【終活】いつまでも元気に楽しむために

年齢を重ねると、つい身体を動かすことがおっくうに感じたり、機会自体も減ってしまいます。
そんな方に有効なのが「レクリエーション」です。
「レクリエーション」には、体を動かすこと以外にも、指先を使うもの、頭を使うものなど様々な種類があります。
今回は要介護者の心身の状態や好みに合うレクレーションを考案し、日々の楽しみや身体機能を改善する機会をつくることを仕事としている「レクリエーション介護士」についてお話します。

●レクリエーション介護士とは

レクリエーション介護士は日本アクティブコミュニティ協会が2014年に創設した民間資格です。
介護の基礎知識や高齢者の心身の変化を学び、喜ばれるレクリエーションを企画・実行し、生きがいや楽しみをつくるお手伝いをする役割が期待されています。
資格は1級と2級があり、2017年末で2級の取得者は全国で2万人近くなり、資格を取得する人が全国的に増えています。
では、具体的にどんな内容かご紹介します。
レクリエーションの内容は主に2つに分けられます。

<集団レクリエーション>

集団レクリエーションとは体操や運動、季節ごとのイベント行事などです。
集団で行うことで連帯感や協調性の強化、高齢者同士のコミニュケーションのきっかけとなり、認知症の予防に繋がります。
クリスマスやお正月などのイベント行事も四季の変化を感じられるので、高齢者に良い刺激になります。

<個別レクリエーション>

個別レクリエーションとは、囲碁や将棋等のゲーム、絵画やクラフト等のものづくりなどです。
一人で集中して行う事で集中力の向上や指先を使ったり、ゲームの戦略を考える事で脳の活性化に繋がります。
個別でそれぞれに対応できるので、ひとり一人の需要に応じたレクリエーションを行える事が強みです。

【レクリエーションの効果】

●他者とのコミュニケーションを促進する
高齢になると、体の機能や体力が衰えるので、外出することをおっくうに感じる人がいます。特に一人暮らしをしている高齢者は、意識して外に出ようとしないと、人と触れ合う機会があまりありません。
その状態が続いて、引きこもりや老人性うつになってしまう人もいます。
レクリエーションに出かければ、仲間がいます。仲間と同じ時間を過ごすことが楽しみになれば老人性うつにもかかりにくくなりますし、引きこもりの回避にもつながります。

●脳を活性化する
手先や体、言葉を使うレクリエーションを行えば、脳の活性化につながります。レクリエーションの動きや内容が、普段は使わない脳の部位を刺激すると考えられるからです。その結果、認知症の予防や症状の進行を遅らせる効果が期待されます。

●身体機能を向上させる
適度に体を動かすことで、高齢者の身体機能の向上を図る目的もあります。
年齢とともに筋力や体力が衰え、運動量が減ってしまうのは、仕方のないことです。だからこそ意識して体を動かすようにしないとさらに機能が退化し、要介護度が進んでしまいます。
レクリエーションを楽しみながら無理なく体を動かせば、身体機能を向上させ、健康を維持することにもなるでしょう。

●生活の質(QOL)を高める
コミュニケーション、脳の活性化、身体機能の向上は、トータルで生活の質を高めます。
仲間と過ごす時間を心待ちにする気持ちが日々を過ごす張り合いになり、誰かと話をすることはストレス解消につながります。感情が安定し、介護者の負担も軽減するでしょう。

●工夫を凝らしたレクリエーション

東京都北区のデイサービス「モーニングディあさがお」もレクリエーションを取り入れています。
8人の職員のうち2人がレクリエーション介護士の資格を取得しており、通所者ひとり一人の現状を考えながら「かけ算カルタ」や「都道府県ビンゴ」などのレクリエーションを行っています。
楽しみながら腕や喉の機能を使い、脳トレ効果も期待できるレクリエーションは、時に施設で打ち解けるきっかけにもなります。
あさがおに昨年4月から通所するようになったTさん(81)もその一人です。
Tさんはなかなか施設に馴染めずにいましたが「ペットボトルのフタが開けづらい」といった通所者の悩みを解決しようと指の機能訓練グッズをつくることになったレクリエーションでのことです。
70代まで町工場でロケット部品を作っていたTさんは、持ち前の手先の器用さを生かし、皆に訓練グッズの作り方を教える機会が生まれ、それを機に周囲に溶け込めるようになったといいます。

レクリエーションには、この他にも寝たきりの方など主体的に参加できない人も参加できるものもあります。
音楽を使用したレクリエーションはとても有効的で、身体能力が低下している方でも歌を歌うことができます。
また認知症で理解力が低下している人も、音楽がかかると歌詞がでてきたり鼻歌で歌える方も多く、意思の疎通ができない方でも聴いて楽しむことができます。

このようにレクリエーションは、様々な形で日々の楽しみや身体機能改善に役立っています。

●まずは楽しく

レクリエーションは身体機能の改善の機会となることから、リハビリの一種とも捉えることができます。
一般的に想像されるリハビリは、身体機能を回復させる筋トレなどを思い浮かべる人が多いかもしれませんが、リハビリの定義は「社会復帰すること」であり、筋トレに限りません。
専門家による身体機能や脳機能に対するリハビリには及びませんが、レクリエーションを行うことで生きる喜びが見つかる=リハビリに対する活動意欲もさらに増してきます。

レクリエーションは“楽しい”ということが大前提。
「自分のやりたいことをする」というのは楽しいに繋がります。
さらに「主体性」を大事にすることで、社会復帰も促すことができるでしょう。

介護施設で必要なレクリエーションは、お遊戯のようなものではなく、生きていく元気を再びつくり出す活動。
レクリエーション介護士はそうした目的に合わせて、今後どんどん活躍の場を増やしていくことでしょう。
皆さんも楽しくできることから、レクリエーションをはじめてみてください。

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エンディングノートや遺言をつくることだけが終活ではありません。
終活とは成熟した大人がこれからの人生をどのように楽しみ、次の世代に何を託すのかを決める作業です。
何かを決めるということは大変な作業ですが、
それだけにその決断は大切なヒトへのやさしさや愛情になるのではないでしょうか。
リガーズサービスのコラムが、あなたの充実した終活のお役に立てれば幸いです。

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