【終活】知られていない凍死の危険性

みなさんは「凍死」と聞いてどんな状況を思い浮かべますか?
多くの方は冬の雪山での遭難を連想されたのではないでしょうか。

しかし、いま増えているのは冬の屋内での凍死。

熱中症の危険はよく知られていますが、実は低体温症による死亡(凍死)の方が、
死者数は1.5倍にも上っているのです。

背景には貧困層や高齢者の増加、特に孤立して暮らす高齢者が増えていることに
あるようです。
専門家は調査や対策の必要性を訴えています。

■屋内で凍死はなぜ起こる?

冷え込みが厳しくなった1月末、東京都の救急医療センターに体の深部体温が
26度まで下がった80代の女性が運び込まれました。

独居で認知症の症状があったこの女性は、意識がもうろうとしているところに
たまたま近所の人が自宅を訪れ発見。
救急搬送に至りました。

凍死は山岳遭難など特殊な環境で起こると思われがちですが、
冬の屋内で凍死してしまう高齢者が増えています。

厚生労働省の調査によると2000年から2016年の国内の凍死者数は
計約16,000人にもなります。

この数字は熱中症死の1.5倍にも上るのですが、凍死の驚きの実態はこれだけでは
ありません。

全国の救急医療機関など91施設に低体温症で搬送された計705人のうち、
屋内での発症は517人と7割以上
を占めており、想像以上に屋内で低体温症を
発症している人が多いことに驚きます。

患者の平均年齢は72.9歳で、高血圧や糖尿病、精神疾患などの病歴を持つ人が多く、
亡くなった患者は実に161人に達しています。

北日本だけでなく、兵庫県や熊本県など西日本でも多くの症例が確認されており、
専門家は「高齢化に加え、重症になるまで気づいてもらえない孤立した状況や、
十分な栄養が取れない貧困層の拡大がある」

と指摘します。

人口動態統計数値からもその傾向が読み取れます。
低体温による凍死者数は、1980年代まで年400人前後でしたが90年代に入ると
その数は急増していきます。

高齢者の増加がその要因のひとつと考えられますが、その事実はあまり知られておらず、
死者数が多いにも関わらず熱中症ほど注目されていないのが現状です。

■高齢者は低体温を自覚しにくい

死の危険もある低体温症ですが、やっかいなことに自分が低体温になっていることには
気付きにくく、本人が自覚できないまま症状が重症化していることも少なくありません。

低体温は体の芯の部分である「深部体温」が下がることで引き起こされますが、
体温計で皮膚の表面温度を測っても深部体温までは計ることができず、
病院などで直腸温度を測り、直腸温度が35度以下になっていて初めて低体温症と
診断されます。

しかし一般の家庭では深部体温まで計ることはまずないでしょう。
また、急激に温度の低い場所にいけば寒さに気付き危険を避けることもできますが、

屋内など少しずつ温度が下がっていくような場所では、徐々に冷えるので
寒さに慣れてしまいます。

例えば冷たい水に手をつければ冷たいと思いますが、暖かいお湯が徐々に冷めて
最終的に冷たい水になったとしても、入れ続けていればその感覚に慣れてしまい
冷たさを自覚しにくくなります。

それと同じような状況が屋内でも作られ、本人が自覚できないまま深部体温が下がり、
気づいた時には低体温症を発症していることが少なくありません。

特に高齢者は年齢や持病、服薬している薬の影響で寒さへの反応が鈍くなりがちなため、高齢になるほど寒さを自覚しにくくなってしまいます。

また運動量が減ることで深部体温を上げる機能も低下、低体温症のリスクが更に
増していることになります。

特に要介護状態でベッドに横になっていることが多い高齢者は注意しなければなりません。
本人は気づけないことが多いので、周囲の家族や介護者が部屋の温度などに気を配って
いく必要があるでしょう。

■寒さへの対策をしっかりと!

夏の間、電気代節約のためにとエアコンを使用せず熱中症になってしまう高齢者を
よくニュースなどで見聞きし、エアコンさえ使っていれば…と思うことが多々あります。

低体温症も屋内での発症例が多いことから、エアコン等の暖房器具さえ使っていれば
防げた例が多いでしょう。

熱中症の1.5倍…年間1000人もの犠牲者を出しているのに、あまり注目されていない
低体温症は、これからの季節は特に注意が必要になってきます。

本人はもちろんですが周囲の人も気を配り、熱中症と同じくらいの危機感を持って
寒さへの対策にあたることが大切です。

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