【終活】「配偶者居住権」の創設

2018年6月19日に相続分野の規定を約40年ぶりに見直す民法改正案など、関連法案が衆院本会議で可決し、参院に送付されました。この度の法改定では「配偶者居住権」の創設が柱となっています。
そこで今回はこの新たな権利「配偶者居住権」についてお話しします。

■「配偶者居住権」(長期居住権)とは

相続が開始した時(被相続人が死亡した時)に、被相続人の所有していた住宅に住んでいた生存配偶者について、原則としてその配偶者が亡くなるまでの間その住宅を利用し続けることを認める権利のことを言います。
現行制度でも配偶者は住居の所有権を得れば、そのまま住み続けられるのですが、住まいを確保するために所有権を得ると預貯金などの取り分が少なくなり、生活資金に困窮する可能性があるため残された配偶者が今の家の所有権を持たずに住み続けられる権利や遺産分割とは別に住居の贈与を受ける制度で、預貯金など他の遺産の取り分を増やし、老後の生活資金を得やすくしました。
例えば、遺産の内訳が評価額2,000万円の住居とその他の財産3,000万円の総額5,000万円のとします。
遺言が無く、配偶者と子で遺産を分ける場合、それぞれの取り分は2分の1、各2,500万円ずつです。
現行制度では配偶者が住居に住み続ける場合、住居の評価額が2千万円なのでその他の財産の取り分は500万円になります。しかし、法改正後では所有権ではなく居住権を選べば、住居権が1千万円といった少ない金額になるのでその他の財産は1500万円となり老後の生活費を確保できるようになっています。

婚姻期間が20年以上の夫婦なら、配偶者に住居を生前贈与するか遺言で贈与の意思を示せば、その住居は遺産分割の対象から外れます。
現預金や不動産などの財産を相続人で分ける際に、配偶者の取り分は実質的に増えることになります。
これまでは住居以外の財産が少なければ配偶者が遺産分割のために住居の売却を迫られることもありましたが、夫や妻が亡くなった時に配偶者が急に住まいを失うということがないよう、遺産分割が終わるまで住居に無償で住める「短期居住権」も新たに設けています。

■遺言トラブルを防ぐ

「配偶者居住権」はあらかじめ遺言に書いて(遺贈)おくか、相続開始後に遺産分割協議などで決めることで取得ができます。
遺言は大きく2つに分けて【自筆証書遺言】と【公正証書遺言】があります。
【自筆証書遺言】は従来自宅で保管するか、弁護士や金融機関に預けていました。
しかし自宅での保管は、改ざんや紛失の恐れや被相続人の死後に遺言の所在がわからなくなるなどトラブルが想定されます。
そこで今回の法改定で公的機関である全国の法務局で保管できるようになり、相続人が遺言があるかを簡単に調べられるような仕組みにしました。
さらに法務局に預けた場合は、家庭裁判所で相続人が立ち会って内容を確認する「検認」の手続きが不要となりました。またこれまでは財産の一覧を示す財産目録は自筆に限定されていましたが、パソコンでの作成を可能にし利便性を高めました。

【公正証書遺言】は公証人が形式の不備などがないように遺言を書き、公正役場で保管するため改ざんや紛失の恐れはありません。しかし、作成に証人2人以上が必要であるなど、手間や費用がかかります。
こうしたことから一人で手軽に作成できる【自筆証書遺言】の方が利点があります。

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今回創設される「配偶者居住権」は配偶者の老後の経済的安定を図ることができると期待されています。
さらに、超高齢化が進み「終活」に関心が高まってきている中、トラブルを未然に防ぐ仕組みも一緒に導入してもらえば安心して老後を過ごすことができるでしょう。

 

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終活とは成熟した大人がこれからの人生をどのように楽しみ、次の世代に何を託すのかを決める作業です。
何かを決めるということは大変な作業ですが、
それだけにその決断は大切なヒトへのやさしさや愛情になるのではないでしょうか。
リガーズサービスのコラムが、あなたの充実した終活のお役に立てれば幸いです。

 

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