【終活】知らぬ間に命の危機「大動脈瘤」

ほとんど自覚症状のないまま身体の中で大きくなり、これといった前兆も見せないまま
突然破裂する大動脈瘤。

いったん発症してしまうと命を落とす危険がある怖い病気です。

50代以降で罹患する人が多いのですが、その大半は大動脈瘤の存在をしらない場合が
ほとんどです。

なぜなら大動脈瘤はほぼ無症状のまま徐々に大きくなってくのが特徴で、
発見するためにはCT検査が不可欠です。

今回は一度発症すると命取りにもなりかねない大動脈瘤について、
その予防方法や罹患後の対処方法など紹介していきます。

■大動脈瘤とは?

心臓から全身に血液を送る役割を担う大動脈は、身体の中で一番太い血管です。
身体の中心を通る大動脈は胸部と腹部に分かれており、
それぞれ頭や腕、下肢など全身に血液を送り出しています。

大量の血液が絶えず流れるこの大動脈には常に高い圧力がかかっていますが、
この血管が動脈硬化を起こしてしまうとその弱くなった部分に
瘤(こぶ)ができやすくなります。

数年から数十年かけて徐々に太くなっていく瘤は、少しずつ空気を入れ膨らんでいく
風船のイメージに近いです。
こうして膨らんだ血管の壁を「動脈瘤」と呼びます。

動脈瘤はできても血管の機能が低下することや痛みなどがほとんどありません。
食道が圧迫されて食べ物が飲み込み辛くなったり、
声帯の神経が圧迫されて声がかすれる、また拍動している瘤を自覚することがありますが、
多くの人が深刻な状況であることを自覚できず放置してしまいます。

そして限界を超え瘤が破裂してしまうとこれまでの無症状から一転、
胸や背中、腹部に激しい痛みが起こります。

この痛みは「これまでに経験したことのない激痛で、血圧が低下しショック状態に陥る」と
専門家が説明するほど強烈です。

完全に破裂していない場合は少量の出血で済むため緊急手術で救命できる可能性がありますが、大きく破裂してしまった場合は胸やお腹の中に大量出血し、
脳や肝臓、腎臓などへの血流が阻害されてしまいます。

そうなると高い確率で命を落としてしまうことから、
大動脈瘤はサイレントキラーとも呼ばれます。

■破裂前に手術で防ぐ

年間死亡者数1万5000人といわれる大動脈瘤は、年齢とともに進む動脈硬化が
主な原因なので誰にでも起こりうる病気です。

しかも自然治癒することはないので、瘤が破裂する前に発見して手術するのが
最善の対処法
といえるでしょう。

発見はCT検査で可能なので、健康診断や人間ドックなど定期的な検診が
重要になってきます。

手術は瘤ができた血管を取り除き、代わりに人工血管に置き換える方法が一般的です。
人工血管は一生使えるほどの耐久性を持っているので、一度置き換えれば
破裂の心配をしなくて良くなり効果は絶大です。

また人工血管とは違う新しい治療法として「ステントグラフト」という筒状の器具を
使う場合もあります。
ステントグラフトはバネのように柔らかい金属網を人工血管に巻いたものです。

大動脈瘤のある場所まで動脈を通してカテーテルを差し込み、
瘤のある場所でステントグラフトを固定します。
すると金属網で補強された器具の中を血液が通るようになるので、
瘤に血流が流れることがなくなり、破裂を防ぐことができるのです。

また、この手術は足の付け根を数センチ切開するだけなので、
胸や腹を開かないといけない人工血管に置き換える手術より患者への負担が
小さくて済むという大きな利点があります。

高齢者や肺に持病がある人など、体力的な問題や合併症のリスクがあっても
比較的安全に手術可能なため、実施件数は増えてきています。

ただ、この手術はステントグラフトを正常な血管に密着させる必要があるため、
瘤のできた位置によってはこの術式が治療に適さない場合があります。

さらに、密着部から血液がもれて枝分かれする血管から血液が逆流し大動脈瘤が再び
拡大、結果ステントグラフトによる追加治療が必要になることや、
人工血管置換手術を行わなければならないケースも発生しています。

このように人工血管置換手術にも、ステントグラフト手術にも
メリットデメリットがあるので、瘤の箇所や形状・患者の体力や年齢・持病など踏まえ
どちらの治療法を採用するのか決定します。

もしこれから動脈瘤の手術を受けることがあれば、
専門医の説明を納得いくまで聞いてから手術に臨むことが大切です。

■早期発見と予防が重要

破裂してしまうと高い確率で死に至る大動脈瘤ですが、
早く発見できれば治療可能な病気なので多くの人が助かります。

ただ、破裂するまで無症状で進行してしまう病気なので、
何もしないと気づくことができません。

違う病気の検査でCTを撮ったら偶然発見できたというケースが多いので、
自分で人間ドッグなどの定期検診を受け、そこにCT検査を組み込む
のも一案です。

また、この病気の主な原因は動脈硬化によるものです。
喫煙や高血圧、高脂血症は動脈硬化の危険因子と言われます。

禁煙やカロリーに配慮した食生活を心がけるなど生活習慣を見直し、
さらにウォーキングなどの適度な運動に取り組んでいければ
大動脈瘤で命を落とすリスクを下げることが可能です。

もし、高血圧や高脂血症、そして喫煙習慣があるなどの動脈硬化を起こしやすい人は
一度医師の指導を受けてみるのも良いでしょう。

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