【終活】お墓の引っ越しで先祖を守る

少子高齢化と年間130万人もの人が亡くなる多死社会。

それに伴いお墓を継承する人は減り続け、代々受け継いできたお墓を守るのが難しい時代になっています。

少し前までは「あとは子世代に任せる」という人が多かったのですが、近年では「自分たちが元気なうちに解決しておきたい」と考える人が多くなっているお墓問題。

そして近年、お墓のお引っ越しである「改葬」が増加傾向にあります。
以前、改葬を取り上げたコラムでは、改葬を行う上でのおおまかな流れや必要な手続きについてご紹介しました。

そこで今回は、前回の記事「【終活】増える改葬。今時のお墓事情とは?」の続編として、改葬のメリットや、具体的な費用についてお話していきます。

増える「改葬」その背景

少子高齢化と都市部への人口集中からそのニーズを高めている改葬。

郷里のお墓が遠方のため管理が大変だったり、子どもがいない人や、高齢の人にとってはお墓の管理や維持が難しいのが実情です。

この状況では、いずれお墓を継承する親族がいなくなり、放っておけば管理されず荒れ果てた「無縁墓」が増えるのは避けられません。

そのような背景もあり、お墓参りが難しい遠方のお墓を閉めて近くに永代供養墓を購入したり、郷里のお墓を取り壊して、住まいの近くに新しくお墓を建立するなど、お墓の引越し「改葬」をする人が増えています。

その改葬に主には4つの方法があります。
区画の大きさや霊園の基準などがあるので、引越し先の条件にあった方法を選ぶ必要があります。

引っ越し先の状況に合わせて、最適な方法を選びましょう。

改葬のメリット、かかる費用

少子高齢化などの社会構造の変化に伴い、改葬について検討する人は増えています。
お墓の維持管理の負担を減らしたり、承継者を必要としない供養ができるなどのメリットが多くあるからです。

それでは具体的なメリットをみていきましょう。

改葬で得られる多くのメリット

1.無縁墓を防げる
継承者がいなくなると、管理や補修などの人の手が入らなくなりお墓が荒れ果ててしまいます。そうなると他のお墓や墓地全体に迷惑をかけることにもなりかねませんが、改葬することでこのようなお墓の無縁化を防ぐことができます。

2.お墓の継承の必要がなくなる
納骨堂や樹木葬など、継承の必要がない埋葬方法に切り替えれば、子世代の管理負担を減らすことができます。また、継承者がいない場合や、いても管理を頼むのが難しい場合などでも安心です。

3.今のお墓の管理者に年管理費を支払わなくてよくなる
年に数回、もしくは数年に一度しか訪れないお墓であっても、
管理者に年間管理費を支払っている場合がほとんどでしょう。
改葬することで、めったに行かないお墓のための管理費を支払わなくてよくなります。

4.お墓参りにかかる費用を抑えられる
遠方のお墓は行くまでの労力だけでなく、費用も大きな負担になります。新幹線や飛行機などを使わなくてはいけない距離にあったり、日帰りで帰ってこれない場所にあったりすれば、交通費や宿泊費が必要になってきます。改葬することで、将来お墓参りにかかるトータルコストを抑えることができます。

5.利便性の高い場所にお墓を移すことで、頻繁に足を運べる
お墓が身近になれば、自然とお墓参りの頻度が上がります。お盆やお彼岸だけでなく、命日や家族にとって大事な日に足を運ぶこともでき、ご先祖様の存在をより身近に感じることができるでしょう。

このように、改葬には多くのメリットがあります。

次に費用です。前回の記事で少し紹介しましたが、状況によってかかる費用は異なってきます。
目安としては全国平均で「300万円」となっています。

その費用は大まかに3つに分けられ、移転元の墓石の撤去、移転先の墓石の建立、永代使用料が主なものになります。
合計すると新たにお墓を購入するのと同じくらいの金額が必要です。

さらにお墓の永代使用には管理費も発生するので、改葬の初期費用だけでなく管理費など継続してかかる費用についても想定しておくことが重要です。

ただしこの相場、地方によって同じ改葬でも金額がずいぶん変わってくることがあります。

その理由として、お墓の構造が日本全国全て同じではないことが考えられます。
火葬の際、関東では全骨収骨ですが関西では部分収骨が一般的なので、地域によって遺骨の量が違うのです。

一見全く同じように見えるお墓ですが、関西の納骨室は関東の約1/3程度の広さしかありません。

納骨方法の違いがお墓の構造の違いとなり、それに伴い改葬費用の差につながることがあるので注意が必要です。

先祖を守り続けるために…

少子高齢化や核家族化が進む現代、昔の「家制度」に沿ったお墓の維持は困難になってきています。

先祖代々一家がまとまって一つの場所に祭られるお墓は、かつて自らのアイデンティティーを確かめる場でもありました。

しかし家族の形が多様化した結果、家を継ぐといった考え方は古いものとなり、先祖を守りつながりを保つという先祖供養の意識が薄らいでいるのが現状です。

現在のお墓が家族にとって負担であったり、管理のできないままの状態が続くようであれば荒れ果てた無縁墓になってしまうのは避けられません。

少しさみしい気もしますが先祖代々からのお墓を締め、きちんと供養してもらえる場所にお墓を移すのも選択肢の一つです。
先祖を守るという意味では、「改葬」は合理的で責任感のある選択といえるでしょう。

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何かを決めるということは大変な作業ですが、

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