【終活】増える高齢者の一人暮らしとリスク

近年、高齢者の一人暮らしが増加してきています。
一人暮らしの増加は、個人の生き方や家族のあり方の多様化を反映していますが、社会に少なからず影響を与えていくと思われます。
特にこれまで高齢者と同居する家族の助け合いが生活保障の大きな役割を果たしてきたので、一人暮らしの増加によって起きるリスクに、どのように対応していくのかを考えていく必要があります。
そこで今回は、高齢者の一人暮らしの現状とリスクについてお話していきます。

■単身世帯の現状

2015年の国勢調査によると、一人暮らしをする単身世帯は約1842万世帯と、全国民の7人に1人(14.5%)が一人暮らしをしています。1985年は全国民の16人に1人が一人暮らしだったので総人口に占める比率は、この30年間で2.2倍に高まっています。
男女別、年齢階層別人口で比較してみると、男性では50代・60代の中年層、女性では70代・80代の高齢者層の増加が目立ってきています。

今後2030年にかけて男性は60代・70代、女性は50代・60代で一人暮らしの比率が高くなるとみられ、大きな要因は未婚率の増加と考えられます。
未婚化以外にも、配偶者と死別した高齢者が死別後子どもと同居することが多かったが、現在では同居せずに一人暮らしをするといったケースも増えてきています。

■一人暮らしのリスクと対応

「1人でも住み慣れた家で暮らしたい」と考える高齢者が増える一方、高齢者の一人暮らしは様々なリスクを伴います。
1つは経済面です。
一人暮らしの高齢者は他の世帯に比べて貧困率が高いとされています。
一人暮らしの高齢者の収入構成をみると、公的年金が70%を占めており、その比重が大きいことから貧困に陥りやすいとみられます。
特に国民年金(基礎年金)の受給額でみると、保険料を40年間支払った場合は、月額6.5万円(満額)受給されますが、保険料の納付期間が40年間より短ければ、その分の受給額は減額されてしまいます。
こうした貧困のリスクを予防する手立てとして、働き続けられる環境の整備が求められています。
働く意欲があって働ける人はできる限り長く仕事を続けられることで、公的年金の受給開始年齢を遅らせることによって割増された年金を受け取る対応が望まれます。
(前回紹介したコラム【終活】まだまだ元気!増加する働く高齢者②も参考ください。)

もう1つ考えられるリスクとしてあげられるのが健康面です。
高齢者の一人暮らしは心身の不調や認知症の症状が出始めても気づく人が身近にいなく、さらに地域とのつながりが薄いと孤立してしまい必要な助けを求められないことがあります。
内閣府の調査では「孤独死を身近な問題と感じる」と答えた一人暮らしの高齢者(60歳以上)は45%にのぼり、こうした高齢者を地域でどう支えるかが問題となってきます。

そんな中、東京都足立区では、一人暮らしの高齢者の支援に取り組んでいます。2012年度から取り組んでいる「孤立ゼロプロジェクト」では、介護保険サービスを利用していない70歳以上の単身高齢者と75歳以上のみの世帯に実態調査を実施、対象のうち孤立の恐れがあるとされた世帯は13%にのぼりました。
該当世帯は地域包括支援センターの職員が支援にあたるほか、高齢世帯を住民有志が見守る「絆のあんしん協力員」制度も設立され、地元密着型の活動を通して問題解決へと精力的に取り組んでいます。

■ITを活用して生活に安心を

地域で高齢者を支える活動が行われる一方で、活動を担うメンバーの高齢化や町会への加入率の低下が問題となっています。
限られた担い手で高齢者を支えていくために、近年注目されているのが、ICT(情報通信技術)を活用した高齢者支援サービスです。
現在見まもりサービスは「センサー型」「通報型」「コミュニケーション型」と様々なタイプがあります。
中でも「センサー型」タイプの見まもりサービスは、各企業で開発されており、ポットの使用頻度、ガス・電力の使用量、ドアセンサーなどで安否を確認するなど、生活行動を利用したシステムになっています。遠くに暮らす家族がいつでも見守ることができます。

増え続ける一人暮らしの高齢者を支えるためにも、自治体などが中心となり地域に根ざした支え合いのしくみづくりと、最新のICT技術を上手に取り入れた、より便利で安心できる支援体制を築いていくことが必要となるでしょう。

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