【終活】高齢者を災害から守る

2018年7月、記録的な大雨で多くの犠牲を出した西日本豪雨。
そこで亡くなった犠牲者の約7割が60歳以上の高齢者でした。

今年も九州北部豪雨など各地で大きな豪雨災害が起こっている近年、
災害時に高齢者をどう守るのかが課題になっています。

災害が起きた時、高齢者本人や周囲の人はどのように行動すればいいのでしょうか?

実例や専門家の話を基に考えていきます。

■「もしも」に備える重要性

西日本豪雨で大きな被害を受けた県のひとつ愛媛県。
県内では大きな被害を受け、多数の死傷者を出しました。

三善地区も約80世帯が浸水する被害を受けた地区です。
しかしここでは奇跡的に一人の犠牲者も出すことがありませんでした。

他の地域で甚大な被害が出る中、なぜ同じ愛媛県であるにもかかわらず
三善地区では犠牲者ゼロだったのでしょう。

その答えは「もしも」に備え、前もって具体的な計画を立てていたからです。

災害時に支援が必要な高齢者や障害のある人のリストを作り、
さらに誰が誰をサポートするのかまでを決めるなど、かなり具体的な計画を立てていた
ことが犠牲者を一人も出さずにすんだ大きな要因でしょう。

この一帯は過去にも大きな水害に襲われていたこともあり、
2006年に県内でいち早く自主防災計画を策定。

避難マップを作成し住民に配布、避難所までの道順や近所で避難時にサポートが必要
だと思われる高齢者や障害者の住宅などを書き込んでいました。

さらに名前や性別、血液型、持病や服用中の薬の情報などを書き込んだカードを
避難の際に携帯するといった備えも行っていました。

三善地区で一人暮らしをするAさん(77歳・女性)は、
近くの肱川(ひじかわ)が氾濫し家の2階部分までを浸水する被害に遭いました。

「ここまで水が来るとは思わなかった」と言うAさんは、
足が不自由で自分だけで避難するのは困難な状態です。

しかし洪水に備え家をかさ上げしていたこともあり、
自治会役員から安否確認の電話があったときには避難しないと答えてしまいました。

その後、想像を超える水がAさん宅に押し寄せます。

2度目の電話の「今ならまだ間に合う」という言葉で避難しようと決めたAさんは、
間もなく到着した消防団のボートで救助されました。

「助けてもらい本当にありがたい」とAさんは感謝します。

このように、緊急時にも関わらず2度に渡り高齢者宅に連絡ができ、
さらに救助にまで向かえたのは「もしも」に備えて日頃から入念な避難計画を
立てていたからでしょう。

緊迫した状況でもどのように動けばよいのか知っていれば、
危険に気づいたり周囲に声をかけたりできる心の余裕も生まれます。

普段から災害を意識し準備しておくことの重要性を再認識させられる事例です。

■「自分は大丈夫」は危険な思い込み

どうして人は逃げ遅れるのでしょう?

その答えは「自分は大丈夫」という心理が、災害時に働いてしまうことにあると
専門家は言います。

特に高齢者は豊富な人生経験から自らの判断を最優先してしまう傾向があります。
しかし今は「過去の経験が生きず、想定外の事態が起こる時代になっている」と
肝に銘じておくことが大切です。

災害時は何が起きても不思議ではないという心構えを持ち、
常に最悪の事態を想定して行動できる準備を整えておきましょう。

避難の目安となる避難勧告は、空振りを恐れた自治体が発令を遅らせることもありえます。
そのため勧告は出ていなくても、自分で危険だと判断できたら周囲の状況を見定めて
自主的に避難することが大切です。

しかし暗くなって動くとかえって危険な場合があるので、避難はできるだけ明るいうちに
始めるとよいでしょう。

■災害に対する心構えを常に持ちましょう

高齢者本人そして周囲の人も含め、自分は災害に遭うことはないと思っている人は
少なくありません。

しかし気象現象が極端化している今、自然災害による被害は誰にでも起こり得ます。

行政はできるだけの手を回してくれようとはしますが、
いざ災害が起きてしまうと全ての人に救いの手を差し伸べることは不可能でしょう。

だからこそ、地域で災害への備えをすることはもちろん、
高齢者本人も危険をしっかり認識し避難をためらわないことが大切になってきます。

これまでの常識にとらわれず「危険を察知したらすぐに動ける行動力」を身につけることが、
高齢者を含め私たちが災害から身を守るための最善の近道
であることを
忘れてはいけません。

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終活とは成熟した大人がこれからの人生をどのように楽しみ、次の世代に何を託すのかを決める作業です。
何かを決めるということは大変な作業ですが、
それだけにその決断は大切なヒトへのやさしさや愛情になるのではないでしょうか。
リガーズサービスのコラムが、あなたの充実した終活のお役に立てれば幸いです。

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