【終活】増えるシンプルなお葬式①

終活に関心のある方ならご存知の通り、
近年、家族葬をはじめとしたシンプルなお葬式が増えています。

「大勢の人に盛大に見送ってもらいたい」「最後は豪華な祭壇で華やかに飾りたい」など、手厚く故人を見送りたいという考えがある一方で、以前の記事でもご紹介した通り、葬儀をせず火葬だけする「直葬」と、誰の立会も無いまま火葬する「無葬」、家族や近しい親族だけでシンプルに執り行う「家族葬」が増加傾向にあります。
そして今、その「家族葬」が注目を集めつつあります。

言葉は聞いたことがあるけれど、
どのような葬儀なのか詳しくは分からない…という方も多いかもしれません。

注目を集める家族葬とはどのような葬儀なのでしょう。
増えつつあるシンプルな葬儀形式やその理由について、メリットやデメリットも含め紹介していきたいと思います。

家族葬とは?

参列者を家族や近しい親族だけに限定して、小規模に行う葬儀のことを家族葬と呼びます。
参列者の人数は葬儀社によって小規模の基準が異なりますが、おおむね20~30人以下とされており、少人数でゆっくり故人とお別れができる葬儀です。

身内が中心になって故人を見送る家族葬は、それ自体が葬儀・告別式となっています。
社葬など、遺族を中心に家族葬を行った後に改めてお別れの会を行うことはありますが、一般的には家族葬を行った後に本葬を行うことはありません。

また規模を小さくすることで、会葬者の飲食費や返礼品費などの費用を大幅に抑えることができます。

さらに、宗教に準ずるものや豪華さを強調した祭壇など、形式的なものに捕らわれず故人の好きだったものや人柄をイメージしたオリジナルの花祭壇を準備するなど、家族にしかできない故人のための葬儀を演出できるのも特徴です。

2017年に行われた鎌倉新書第3回「お葬式に関する全国調査」よると、家族葬は葬儀全体の4割弱程度を占めていました。

調査に参加した葬儀社の多くが、売上、件数ともに家族葬は増加傾向にあり、反対に一般葬は減少傾向にあると回答しています。


家族葬が増える背景には

広まりを見せる家族葬ですが、その名前が使われるようになったのは1990年代半ばと言われています。
背景にあるのは「高齢化」や「価値観の変化」です。

高齢化に伴い亡くなる方の年齢が上がってきていますが、そうなれば自然と故人に関係のあった人の年齢も上がります。
本来ならば参列すべき人も、体調を崩すなどして参列ができないケースもあります。

また高齢になると行動範囲が狭くなり、周囲との付き合いも現役時代に比べ少なくなるので参列者も減ります。

さらに親が高齢だとその子供も退職していることが多くなります。
喪主が仕事を引退していると、弔問に訪れる人数はさらに減少します。

そして価値観の変化も家族葬の増加を助長しています。

高度成長期以降、葬儀には遺族の勤め先の関係者など、故人や家族とはあまり関係のない人も参列するようになりました。
その結果、遺族は多くの会葬者に応対しなければならないため心身の負担が大きくなり、故人をゆっくり偲ぶ時間を持つことができなくなってしまったのです。

また参列者の増加で葬儀の規模が大きくなれば、その費用も増え経済的な負担が大きくなってしまいます。

こうした規模が大きな葬儀に対して、「家族だけで送ってほしい」という人が多いほか、「形式的になりすぎている」「もう少し費用を抑えた方がいい」と批判的に捉える人も増えていきました。

このような価値観の変化が、故人と親しかった人だけで落ち着いてゆっくりお別れしたいというニーズを生み出し、今まで多く見られた「大勢の人に盛大に見送られる葬儀」から、「本当に親しい人達でシンプルに見送る葬儀」へと変わっていったのです。

家族葬の費用は?

規模が大きくなればなるほど高くなる葬儀費用。

2017年に行われた鎌倉新書第3回「お葬式に関する全国調査」によると、通夜・告別式に必要な物品や人件費などの葬儀にかかる費用の全国平均(家族葬だけではなく一般葬や直葬なども含む)は約117万円でした。

それに対し家族葬の場合その費用の平均は約91万円で、比較すると26万円ほど安くなることが分かります。

その費用とは別に通夜から葬儀にかけて振舞う飲食接待費用や返礼品の費用、さらにお布施などの寺院費用も必要になりますが、参列者の人数に左右されることが多い項目もあるので、規模が小さい家族葬は一般葬に比べ参列者が少ないため、その費用を抑えることができます。

しかし注意しなければならないのが「お香典」です。

家族葬はその規模から受け取るお香典も少ないので、葬儀費用をまかなえる金額も少なくなります。
つまりいただくお香典の額が少なければ、遺族が負担する葬儀費用はその分だけ高くなるのです。

ケースによっては負担する実質的な金額が一般的な葬儀より多くなることもあります。
費用感を重視して家族葬を執り行う場合は、実際に葬儀社に支払う金額はもちろんのこと、参列者からのお香典を考慮した実質的な負担額を調べておかなければならないでしょう。

親しい人たちのみで故人をゆっくりと偲び、親族の負担も少ない家族葬。
参列者も少ないので費用もあまりかからない…といいことばかりの葬儀形式に見えましたが、必ずしもそうではないことが分かりました。

葬儀は終活に取り組むうえで、重要なテーマの一つです。
そこで次回はもう少し知っておかなければならない家族葬の注意点について
考えていきたいと思います。

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