みなさん、歯周病についてどのような知識を持たれていますか?
はぐきが腫れる、口臭の原因、歯が抜ける…などを思いつかれる人が多いのでは
ないでしょうか。
年齢を重ねたらしょうがない症状のひとつ…と放置される人も少なくないと思います。
しかしこの歯周病、肺炎・心筋梗塞・脳卒中・糖尿病…などなど、
さまざまな深刻な病気に関連しているのではないかと指摘されているのです。
とはいえ歯周病はきちんとケアすれば予防できますし、重症化も防げます。
今回のコラムを読むことで、
万病のもととも言われる歯周病についてきちんと知っていただき、
歯周病ケアをはじめるためのきっかけにしてもらえたらと思います。
■歯周病とは?
歯周病は歯と歯茎の隙間(歯周ポケット)から微生物が侵入し
歯肉に炎症を起こす病気です。
進行すると、歯を支える歯茎や骨を溶かし壊していき、その結果歯を失う原因となります。
虫歯は歯そのものが壊されていく疾患ですが、
歯周病は歯そのものが抜け落ちてしまう病気です。
2017年の厚生労働省の調査によると、歯肉炎と歯周疾患の総患者数は約398万3千人。
2014年に行われた前回調査より67万人も増えています。
30~50歳代の約8割、60歳代の約9割が罹患しているとされ、
国民病といっても過言ではありません。
歯周病は口の中だけの病気と思われがちですが、それだけに留まりません。
実は歯肉の血管から侵入した細菌は血流にのって全身をくまなく回り、
さまざまな病気を引き起こしていることが分かっています。
例えば誤嚥性肺炎。
通常であれば歯周病菌は胃に入ると胃酸で殺菌され特に問題を起こしません。
しかし誤嚥により食べ物や唾液の一部が気管に入ってしまうと
肺炎を起こすリスクが高まります。
専門家は、定期的に口腔ケアをすることで肺炎の発症率を約4割
低下させることができるといいます。
誤嚥性肺炎は高齢者にとって死につながることもある怖い病気です。
ですが歯周病を改善できれば、そのリスクを大きくさげることができるのです。
■糖尿病と歯周病の関連
歯周病はさまざまな全身疾患と関連していますが、
中でも糖尿病とは相互に症状を悪化せさる負の連鎖でつながっています。
糖尿病を患うと歯周病を罹患しやすく、逆に歯周病を治療すると患者の血糖値が
下がるというのです。
出血や膿を出している歯周ポケットから、
歯周病菌は血管内に炎症に関連した毒素を出しています。
すると白血球や脂肪細胞が活性化し、血糖値を下げるインスリンの働きが悪くなり、
これが血糖値が下がりにくくなる原因となります。
中程度症状の歯周病を患っているひとの歯周ポケットの表面積は、
手のひらと同程度といわれています。
そのくらいの面積から出血や膿が治療されずに放置されていると考えてみてください。
身体に悪い影響が出てきても、なんら不思議ではありませんね。
また糖尿病の患者は免疫力が低下し、歯周病菌に感染しやすい状態になっています。
糖尿病の合併症は網膜症、腎症などの5つが広く知られていますが、
歯周病は第6の合併症とも呼ばれ、密接に繋がっています。
ではその負の連鎖を断ち切るためには…?
やはり歯周病の治療を行い、炎症の原因となっている歯石を除去することが
一番効果的でしょう。
歯茎の炎症をコントロールできればインスリンの働きが良くなるため、
結果的に血糖値を下げることへの近道になるのです。
■高リスクの高齢者こそ歯周病ケアを
老化で歯茎や口の中の粘膜が弱ってくる高齢者は、歯周病の罹患リスクが高くなります。
そのため「若い頃より念入りに口腔ケアを行う必要がある」という意識を持つことが
大切です。
理想的には毎食後と就寝前の1日4回の歯磨き、そして3ヶ月に1度は歯科医で
歯石除去や歯面、歯間清掃などの専門的口腔ケアを受けると良いでしょう。
そうすることで、ガンや脳卒中など重大疾患の罹患リスクを下げることができると
専門家は言います。
口を動かしたり唾液腺をマッサージして唾液の分泌を促し、
細菌を洗い流すのも効果的です。
たかが口の中の病気と放置せず、
適切な口腔ケアでいつまでも元気な身体を維持しましょう。
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