【終活】相続 空き家の活用と節税対策

人口減少が進む日本で大きな問題の一つになっているのが「空き家」です。

親などから相続した家に住まず、空き家のまま持て余す人が全国で増えていますが、放置していると固定資産税などの維持コストがかかるばかりか、防犯、景観、衛生などの観点から近隣へ迷惑をかけてしまうことにもなりかねません。

ただし同じ空き家でも、都市部など立地がよければ、賃貸に回して家賃収入を得られる場合があります。
また非課税枠を使えば売却も選択肢に入ってきます。

そこで今回は負の遺産にもなりうる空き家を、あきらめず活用する方法とその節税について考えていきましょう。

■右肩上がりを続ける空き家率

全国の空き家の数は2013年時点で820万戸にのぼり、総住宅戸数6060万戸に対し、約14%を占めています。

人口の減少を背景に空き家は今後もさらに増えていく見通しで、このままいけば全国の空き家は2033年に全戸数の3割にあたる約2200万戸にもなると予測されています。

ほぼ3軒に1軒が空き家という異常事態です。

空き家になってしまう理由について、亡くなった人が一人暮らしだった場合や、相続人が売却・修繕をせず放置していることなどがあげられます。

家を解体すると固定資産税が最大4.2倍に増えてしまうことや、解体に要する費用など、経済的な負担も空家になる原因と考えられます。

また空き家になっている一戸建てを調べると、およそ半数はもともと親などから相続した物件です。

生活の拠点として長く住んだ家には思い入れも多く、実家なら一層解体することに対し、ためらいが大きいのも理解できます。

■空き家を賃貸に

誰も住まなくても毎年、土地・建物には固定資産税や都市計画税がかかります。

メンテナンスなども含めた維持コストは、都心から離れた郊外の一戸建てでみても毎年10万~20万ほどになります。

この負担を減らすには賃貸に回すのが選択肢になってきますが、問題は採算がとれるかどうかでしょう。

しばらく放置されていた空き家は、賃貸に出す前に大規模なリフォームを行わなければならないことが多く、平均的な一戸建ての場合、内装の全面改修や台所や浴室の設備交換で170万~250万、外装に手を入れるとさらにコストがかさみます。

もちろんそのままの状態で入居者が集まれば良いのですが、短期間でも空き家になっていた建物は人が住んでいたときよりも劣化スピードが速く、思わぬ部分で修繕が必要になるケースが多いのです。

空き家の所有者はいまや過半数が65歳以上のリタイア世代。
数百万円の費用をかけてまで賃貸経営に乗り出す気持ちにはなりにくいようです。

それでも条件によっては採算が見込めるというのが専門家や不動産業界の見立てです。

築20~30年の一戸建ての家賃は、八王子市で平均10万5000円、相模原市で10万1000円ほど。

仮に改修費を600万円とすると単純計算では5年で回収できることになります。
空き家の維持コスト捻出はもちろん、それ以上の固定収入が得られる可能性もあるのです。

また空き家を家賃保証付きで賃貸するサービスもあります。
例えば、相模鉄道グループは空き家を転貸するサブリース事業で新しい商品を提案しています。

その内容は、空き家所有者に対して原則7年分の家賃収入を保証するというもの。
その一部となる3年分は前払いにし、残りの4年~7年分は月払いで支払うという仕組みです。

定期借家契約のため、家賃は相場より約15%下がりますが、所有者は先に受け取る3年分の家賃を改修費に充てられるほか、7年間の収支をあらかじめ確定できる利点があります。

■売却で大きな節税

高齢や採算などの理由から賃貸経営は難しい…という人にとっては、売却が一番現実的な手段になるでしょう。

その際に検討したいのが、「空き家に係る譲渡取得の特別控除の特例」という優遇制度です。

すべての空き家が控除の対象になるわけではありませんが、一定の条件を満たせば譲渡取得から最大3000万円を特別控除でき節税になります。

仮に兄弟二人で共同相続した空き家であれば、税率20.315%で節税額は合計、最大1200万円余りになるのです。

特別控除の対象は、1981年5月までに建てられた一戸建てで、亡くなった人が一人暮らしをしていた家。
さらに相続発生の3年後までに建物を解体するか、新耐震基準を満たすよう改修するかしたうえで、1億円以下で売るといった条件を満たした空き家です。

適用条件は厳しいですが、都心部にあり先祖代々から受け継いだような土地では、大きな節税効果を発揮する可能性があります。

相続空き家を持っている人は、自分の物件が条件を満たしているかどうか一度確認してみると良いでしょう。

■空き家を負債にさせないために…

高齢化やライフスタイルの多様化で、実家が空く頃には次の世代も家を所有していることがほとんどです。

親の家を相続しても、その対策や維持費で財産どころか負債を抱えることにもなりかねません。

賃貸するにせよ売却するにせよ、放置すればするほど取引条件が厳しくなる可能性が大きいので、早めの準備が重要です。

相続前の段階で、親子や相続人の兄弟間で実家をどうするのか考えることも大切でしょう。

まだまだそんな年齢でもないし、相続の話をする気にならない…という人は、気軽に終活を始められる「リガーズサービス」を利用して、家族での話し合いのきっかけづくりにしていただくのもお勧めです。

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終活とは成熟した大人がこれからの人生をどのように楽しみ、次の世代に何を託すのかを決める作業です。
何かを決めるということは大変な作業ですが、
それだけにその決断は大切なヒトへのやさしさや愛情になるのではないでしょうか。
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