人生100年時代ともいわれる今、老後を安心して過ごすには
定年後も仕事を続け、年金以外の収入を持つことがより必要となってきました。
厚生労働省は60〜64歳で満額の年金を受け取る人を増やす制度改正を
2022年4月に実施する方針です。
2020年2月4日には70歳までの就業機会の確保を
企業の努力義務とする法改正案も閣議決定され、今後シニアの就労を
国が後押ししてくれます。
今回はそんなシニアの就労ついてお話していきます。
■知っておきたい「在職老齢年金」
働いて収入があるシニアには「在職老齢年金」という制度があるのを知っていますか?
「在職老齢年金」とは、70歳未満の人が厚生年金に加入しながら働いた場合や
70歳以上の人が厚生年金保険のある会社で働いた場合に応じて、
老齢年金金額が調整される制度です。
現在は、老齢年金金額と給料額の合計が月28万円を超えると、
年金額が調整されてしまいます。
例をあげて説明すると
「在職老齢年金」の受給額が、月額13万円で給料が月額33万円の場合は
合計が46万円になります。
「在職老齢年金」と給料額が28万円を超えるので、年金額が調整されます。
(46万円−28万円)×1/2=9万円
9万円が調整されるので、年金の受給額は4万円になります。
(老齢年金金額13万円−9万円=4万円)
しかし2022年4月からは、この基準が月額47万円に引き上がるので
給料額を気にせずのびのびと働くことができます!
「在職老齢年金制度」による年金額の減額、支給停止の対象は老齢厚生年金のみです。
国民年金から支給される老齢基礎年金は対象とならないため、
支給額が減ることはありません。また、厚生年金から支給される遺族厚生年金や
障害厚生年金への影響もありません。
■気をつけて! 支給の落とし穴
2022年4月からの基準引き上げによって、就労意欲を向上させる
「在職老齢年金」ですが、受給時期や方法によっては裏目にでてしまうこともあります。
現在年金の受給は本人の選択で65歳より前に受給、または後に遅らせることができます。
65歳より前に受け取った場合、1ヵ月につき0.5%減となり
受給を遅らせた場合、1ヵ月につき0.7%増となります。
「在職老齢年金」も繰上げ受給・繰下げ受給の両方ができます。
ただし、在職老齢年金金額と給与額との関係で
支給停止の調整を行った後の年金額が減額分・増額分の計算対象となります。
そのため繰上げ・繰下げ受給の効果がなかったりします。
一見お得に見える受給の繰り下げですが、支給金額に気をつけて、
将来の安定につなげていきたいですね。
■定年後は働かない方が得?
収入が多いと年金額が調整されるのはなんか損!!と思われた方もいると思います。
しかし、調整されるのは28万円を超えた分の2分の1です。
そして厚生年金を支払って働いているということは、65歳以降に受け取ることができる
厚生年金額が増えるということです。
2022年4月から基準が変われば収入を増やすこともでき、
生活をさらに安定させることができます。
健康寿命も延び、老後の過ごし方が変化しつつあります。
働くことを生きがいとする人もいれば、仕事はほどほどに趣味の時間を
充実させたいという人もいると思います。
希望するライフスタイルを基準に老後の働き方を考えることが
今後大切になってくるのではないでしょうか。
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