サ高住の抱える問題

人生100年時代といわれる今、サービス付き高齢者向け住宅…通称「サ高住」を
終の住処とする人は多いでしょう。

しかし、そのサ高住に多くの介護報酬が国から支払われており、
今後もその支出が膨らんでいくのではないかとの懸念があります。

ではなぜ、本来介護の必要のない自立した高齢者向けと想定して作られたこの施設に、
国は多くの介護報酬を支払うことになっているのでしょう?

今回はサ高住が抱える矛盾と問題について深堀していきます。

■なぜサ高住に多くの介護報酬?

サ高住は国が2011年に作った制度で、バリアフリー・安否確認などに対応した
民間の賃貸住宅を自治体が登録しています。
法律上「住宅」なので、介護は義務ではありません。

そのため比較的元気な高齢者で、基本的に自立した生活ができる人が
入居の対象者となります。

しかし実際には介護事業者が運営しているケースが多く、
サ高住と一緒に介護拠点を併設し、入居者に自らの介護サービスを多く使わせる動きが
起きています。

本来要介護3以上の低所得者の受け入れは、公的施設である特養が担っていました。
利用料が安いので、食事や介護などのサービスはそれ相応のものを提供するしくみに
なっています。
過剰なサービスを増やして介護報酬を稼ぐという動きはおきにくいシステムです。

しかし職員不足で受け入れを抑える特養が目立ち、
現在30万人の待機者がいる状況になってしまったため、
行き場を失った高齢者がサ高住に入居していくようになるのですが、
ここでその利用実態に注目してみます。

ポイントはサービス費を含む家賃と入居者の介護度の相関データです。

日本経済新聞が全国のサ高住利用実態を調べたところ、
家賃月8万円未満の安い住戸は多くの介助がいる「要介護3以上」の入居者が
5割をしめていました。

自立した高齢者向けとの想定に反し、特養が対応するべき低所得で体が不自由な人が
多く入居
しているのです。

あるサ高住運営事業者はこう打ち明けます。
「介護報酬を安定的に得るために、要介護度の高い人を選び、軽い状態の人は断ってる」

これがサ高住に多くの公費が費やされる理由だったのです。

■増え続ける介護報酬

事業者が利用者に介護サービスをした場合に支払われる介護報酬。

要介護度が進むと支給上限額が増える介護報酬は、その1~3割は利用者負担、
残りは税金と介護保険料で賄われています。

あるサ高住運営企業は、計画上ではこの介護報酬で得た収入のうち85%を
施設の運営費として使う前提ですが、実際には介護保険受給者は、
平均して上限額の3~6割程度しか使っていません。

「夜勤の人件費を捻出するために必要」
「上限額の90%を併設サービスで使ってもらっている」と施設運営企業は主張しますが、
16年の大阪府調査では府内のサ高住は上限額の86%を利用し、
要介護3以上は特養より費用がかさむ結果となっています。

安いサ高住に要介護度が高い人が集まる現象は、大都市圏ほど顕著になります。
都市圏は土地代が高いため、家賃を下げた分介護報酬で補うモデルが広がっている懸念が
生まれます。

この制度ができたとき、国も学者もここまでサ高住が介護施設化することは
想定していなかったでしょう。

「一部のサ高住が介護報酬を運営の調整弁に使うと、介護保険制度の持続性が
揺らぐのでは。運営費は家賃のみで吸収するのが筋」
と、増え続ける介護報酬に
専門家は危機感を募らせます。

■介護保険料を本当に必要な人のために使ってほしい

もちろんすべてのサ高住が過剰に介護をし報酬を得ているわけではありません。

要介護度が下がると介護報酬は減りますが、施設の共有スペースの一部を
リハビリスペースにし、入居者が元気に生活できるよう積極的にサポートする施設が
あるのも事実です。

歩けるようになって要介護度が下がるとサ高住の収入は減ってしまうため、
その分家賃を一般的なサ高住の家賃より少し高くなければなりませんが、
それでもこの施設の理念に共感する人たちが多く集まり採算はとれています。

しかし実際のところ、上記の施設のように法令順守や介護状況の開示をしている施設は
少なく、個別の実態を捉えるのが難しい状況です。

行政も民間主導のサ高住の運営・整備計画をすべて把握しているわけではないので、
それがサ高住の乱立や介護報酬の過剰な配分につながっていると言っても
過言ではありません。

私たちの支払う介護保険料は、介護を必要とする人が適切なサービスを受けられるよう
社会全体で支え合うために徴収されています。

それが、一部のサ高住の運営調整弁に流れていく現状を断ち切るためにも、
これからしっかりと議論を重ねて対策を考えていく必要があるでしょう。

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