認知症「予防」への取り組み

2025年、団塊の世代が全員75歳以上となります。

そのためこれからも増え続けるであろう認知症への対策を強化するため、
発症や進行を遅らせることを予防と定義し、認知症の人が暮らしやすい社会を目指す
「共生」とともに2本柱として目標に掲げた大綱を関係閣僚会議で決定
しました。

このように政府が認知症対策を具体的な目標として掲げるのは初めてのことで、
認知症が深刻な社会問題となっていることが見て取れます。

しかし予防に関する科学的データはまだ少なく、
この取り組みと同時に検証用のデータ収集も進めていかなければなりません。

■社会全体で認知症対策に取り組む

団塊の世代が全員75歳以上になる2025年、今のまま進んでいくと
高齢者の5人に1人にのぼる約700万人が認知症を発症すると言われています。

もう認知症は誰でもかかりうる、特別ではない病気になってしまっているのです。

そのため政府は当初、19年から25年を対象期間にした「70代認知症を10年で1割減らす」という方針を打ち出しました。

もしも、70代の認知症を10年間かけて1割減らすことができたなら、
認知症の人の割合は25年には6%、29年には約1割も低下するというのです。

この数字をどう見るかは人それぞれですが、25年に6%の人が認知症を免れるのだと
すると約42万人の人が認知症を発症しないで済むという計算になります。

今後どんどん高齢化が加速していく日本においては、とても大きな意味をもつ取り組みになるでしょう。

しかし、実はこの数値目標を掲げたのは素案の段階で、閣議決定された大綱では「参考値」に格下げされています。
数値目標の記載をなくしたのは、
「やむを得ず認知症になった人が落第者とみなされてしまう」という関係者の懸念に
配慮したからです。

そのため新たな大綱は「認知症にならないという意味ではなく、認知症になるのを
遅らせる、認知症になってからの進行を緩やかにする、という意味であることを明記する」
という予防の定義が書き込まれています。

同時に「予防の取り組みは、認知症の人の尊厳を守り、認知症の人とそうでない人が
同じ社会でともに生きる『共生』の理念のうえで進めることが大前提」とも強調しており、
当時者だけではなく社会全体で認知症に向き合っていける環境づくりに
重点
をおいたものになりました。

■個人で、社会で、認知症を予防する

一定の成果をあげそうな施策ではありますが、一体どのようにして認知症を予防すればいいのか?という疑問が湧いてきます。
実は予防に関する科学的検証はまだ不十分だと言われています。

しかし糖尿病や脳血管障害などの生活習慣病と関連して引き起こされたりするケースが
多く、それらの予防や治療を行うことで認知症の予防にもつなげていけるでしょう。

運動習慣をつけることで脳に適度な刺激を与えることができ、
体を動かすことも認知症予防に有効であるとされています。

このような予防と並ぶ柱として、政府は認知症の人の地域社会との共生も掲げています。
たとえばいま力を入れているのは、全国の中山間地域で自動運転車による
移動サービスの実現。

高齢のため自動車の運転をやめる人が増えていますが、外にでる機会を失いどうしても
引きこもりがちになってしまいます。
社会とのつながりを持ち続けるためには、移動手段の確保は必須ともいえるでしょう。

また、生活の足としてどうしても車を手放すことができないという高齢者に対して、
安全運転の支援システムを搭載した自動車限定で運転を認める新制度の検討も
進んでいます。

そのほかにも外出を促すきっかけ作りとして、市民農園やスポーツ教室、大学の公開講座
などの活用も考えられています。

このような通いの場の拡充を重点政策のひとつに位置づけ、
65歳以上の高齢者の参加率を17年度の4.9%から8%程度にまで増やすことを盛り込み、
市区町村に対して交付金だけでなく国が手引きを作成するなど普及を促します。

■認知症予防の重要度

超高齢化社会に突入した日本。
そこに大きな影響をもたらすのが認知症患者の増加です。

先にも紹介しましたが、このまま進んでいけば2025年には65歳以上の5人に1人が
認知症を発症しているという状態になってしまいます。

医療の進歩などでせっかくセカンドライフの期間が伸びているとしても、
認知症を患ってしまったら楽しみも半減してしまうのではないでしょうか?

人生100年時代を健康で楽しく過ごしていける高齢者を増やすために、
当事者はもちろんですが、まだまだ認知症とは縁がない現役世代も含め
「ワンチーム」でこの施策に取り組んでいくことが、これからの日本にとって重要
なのです。

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