【終活】育児と介護の両立…。ダブルケアの実態とは?②

前回ご紹介した、「ダブルケア」で浮き彫りになった働く女性への問題。
高齢の家族のケアをしながら子育てに励むには、経済的な負担や体力的な負担、さらには精神的な負担が大きくのし掛かっていることが分かりました。

そんな育児と介護に悩む”ダブルケアラー”を、地域の自治体や団体などでサポートをする取り組みがはじまっています。

今回は、そんなサポート活動をご紹介します。

どんな支援が必要?地域で行われているサポート活動。

2016年の厚生労働省による「高齢社会に関する意識調査」によると、ダブルケアラーへどのような支援が必要かというアンケートに、33.6%の人が「介護も育児も合わせて支援サービスが提供される場所を地域でつくる」、最も多い43.3%の人が「介護も育児も合わせて相談できる行政窓口」と答えていました。
この結果から、多くの人は相談をする場所を求めている傾向であることが分かります。

しかし、介護と育児それぞれに相談窓口は存在していますが、窓口が違うことでたらい回しにされる場合があり、ダブルケアラーに対するサポート制度は整備が進んでいないのが現状です。

そんな中、ダブルケアに悩む人のニーズに応えるカタチで、地域でサポート活動が増えています。
その一部をご紹介します。

■横浜市港南区「お喋りカフェ
「ダブルケアカフェ」とも呼ばれるこちらのカフェは、地域コミュニティスペースで毎月開かれており、ダブルケアラーの駆け込み寺となっています。
地域のダブルケアラーが20人近く参加し、それぞれの悩みを共有しています。
参加者の中には、「高齢の親の症状は悪くなるばかりで、負担が大きい。正直『早く亡くなってほしい』と思ったことがある。」涙ながらに悩みを打ち明ける女性もおり、その女性の気持ちに寄り添うように参加者から「あなただけではない」と慰めの言葉をもらうそうです。
「こうして経験者や当事者が集まって話を聞くだけで、1人で抱えている悩みを減らすことができる。」と主催者は話します。
他にも、「一般社団法人ダブルケアサポート横浜」を立ち上げ、各地でセミナーやイベント開催のサポート、啓蒙活動など、全国への発信を行っています。

■大阪堺市「ダブルケア相談窓口」
2016年10月に、堺市内の7区それぞれが持つ基幹型包括支援センターにダブルケア相談窓口を設けました。
窓口には主任ケアマネージャーや保健師、社会福祉士ら介護と育児のプロが常駐しており、介護と育児どちらの相談も一緒に行えます。
他にもセミナーなどを開催するなど、積極的に支援活動をスタートさせています。

■京都府「ガイドブック作成・配布」
2017年にダブルケアの啓蒙活動として、「仕事と介護・子育て両立支援ガイドブック」の小冊子を作成・配布を行いました。
またインターネットを用いたアンケートを行い、現状を把握したうえで子育て世代包括支援センターと市町村設置の地域包括支援センターとの情報共有を強くしています。
さらに、両センターの職員が介護・育児両方の相談に応じることができる体制作りや、介護のケアプラン作成の際に子育てにも配慮した計画作りを行っています。

地域だけではない。ダブルケアに対する公的な制度や民間企業サービス。

こうした地域のサポート活動だけではなく、まだ十分とは言えませんが現在行われている制度や、民間企業のサービスを活用することでダブルケアへの負担を減らすこともできます。

働きながらダブルケアを行う場合、育児休業給付や介護休業給付など公的な制度を利用すると良いでしょう。
これは、雇用保険の給付の一つで、育児や介護のために仕事を休む場合に手当が支給される制度です。

この他にも、デイサービスや育児支援サービスなどを利用することもできます。
これにより子どもの行事への参加や、介護している親の通院の付き添いなど、どうしても手が離せない場合に負担を減らすことができます。

買い物や食事の支度、掃除など、家事の一部分を手伝ってもらう宅配サービスや代行サービスの利用も、毎日のケアの場面では大きな負担軽減の一つとなるでしょう。

まとめ

ダブルケアへの地域でのサポートや、公的な制度の負担軽減の話をしましたが、今後社会の高齢化が進みますますダブルケアの事例が増えて行く中で、これだけでは対応しきれないのが現状です。

まずは、このダブルケアの現状を周知させるために啓蒙活動を進め、企業内でもダブルケアについての認識を深めることが必要となってきます。
前回のコラムでも紹介したように、ダブルケアラーは30代~40代が中心。
働き盛りで優秀な人材が多いため、つなぎ留めるためにも企業側が後押しし、家族で支え、国や自治体も負担軽減に動く未来が求められています。

終活世代の方々にも、ダブルケアに悩んでいる人がいらっしゃると思います。
そんな時は1人で抱え込まず、早めに窓口や身近な人に相談しましょう。

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終活とは成熟した大人がこれからの人生をどのように楽しみ、次の世代に何を託すのかを決める作業です。
何かを決めるということは大変な作業ですが、
それだけにその決断は大切なヒトへのやさしさや愛情になるのではないでしょうか。
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