【終活】おむつの下水処理は可能か?

「使用済みの紙おむつをこのままトイレに流せたら…」
子育てや介護の経験がある方なら、必ず一度は思ったことないでしょうか?

そのままゴミ箱に入れてしまうと臭いや衛生面で問題がありますし、
その重さも数が多くなると捨てる際に大きな負担となります。

でも使用済みの紙おむつから汚物を分離して下水に流してくれる装置があったら…?

今回はこんな奇抜とも取れるアイデアの実現に向けての取り組みを
紹介していきたいと思います。

■紙おむつ処理の負担をラクに!

乳幼児用おむつはもちろんなのですが、
高齢化に伴い大人用のおむつの生産数も年々増えています。

2018年には大人用が84億枚となり、
2010年と比べその生産数は1.5倍にも増加しているのです。

今後も加速していく高齢化で、
紙おむつの使用量は右肩上がりで増えていくことは確実でしょう。

一般ゴミ処理量に占める紙おむつの割合が2030年には約8%にもなると推計されるいま、
国交省は2017年に「新下水道ビジョン加速戦略」を公表しました。

高齢化で紙おむつの利用者は増えるのですが、
人口が減ることにより下水処理施設に少し余力が生まれることから
そこを有効利用しようと考えたのです。

紙おむつはその性質上、水には溶けません。
そのためおむつをそのままトイレに流すことはできないので、
専用の装置をトイレに置いて処理した上で受け入れる方法を前提に
以下の3案を考えました。

①装置で汚物を分離して下水に流してから、紙おむつのみをゴミとして回収する
②装置で紙おむつを破砕して建物外の専用の回収装置に送り、紙おむつのみを回収。
汚物だけを下水に流す。
③装置で紙おむつを破砕して専用の配管で下水施設まで流し、施設で処理。

1つ目の方法についてはすでに委託を受けた大手電機メーカー「パナソニック」が
実証実験を開始しています。

パナソニックによると装置は家庭用洗濯機ほどの大きさで、流水で汚物を分離するほか、
おむつの吸水材に塩化カルシウムなどの離水剤を添加して水分を分離させ
排泄物を下水道へと排水します。

専用の配管が必要ないなど他の方法に比べ敷居が低いことから、
実用化されるのが一番早いのではないかと言われています。

国交省は残る2案についても22年度までに指針をつくる予定です。

 

■期待を高める介護業界

今回の取り組みは、個人はもちろんですが介護業界からも
大きな期待を寄せられています。

なぜなら使用済みの紙おむつの重さは想像以上に重く、
取り扱うのに体力的な負担が大きいからです。

ある施設の例ですが、1日あたりの紙おむつ利用者は20人ほどでも
多いときは90リットルの袋3つ分にもなる使用済みおむつを
廃棄場所まで運ばなければなりません。

もちろん封をしているとはいえ、臭いや衛生面でも気になることが多いでしょう。
しかし紙おむつから便を分離できれば、その問題は大きく改善されるはずです。

すでに実証実験のためにいくつかの高齢者施設に設置されはじめたこの装置は、
介護業界から大きな期待を集めています。

 

■高齢化で増える、おむつの使用枚数

介護を受ける高齢者の多くは、紙おむつを使用せざるを得ません。

そのため今後さらに高齢化が加速していく日本では紙おむつの使用量は増加していき、
17年の121億枚(大人用・子供用合わせた枚数)が40年ごろには142億枚まで増えると予想されています。

少子高齢化で子ども用は減っていくのですが大人用が大きく数を増やすとみられており、
おむつ使用者が人口に占める割合も現在の5.2%から40年には7.0%にまで上昇すると
見込まれます。

このように、年金や社会保障制度、労働人口の減少による経済成長の鈍化といった
大きな問題以外にも高齢化に伴う課題は多くあります。

ひとつひとつ確実にクリアして、老若男女すべてのひとがより幸せに過ごせる社会が
作れていけると良いですね。

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