【終活】増える改葬。今時のお墓事情とは?

皆さんはお墓参りにきちんと行っていますか?
地元から自立や結婚を機会に遠く離れた地へ引っ越してしまい、
ご先祖様のお墓参りに行くことができない方は多いと思います。
お墓の今後を決めることは、終活の重大な作業の一つです。
そこで今回は、お墓を丸々自分たちの近くに移動する「改葬」について見ていきましょう。

お墓を丸々お引っ越し。必要な手続きは?

改葬とは、埋葬されている遺骨を別の墓地や納骨堂へ移すことを言います。
例えば、最初に記述したように地元より遠くへ移住してしまったというケースや、
独り身の高齢者だとお墓の管理や維持が難しいといった理由から改葬が行われます。
最近はそれを「墓じまい」と呼ぶ業者もいます。
この改葬の件数ですが、年々増加傾向にあります。

厚生労働省の「衛生行政報告例」によると、
2015年度の改葬の届け出件数は9万1567件で、5年前と比べ約30%増加しています。
そして表を見ると、ここ10年で改葬が増加しつつあるのが分かります。
ちなみに最も改葬が多い都道府県は東京都で、全国の9.4%を占めています。
2番目は北海道、3番目は鹿児島と続き、改葬の数は人口の多さだけでなく、
人の移動が多いことやその地域の墓地の状況などにも影響しているようです。

しかし、改葬は簡単には行えるものではありません。
事前にいくつかの手続きが必要となり、その中には法律で定められている手続きも含まれています。
その改葬のおおまかな流れをご紹介します。

改葬のおおまかな流れ
1,新しい墓を探す
2,新しい墓を決める
管理者から受け入れ証明書を発行してもらいます。
3,納骨の時期に合わせて建墓工事契約をする
石碑も移設する場合は、合わせた設計にしましょう。
4,改葬許可申請書を取り寄せる
自治体ごとに種類が異なるので、必ず既存の墓地のある市区町村から申請書をもらいましょう。
5,既存墓地管理者との手続き
埋葬証明書をもらいます。
6,既存墓地のある市区町村との手続き
市区町村役場に「改葬許可申請書」「受入証明書」「埋葬証明書」を提出して、改葬許可証を受け取ります。
7,遺骨を取り出す
お墓から魂を抜く「閉眼式」や「魂抜き」などと呼ばれる閉眼法要を行います。
8,遺骨を安置する
新しい墓ができるまで、自宅の仏間や移設先の墓地などに遺骨を安置します。
9,新しい墓が完成
石碑の移動、据え付けなどの工事が始まります。
完成後、墓石の引き渡しをします。
10,新しい墓に納骨。開眼・納骨供養
今度はお墓に魂を入れる「魂入れ」や「建碑式」などの開眼法要を行い、納骨します。
改葬許可証を管理者に提出します。
※メモリアルアートの大野屋の資料をもとに作成。

以上になります。
改葬を行うにはこのように複雑な手続きを行わなければならないので、
お一人ではなく、ご家族と協力して進めると良いでしょう。

改葬に必要な期間ですが、
先ほどの改葬の流れから見て分かるように、
各所に確認や手続きをしなければならないので日数が多くかかります。
また、僧侶や石材店の都合も考慮する必要があるので、
改葬予定日まで余裕を持って3ヶ月間をみておきましょう。

必要になる費用も見ていきましょう。
まず現在の墓地で墓石の撤去工事、整地をする必要があるので、
これには一般的な3平方メートルの墓地で60万円前後かかります。
ですので、1平方メートルあたり20万円を目安に考えていくとよいでしょう。
またこれとは別に、石材店にお墓を開けてもらわなければならない場合は、
遺骨の取り出しと埋葬という作業費がかかるので、それぞれ3万円程度が必要になってきます。

次に、遺骨を移動した時にお墓の閉眼法要・開眼法要を行いますが、
その時僧侶に墓前での読経を依頼するので、それぞれお布施が必要となってきます。
また、海洋散骨や永代供養などの個人のお墓に納骨をしない供養を選択する場合には、
さらに供養の費用がかかることも考慮しておきましょう。

その他の費用としては、各手続きに事務手数料がかかってきます。
現在お墓を管理しているお寺に対しての離壇料と呼ばれるお布施が必要な場合もあるのですが、
その金額をめぐってトラブルが起きるケースもありますので、注意しましょう。

円滑に手続きを進めるために、手続き代行サービスも。

改葬を行う際に注意したいのが、前述でも触れた現在のお墓を管理しているお寺とのトラブルです。
お墓が民営・公営霊園ならば埋葬証明欄への記入はスムーズに応じてもらえるのですが、
境内墓地なのであれば、墓を移すことは寺の壇家をやめる「離壇」になってしまうので、
経営が厳しいお寺にとって壇家は貴重な収入源であり、
壇家の先祖を手厚く供養してきたという自負も強いため、
壇家をやめるのにも配慮が求められています。

書類への記入は墓地埋葬法に基づいた手続きのためお寺が拒む理由もなく、
壇家をやめるのも自由なのですが、
話がこじれてしまうと、書類の記入を拒否されたり、高額な離壇料を請求されたという例もあります。
そんなトラブルを避け、円滑にお寺との交渉を進めたいという人が増加しているのに対して、
一連の手続きを代行するというサービスを提供する業者が出てきました。

冠婚葬祭仲介サイト「ユニクエスト・オンライン」は、
2016年10月に代行サービス「お墓のお引っ越し」を始めました。
こちらはお寺など墓地管理者への移転申し入れや、
行政手続き、墓地の撤去・整地までを代行してくれるサービスになっています。
価格は墓の区画が3平方メートルまでで全国一律総額24万9000円(税込)で利用ができます。
時間のかかる手続きや交渉を一人だけで行う場合には、
時間もお金も労力もかかってしまうと思いますので、
こういったサービスの利用も考えてみてはいかがでしょうか?

近くに改葬することでお墓の無縁化を防ぐ。

少子高齢化が進んでいる現代。
それ故にお墓を受け継ぐ人がいなくなり、
お墓の継承者や縁故者がいなくなった墓、「無縁墓」も増加傾向にあります。
こうした中で、お墓参りをしやすいように地方から自分たちの近い場所にお墓を移すという改葬は、
その無縁墓を減らすことに一役買っていると言っても過言ではありません。
少し手続きが大変かもしれませんが、
お墓をどうするか決めることは、終活の重大なポイントです。
自分が入るお墓のことや遠方にいる家族のことを思うのであれば、
今から準備しておくのもいいことではないでしょうか。

 


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