【終活】賢い贈与で上手に節税②

上手に使えば、節税や相続争いの回避に非常に有効な贈与。
しかし、財産額や受け渡し方法などによってはデメリットが生じるケースがあるのも事実です。
今回は実際に気をつけるべきポイントを紹介していきますので、生前贈与を検討していは自分にあった方法は何かを事前に確認しておきましょう。

 

贈与の注意点

贈与税は生前贈与での相続税逃れを防ぐために存在する税金で、数ある税金の中でもトップクラスの税率になっています。

そのため何も考えず贈与しようとすると、贈与がすべて無効になる可能性があるうえ、受け取った側は思いもよらない多額の納税を負担する事態に…。

ここからは、このような贈与の注意点を紹介していきます。

贈与で気をつけるポイント

1.みなし贈与税のリスク

元気なうちからコツコツと…。基礎控除額の110万円の贈与を毎年計画的に行うのは暦年贈与の一般的な活用方法です。
しかし、毎年誕生日など同じ日に同じ金額を贈与していると、最初からまとまった金額を贈与するつもりだったとみなされてしまうことがあります。
もしそのように判定されてしまうと、多額の贈与税を課せられます。
また、贈与してもらった側に受け取った認識がないと、名義を借りて預金していただけと判断され、贈与とは認められないこともあります。
例えば、父親が子ども名義でコツコツ預金していても、子どもがその口座の存在を知らない、または自分のものだという認識がなかった場合は、父親の財産とみなされてしまいます。
親から子供へ現金の贈与をした場合、贈与した現金が預けられている口座の通帳や印鑑を親が管理しているなど、子供がその財産を自由に使えない状況では贈与として認められない恐れがあります。

2.基礎控除額は一人につき110万円

贈与税の基礎控除学である年間110万円は、何人から贈与されても変化しません。
例えば父から110万円、母からも110万円贈与を受けていた場合、合計220万円を受け取ったことになり110万円分は贈与税の申告が必要になります。
基礎控除額が220万円になるわけではないので注意が必要です。
逆に受け取る人が異なれば、あげる人が同じでも各自110万円までは非課税ということになります。
例えば父が兄弟3人に対して、それぞれ110万円ずつ贈与したという場合は申告の必要がありません。

3.贈与後3年以内に相続があった場合は相続税に加算

非課税で生前贈与したものの、3年以内に贈与した人が亡くなり相続が発生した場合には、贈与した分も相続税の計算に持ち戻されてしまいます。
生前贈与は3年経たないと効果は出ませんので、贈与をするのであれば元気なうちに始めることが大切です。
なお、この3年内加算のルールは、将来相続人になる配偶者と子どもには適用されますが、孫は原則その対象ではありません。
新聞や雑誌で「孫への贈与は有利」という見出しを見たことがあるかもしれませんが、
それはこの3年内加算ルールに該当しないからです。

4.満期保険金にも贈与税

契約者が親で満期保険受取人が子どもだった場合、子どもは父から贈与を受けたことになり贈与税がかかります。
契約者と受取人が同じ名義であった場合でも所得税はかかってきますが、最も税率が高く設定されている贈与税よりも、所得税の方が納税額が少なく済みます。
すでに契約している保険の名義を確認して、もし贈与税の課税対象となる受取人名義の場合には、所得税の対象となるよう名義変更することをおすすめします。
ただし満期保険金が贈与税の基礎控除110万円以内であれば税金はかかりませんので、その限りではありません。

税務調査で困らないために

相続税を少なくし、節税効果が見込める生前贈与。

しかし正しい方法で行っていないと後で後悔するケースもしばしば見受けられます。
そのきっかけが相続税の税務調査です。

税金の額が高額になりやすい相続税は税務調査の対象になりやすく、
相続税申告の約4件に1件の割合で行われています。

通常、贈与税のみの税務調査はめったに行われませんが、相続税対策として生前贈与を
利用する人が多いため、税務署は相続税と贈与税をセットで調査対象にすることが多いです。

もし贈与税の申告もれを指摘され、資料などを用いて反証できない場合にはその分だけ
相続税の課税額が増加してしまう可能性があるので、贈与の証明ができるようきちんと
記録や書類を残しておくことが必要です。

または、資産贈与に詳しい税理士などのアドバイスを得ながら、毎年贈与税を正しく
申告・納税していくことで正しい相続対策へとつながり、結果的に相続税を最小限に抑える
ことができるでしょう。

ちなみに贈与税には時効があります。
意図的に隠していた場合ですが、最長で7年と定められています。

しかし、相続や不動産の取得をきっかけに税務署が調査を始めることがあるので、
時効を待つのは得策とはいえません。

本来の申告期限から月日が経つほど加算税や延滞税といったペナルティの金額は大きくなり、最悪の場合、刑事罰(5年以下の懲役または500万円以下の罰金)を課されてしまうからです。

大事な財産を、賢く次世代へ

2015年1月1日から改正された相続・贈与税率の改正。
相続税の基礎控除を引き下げ、さらに最高税率を5%引き上げました。

反対に贈与税に関しては、特例が設けられて減税が図られたり、教育目的の贈与に関する制度が新設されたりと優遇されています。

この改正の目的は、高額の相続をした人にさらなる税の負担を求めることで富の再分配を図り、高齢世代が保有する財産を相続まで待たず、早い時点で若い世代に移転させることです。

財産を持っている60代・70代の親から、40代・50代の子どもに、さらには20代・30代の孫に財産が移転すれば、経済の活性化が見込まれます。

そしてなにより、贈与はあげる人の意思で自由に行えるメリットがあります。

贈与の話題に関しては、もらう方より与える方が話題を切り出しやすいもの。
気になっているものの、どうしようかと悩みながら、ズルズルと時間が過ぎてしまうことが一番よくありません。
与える方が勇気を持って、将来に禍根を残さないために、じっくり話し合うことが大切です。

「リガーズサービス」では、「エンディングノート」「うたかたより」で、
大切な人に向けてメッセージを残すことができます。
財産を残すことが出来なくても、あなたの想い、感謝の言葉を伝えるのに大いに役立つサービスです。

自分が苦労して築き上げてきた資産を、大切に想う人たちに無駄なく分け与えられたら、
それがベストではないでしょうか。

そのためには「まだ早いかな?」と思える元気なうちから対策を講じることが重要になってきます。
少ない税負担で上手に生前贈与を実行し、資産を有効に活用しましょう。

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エンディングノートや遺言をつくることだけが終活ではありません。
終活とは成熟した大人がこれからの人生をどのように楽しみ、次の世代に何を託すのかを決める作業です。
何かを決めるということは大変な作業ですが、
それだけにその決断は大切なヒトへのやさしさや愛情になるのではないでしょうか。
リガーズサービスのコラムが、あなたの充実した終活のお役に立てれば幸いです。

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