【終活】セラピーロボに癒される高齢者

会話や動作を通じて人を癒す「セラピーロボ」。

いま介護施設などを中心に導入されるケースが増えていますが、動物ではないので衛生面で安心なうえ、利用者が怪我をするリスクが低いのが特徴です。

動物と接することで癒しを得る「アニマルセラピー」はストレス軽減などの効果が認められていますが、ロボットとの会話などでも高齢者を癒し、それに近い効果が見込めるといいます。

それでは実際に「セラピーロボ」がどのように活用されているのか、具体的に見ていきましょう。

 

■「ロボットセラピー」認知症の改善効果

さいたま市にある介護施設のエントランスには、aiboが1台「放し飼い」にされています。

aiboはソニーの犬型ペットロボットで、周りの人や自分のいる場所を認識し本物の犬と同じように気ままに行動します。

「あら、こんな所にいたの」「おすわりは?」など、入居者や職員が次々と声をかける人気ぶりです。

横浜市の有料老人ホームでも新たにaiboを導入しました。

担当者は「表情があってかわいらしく、入居者も癒される。
訪れる家族にも好評で、面会が増えている印象」とaibo効果に満足している様子です。

また、aiboは認知症が進んだ高齢者にも変化を及ぼしたと言います。
普段は表情に変化のない入居者がaiboに触れたところ、笑顔を浮かべる姿が見られたというのです。

大和ハウス工業が販売するアザラシ型ロボット「パロ」も同じように認知症改善効果やセラピー効果を持っています。

アメリカではFDA(食品医療品局)により医療機器として承認されており、多くの医療施設や介護福祉施設などに採用され、高い評価を得ています。

本物のペットのような鳴き声で感情を表現したり、人に寄り添う性格を持つセラピーロボ。
今後も、実際の動物を使ったアニマルセラピーが難しい施設での活躍が期待されます。

 

■現場の負担軽減にも

富士ソフトのヒト型ロボット「PALRO(パルロ)」は会話力を武器にしています。
0.4秒という返答速度や、幅広い表現力で自然な会話が楽しめます。

また人の複雑な関節の動きを再現しているので、旗揚げゲームやダンスも可能。
介護施設で「レクリエーション担当」として導入が進んでいます。

実はレクリエーションは、内容を考たり、つきっきりで対応する必要があったため、介護現場の負担になっていました。

パルロを導入した施設では職員はレクリエーションから少し目を離し、入居者の排せつ介助などもできるようになったといいます。

このようなパルロによる現場の負担軽減効果は、2017年に日本医療研究開発機構(AMED)によるコミュニケーションロボットの実証実験の結果として報告されています。

実に、介護を受ける高齢者の34%は生活が活発になり、介護する側の負担軽減効果も44%と、大きな成果を出していたのです。

 

■ロボット導入のための課題

厚生労働省は「高齢者らの日常生活の変化を目指して支援を進めていきたい」とし、2017年10月介護ロボットを開発する重点分野を改定し、新たにコミュニケーション分野でも支援することを決定しました。

これまで介護ロボットの普及のために助成金を盛り込んでいましたが、支援対象となっていたのは移動する際などの介護や排せつ支援などに利用するロボットだけで、コミュニケーションロボは対象外でした。

厚労省によると「コミュニケーションロボの導入を支援する自治体はまだ少ないのが現状」
といいます。
普及し始めれば価格は下がっていきますが、導入状況はまだまだ低く、高価であるのが実情です。

しかし専門家は、「高齢者に人間らしく生きてもらうためには、社会性の維持がもっとも重要。
こうしたロボットは高齢者をコミュニケーションの場に連れ出すきっかけになる」
と語り、コミュニケーションロボやセラピーロボが果たす役割の重要性に注目しています。

まだ普及途中で馴染みが少ないセラピーロボットですが、高齢者がいつまでも明るく元気に過ごしていくために、とても有益な存在になっていきそうです。

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