱となりました。
熊本県に続くカタチで、2015年12月には鳥取県、2016年には宮崎県も免許センターに看護師を配置するなど、他県でも活動が広がりを見せています。

誰もがいつかは運転から卒業する。

老化によっていつもできていたことができなくなってしまうのは、誰にでもおとずれることです。
それを自分で受け止め、家族や周りに迷惑がかからないようにするために、今できることから始めていくことが大切です。
まずは少しの判断ミスで大きな事故になりかねない運転から見直し、家族と今後の運転について話し合いましょう。

運転に限らず、より良い終活ライフを送るためにも、家族の支えは様々なカタチで必要となります。
運転のミスは悲劇を生むだけです。
一度じっくり運転について、家族と話し合いましょう。

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次の世代に何を託すのかを決める作業です。
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それだけにその決断は大切なヒトへのやさしさや愛情になるのではないでしょうか。
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【終活】増える高齢者の危険運転。家族はどう対処する?①

終活世代の方は、自分の車の運転に自信を持っていますか?

人間は年を重ねるにつれ運動神経や反射神経、判断能力が衰えてきます。
その影響は車の運転にも現れ、信号を無視する他、センターラインを越えたり車庫入れに失敗するなどの危険運転が目立つようになります。
もしかしたらただの衰えではなく、認知症かも…と、不安を感じた時、家族はどう対処したら良いのでしょうか。

今回は高齢者の車の運転についてお話ししたいと思います。

高齢者による交通事故が過去最多。増加する高齢者ドライバー。

警察庁のデータをによると、交通事故の件数は年々減少傾向にあるのが分かりますが、高齢者が関係した死亡事故の割合は増加しており、平成24年には51.3%と過去最悪の数値となりました。

75歳以上の免許保有者数も増えており、平成30年には全保有者数約8,225万人中、約532万人が75歳以上の高齢者となっています。
免許を持っている人の100人中6人が高齢者ということです。

しかし高齢化社会である現代では運転者の高齢化は避けられないことで、買い物に出かけたり、移動するための手段として利用したりと、生活をする上で車の運転はかかせないという方もいます。

けれども、気づかないうちに認知症を発症している場合、「運転中に操作が思い出せなくなる」「交通標識が分からなくなる」といった事態を引き起こし、重大な事故が発生してしまう可能性があるのです。

そんな事故を未然に防ぐためにも、危険運転のサインを事前に見つけることが大切です。

「もしかして…」が要注意。症状で見る「運転の止め時」。

では、具体的にどういった症状が現れたら運転卒業を考えれば良いのでしょうか。
家族がチェックすべき10個の運転行動をご紹介します。

●運転中に行き先・目的地を忘れる。
●中央線・センターラインをはみ出す。
●車庫入れ・枠入れを失敗する。
●道路標識・信号機の理解ができない。
●運転速度の制限が効かず、速度を維持できない。
●交通環境への注意力が維持できない。
●ブレーキ・ギアチェンジなどの運転操作がおぼつかない。
●ガソリン・オイルなど自動車のメンテナンスを怠る。
●歩行者や自転車など他の交通者への注意を怠る。
●車間距離を維持できない。

これは主に高齢者ドライバーの運転を確認する時に使われているチェック項目で、記憶力・注意力・判断力・空間認知能力をチェックできます。
高齢者ドライバーは長年運転をしているため自分の運転技術に自信があり、家族や友人に運転を止めるべきと言われても中々納得できない方が多いのです。

そこで、このチェックを家族の方にしてもらうことによって自分の運転に気づくようになり、家族や周囲の言葉に耳を傾け、運転を止めることを考えるようになります。
ご家族の中に高齢者ドライバーの方がいるのであれば、ご家族でぜひ一度チェックをしてみてはいかがでしょうか?

運転卒業を後押しするために必要なこと…

先ほどはチェック項目による運転卒業の促し方をご紹介しましたが、車無しでは生活ができず、やむ負えず運転をしているという高齢者の方もいます。
さらに、車を運転することが生きがい、楽しみ、自立の証と捉えていて中々卒業ができずにいる方や、家族が説得しても納得できないままでいる方が多いのも事実です。

そんな高齢者に対して、家族や周りの人たちはどう運転卒業を後押しすればよいのでしょうか。

次回は、高齢者の運転卒業を後押しするために家族ができることをご紹介します。

終活世代の方はもちろんのこと、高齢者をご家族に持つ方必見です。
交通事故は被害者になっても、加害者になっても悲劇です。
幸せが一瞬の誤りで消えてしまわないよう、高齢者ドライバーについて、次回も考えましょう。

 

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【終活】増えるシンプルなお葬式②

前回のコラムで、家族葬のメリットと金額面で注意しなければならないことを紹介しましたが、今回は他にもまだある家族葬の注意点をご紹介したいと思います。
後悔しない葬儀のために、家族葬のメリット・デメリットをよく理解しておきましょう。

家族葬のデメリット

耳にすることが増えたとは言え、まだ社会に定着したとはいえない家族葬。
そのため、家族葬と聞いて思い描く葬儀のカタチは人によってそれぞれ違うでしょう。

捉え方の違いで生まれるトラブルで、
家族葬を執り行ったことを後悔してしまう人も少なくありません。
家族葬にして良かったと思える葬儀にするために、気をつけるべきポイントを解説していきます。

家族葬のデメリットと気をつけるポイント

1.家族葬に呼ばなかった人への対応
訃報を案内しなかった人から「どうして呼んでくれなかったのか」と説明を求められる場合があります。
呼ぶかどうかを迷った場合、今後のお付き合いもあるので呼ぶことにするか、案内しないのであれば電話で家族葬を行うこと、会葬を辞退することを伝えた方がいいでしょう。

2.親族とのトラブルの可能性
親族の理解をきちんと得られなければ、トラブルに発展する可能性があります。
まだ馴染みの薄い家族葬は特に年配者からは誤解されがちで、「参列者の少ない貧相な葬儀」と思われていることもしばしば。
家族葬を望むなら、元気なうちに家族や親族でイメージを共有しておくことが大切です。

3.葬儀後に自宅に弔問に来る人への対応
葬儀後の報告はがきを受け取った人が、「焼香をあげさせてほしい」と自宅に弔問に訪れる可能性があります。
かえって応対に手間がかかることになり、土日の弔問客の対応に追われて出かけることもままならない状態になることも…。

4.寝台車やスタッフの訪問で逝去を知られる
家族葬で故人を送ると決めた家族の中には、「近所の人に亡くなったことを知られたくない」という人もいます。
しかし病院で亡くなった故人を自宅に運ぶ寝台車や、打ち合わせのために自宅に訪問するスタッフが近所の人に見られる場合があります。
専用の安置所を選ぶか、葬儀社に相談し人気のない深夜・早朝に自宅に到着するよう調整してもらいましょう。

5.支払い総額が一般葬より多くなる可能性
参列者を限定することで、一般葬に比べ受け取る香典の総額が少なくなります。
葬儀費用には会葬者が持ってくる香典が貢献している面があるので、通常の葬儀より安く済んだとしても自らの持ち出し分が思ったより多くなることもあります。
場合によっては支払う費用が一般葬より多くなってしまうこともあるので、費用面を重視する家族葬の場合注意が必要です。

多様化する葬儀

近年、家族葬の他にも多種多様な葬儀が増えています。
遺族や故人の想いにより、その人らしい葬儀を選べるようになってきたのです。

さまざまな葬儀を知っておくことで、いざというとき葬儀社と話をする際に自分たちの希望を伝えやすくなります。

ここからは一般的なものから、多様化する最近の葬儀について紹介していきます。

多様化するお葬式

1.葬儀・告別式(一般葬)…しきたりや慣習に則った普通のお葬式
葬儀は遺族や親族が故人の冥福を祈り、成仏を祈って行われる儀式です。
一方、告別式は遺族や友人・知人などが故人との最後のお別れをする社会的な儀式となりますが、現在では葬儀と告別式が同時に行われることが多くなっています。

2.社葬・合同葬…会葬者が最も多い大規模なお葬式
社葬は法人が施主となって会社で営まれる葬儀で、故人を供養する儀式であるとともに企業経営上においては「広報活動」という意味合いを持ちます。
また合同葬は故人の喪家としての葬儀と、法人としての葬儀を合同に執り行う葬儀で、二つ以上の企業や団体が合同で行う葬儀も合同葬に含まれます。
どちらも会葬者の多い大規模な葬儀となるのが通例です。

3.家族葬・密葬…少人数の参列によるお葬式
家族葬は故人と過ごす最後の時間を大切にしたいという遺族によって行われます。
単純に普通のお葬式の規模を小さくしたものではなく、故人と遺族のお別れに重点をおいた葬儀です。
また、後日一般の参列者を招いた本葬を行うことを前提に、親しい人だけで行う葬儀を密葬と呼んでいます。

4.一日葬…通夜式のない、遺族の負担を減らしたお葬式
通常、お葬式は通夜から葬儀・告別式まで2日間かけて行いますが、一日葬は通夜式なしで1日で火葬まで済ませる葬儀スタイルです。
通夜式を行わないので通夜前夜の弔問や会葬者もなく、遺族や親族のみで故人とゆっくり最後の時間を過ごせるメリットがあります。

5.直送…式を行わず火葬のみのお葬式
お通夜・告別式などの儀式を行わず、ごく限られた遺族や親族で火葬のみ執り行う葬儀です。
僧侶など宗教者を呼び、火葬炉の前で簡単なお別れの儀式をすることもあるので「炉前式」「火葬式」と呼ぶこともあります。

6.自由葬・無宗教葬…宗教や慣習にとらわれない自由なお葬式
宗教や慣習にとらわれず故人らしいスタイルで自由に行う葬儀のことを「自由葬」「無宗教葬」といいます。
一般的な葬儀のように宗教者を主体としないため、葬儀の段取りはある程度自分たちで決めていきます。
故人の好きだった音楽を流したり、時には生演奏を行うケースもあるようです。

7.市民葬・区民葬…自治体が葬儀社と特約を結び、低価格でできるお葬式
故人か喪主がその自治体に住んでいれば誰でも利用できる住民サービスです。
自治体が葬儀社や斎場と提携し一定の金額内で葬儀サービスを提供していますが、金額は比較的リーズナブルです。
ただし全国の自治体が行っているわけではありません。

故人と家族に寄り添えるお葬式を

葬儀には三つの別れの意味があると言われています。
一つ目は家族や友人との別れ。
二つ目は社会的な関係者との別れ。
三つ目は宗教上のこの世との別れです。

従来の葬儀は社会的な別れや宗教上の別れに重点をおいたもので、家族との別れは「亡くなった悲しみを感じる暇もないくらい忙しい」と言われるように後回しにされがちでした。

しかし、人が亡くなって一番悲しむのは家族です。
家族葬は三つの別れの意味のうち一つ目の家族や友人との別れに重点をおいているので、人の感情に一番寄り添える葬儀のカタチと言えるでしょう。

「習慣」や「昔からの決まりごと」も大切ですが、本来お葬式は大切な人との別れを受け止め、残された人々が新たな一歩を踏み出すための区切りの儀式なのだと思います。

終活を行っている人は、家族や友人、そして自分にとってどんな葬儀が一番良いのかを今の内に考えておくことが大切です。

 

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【終活】増えるシンプルなお葬式①

終活に関心のある方ならご存知の通り、
近年、家族葬をはじめとしたシンプルなお葬式が増えています。

「大勢の人に盛大に見送ってもらいたい」「最後は豪華な祭壇で華やかに飾りたい」など、手厚く故人を見送りたいという考えがある一方で、以前の記事でもご紹介した通り、葬儀をせず火葬だけする「直葬」と、誰の立会も無いまま火葬する「無葬」、家族や近しい親族だけでシンプルに執り行う「家族葬」が増加傾向にあります。
そして今、その「家族葬」が注目を集めつつあります。

言葉は聞いたことがあるけれど、
どのような葬儀なのか詳しくは分からない…という方も多いかもしれません。

注目を集める家族葬とはどのような葬儀なのでしょう。
増えつつあるシンプルな葬儀形式やその理由について、メリットやデメリットも含め紹介していきたいと思います。

家族葬とは?

参列者を家族や近しい親族だけに限定して、小規模に行う葬儀のことを家族葬と呼びます。
参列者の人数は葬儀社によって小規模の基準が異なりますが、おおむね20~30人以下とされており、少人数でゆっくり故人とお別れができる葬儀です。

身内が中心になって故人を見送る家族葬は、それ自体が葬儀・告別式となっています。
社葬など、遺族を中心に家族葬を行った後に改めてお別れの会を行うことはありますが、一般的には家族葬を行った後に本葬を行うことはありません。

また規模を小さくすることで、会葬者の飲食費や返礼品費などの費用を大幅に抑えることができます。

さらに、宗教に準ずるものや豪華さを強調した祭壇など、形式的なものに捕らわれず故人の好きだったものや人柄をイメージしたオリジナルの花祭壇を準備するなど、家族にしかできない故人のための葬儀を演出できるのも特徴です。

2017年に行われた鎌倉新書第3回「お葬式に関する全国調査」よると、家族葬は葬儀全体の4割弱程度を占めていました。

調査に参加した葬儀社の多くが、売上、件数ともに家族葬は増加傾向にあり、反対に一般葬は減少傾向にあると回答しています。


家族葬が増える背景には

広まりを見せる家族葬ですが、その名前が使われるようになったのは1990年代半ばと言われています。
背景にあるのは「高齢化」や「価値観の変化」です。

高齢化に伴い亡くなる方の年齢が上がってきていますが、そうなれば自然と故人に関係のあった人の年齢も上がります。
本来ならば参列すべき人も、体調を崩すなどして参列ができないケースもあります。

また高齢になると行動範囲が狭くなり、周囲との付き合いも現役時代に比べ少なくなるので参列者も減ります。

さらに親が高齢だとその子供も退職していることが多くなります。
喪主が仕事を引退していると、弔問に訪れる人数はさらに減少します。

そして価値観の変化も家族葬の増加を助長しています。

高度成長期以降、葬儀には遺族の勤め先の関係者など、故人や家族とはあまり関係のない人も参列するようになりました。
その結果、遺族は多くの会葬者に応対しなければならないため心身の負担が大きくなり、故人をゆっくり偲ぶ時間を持つことができなくなってしまったのです。

また参列者の増加で葬儀の規模が大きくなれば、その費用も増え経済的な負担が大きくなってしまいます。

こうした規模が大きな葬儀に対して、「家族だけで送ってほしい」という人が多いほか、「形式的になりすぎている」「もう少し費用を抑えた方がいい」と批判的に捉える人も増えていきました。

このような価値観の変化が、故人と親しかった人だけで落ち着いてゆっくりお別れしたいというニーズを生み出し、今まで多く見られた「大勢の人に盛大に見送られる葬儀」から、「本当に親しい人達でシンプルに見送る葬儀」へと変わっていったのです。

家族葬の費用は?

規模が大きくなればなるほど高くなる葬儀費用。

2017年に行われた鎌倉新書第3回「お葬式に関する全国調査」によると、通夜・告別式に必要な物品や人件費などの葬儀にかかる費用の全国平均(家族葬だけではなく一般葬や直葬なども含む)は約117万円でした。

それに対し家族葬の場合その費用の平均は約91万円で、比較すると26万円ほど安くなることが分かります。

その費用とは別に通夜から葬儀にかけて振舞う飲食接待費用や返礼品の費用、さらにお布施などの寺院費用も必要になりますが、参列者の人数に左右されることが多い項目もあるので、規模が小さい家族葬は一般葬に比べ参列者が少ないため、その費用を抑えることができます。

しかし注意しなければならないのが「お香典」です。

家族葬はその規模から受け取るお香典も少ないので、葬儀費用をまかなえる金額も少なくなります。
つまりいただくお香典の額が少なければ、遺族が負担する葬儀費用はその分だけ高くなるのです。

ケースによっては負担する実質的な金額が一般的な葬儀より多くなることもあります。
費用感を重視して家族葬を執り行う場合は、実際に葬儀社に支払う金額はもちろんのこと、参列者からのお香典を考慮した実質的な負担額を調べておかなければならないでしょう。

親しい人たちのみで故人をゆっくりと偲び、親族の負担も少ない家族葬。
参列者も少ないので費用もあまりかからない…といいことばかりの葬儀形式に見えましたが、必ずしもそうではないことが分かりました。

葬儀は終活に取り組むうえで、重要なテーマの一つです。
そこで次回はもう少し知っておかなければならない家族葬の注意点について
考えていきたいと思います。

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