【終活】高年齢労働者の安全対策

日本の労働人口は減少を続け、労働者の高齢化が目立ってきました。
高齢と言っても、経験豊かなベテランの巧みな技と知恵は必要不可欠な存在です。
しかし、年齢が高くなるほど仕事中のケガや死亡事故などの頻度が高くなっています。
今回はそんな高年齢労働者の現状や安全対策についてお話します。

■増える高年齢の労働災害

そもそも「高齢者」とは何歳以上をいうのでしょうか。
「高年齢者」「高齢者」「中高年」など類似の言葉がありますが、法令や行政においてもそれぞれで年齢が決められています。
高年齢者等の雇用の安定に関する法では、高年齢者を55歳以上、中高年齢者を45歳以上としています。
55歳で高年齢者というのは抵抗があるかもしれませんが、その高年齢労働者の死亡災害の発生割合は若い世代に比べて高くなっています。

平成28年の厚生労働省のデータをみると50代以上の「死傷災害(休業4日以上)」件数は全体の約48%、「死亡災害」は全体の約56%と半数を超えています。
その主な原因と考えられるのが、心身機能の低下です。

心身機能には、記憶力・分析・判断能力・動作速度・瞬発反応・視力・聴力等がありますが、この心身機能で注意するべき点が2つあります。
1つ目は、生理的機能(とくに感覚機能、平衡機能)は早い段階から低下がはじまるということ。
2つ目は、筋力の低下は脚力からはじまるという2点です。

上記グラフは20〜24歳と55〜59歳の心身機能水準の相対関係を表しています。
グラフを見ると、全身跳躍反応、動作速度などはそれほど低下していないのに対し、伸脚力は最高期の63%しかなく、平衡機能に至っては48%と著しく低下しています。
視力や聴力、平衡機能が低下することで、バランスを崩して転落したり、段差に気付かず転倒したりするケースが増えていると考えられます。
また加齢に伴い骨ももろくなっていくため、転倒が骨折につながるリスクも高まります。
腰、大腿骨の骨折は長期の休業が必要になり、そのまま寝たきりになってしまうこともあります。

■誰もが快適に働ける環境が、高年齢労働者の安全対策につながる

では、災害を起こさないためにどうすればよいのでしょうか?
高年齢労働者が増える中、企業側の高年齢労働者に対する安全対策がとても重要になってきます。
企業内で以下の転倒や墜落、転倒防止策に取り組み、働きやすい環境づくりに努めることが大切です。

①「転倒災害」防止策
視力が衰えると、明暗の差がわかりにくくなるため通路の段差などに気づかずに転倒する恐れがあります。
通路は明るくし、不要なものは撤去します。
また段差をスロープにするなどの対策をしましょう。
②「墜落、転落災害」防止策
墜落、転落の危険があるハシゴや脚立などを使用する際は、事故から身を守るため、作業時には必ずヘルメットの着用を義務付けましょう。また地上から2m以上の場所では転落防止のため柵を設けるなどの借置をしましょう。

高年齢労働者の豊富な経験と高度な技術は企業の財産です。
心身機能の低下に配慮し、十分な安全対策を講じることは企業にとってもプラスになります。
厚生労働省が「高年齢労働者に配慮した職場改善マニュアル」を出していますので、そちらも参考にしてみてください。
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/0903-1a.pdf

しかしどんなに企業側が対策を講じても、労働者本人の意識が変わらなければ事故は防げません。
「自分は大丈夫」と思わずに、ご自身の体力を把握し、確認などを念入りにし、安全第一で長く元気に働けるよう努めていきたいですね。

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