【終活】電動自転車の思わぬ危険

昨今、高齢者が運転する電動自転車の事故が急増しています。

足の筋力が衰えても漕ぐのにあまり力が必要なく、
自動車に代わる高齢者の移動手段として人気なのですが、
乗る人が増えるに伴い高齢者の自転車事故も増えたのです。

通常の自転車よりも車体が重いため、加速やブレーキの感覚は
今まで乗ってきた自転車とは違います。

さらに認知能力の低下も事故回避の操作を遅らせる要因になっていると専門家はいいます。

そこで今回は、高齢者が電動自転車を利用する上で、
どのようなことに気をつければ良いのかを深堀りしていきます。

■電動自転車による高齢者の事故

2018年8月、愛知県の信号機のない交差点でタンクローリーと
電動自転車にのった高齢の男性(当時93)が出会い頭に衝突し、
頭を強く打った男性が搬送先の病院で亡くなりました。

県警によると、交差点の手前で男性には停止義務があったのですが、
止まらずそのまま交差点に進入。

ぶつかる直前にブレーキをかけたのですが間に合わずタンクローリーと衝突してしまいました。

思わぬスピードが出ていたことと、認知機能の低下がブレーキが間に合わなかった
原因ではないかと捜査関係者は言います。

大阪では電動自転車に乗った70代の女性が転倒、頭を強く打って亡くなりました。

ヘルメットなどは着用せず、ふらついて運転していたとの目撃者もいることから、
捜査関係者は
予想以上のスピードで急発進してしまいバランスを失い
転倒してしまったのではないかと指摘します。

電動自転車は電動モーターの補助により、ペダルを踏み込む際の負担を軽減しています。

その補助力は最大で人が漕ぐ力の2倍にもなるため、
通常の自転車より少ない力で時速20キロ以上のスピードを出すことも可能です。

時速10キロを超えると補助力は少しずつ下がり始め、
24キロ以上になると補助が働かないというしくみになっています。

その仕様上、電動自転車のアシストを最大値で受けられるのが「漕ぎ始め」になりますが、

慣れないうちは自分は足をかけただけのつもりだったのに、
補助が働いて急発進してしまうという危険が十分考えられます。

そのうえ車体は20〜30キロもあり、スピードが出てしまうとブレーキをかけても
止まるまでの距離が長くなったり、低速運転時にはバランスをとるのが難しく不安定です。

思わぬ加速や、止まりきれない…といった危険を避けるためにも、
電動自転車に乗る前に「通常の自転車とは違うものだ」としっかり意識することが大切です。

■電動自転車による事故は、今後も増える可能性あり

警視庁によると、電動自転車が当事者となった人身事故は18年に全国で
2243件発生しています。

これは
過去5年間で1.7倍にも増えたことになり、このうち死者が出たのは46件で、
うち37件の運転者は65歳以上でした。

死亡事故に占める65歳以上の運転者の割合は近年8~9割で推移していますが、
なぜここまで高齢者による電動自転車事故は多いのでしょうか?

それには自動車運転免許の返納が大きく影響しています。

電動自転車は運転免許を自主返納した人の代替えの移動手段となっているのです。

近年高齢ドライバーによる悲惨な自動車事故を多く目にしますが、
それを受けて免許の自主返納制度の周知が進み、
自動車を手放したあとの移動手段として選ばれているのが電動自転車ということに
なります。

自治体によっては運転免許の返納を勧める代わりに、電動自転車の購入に数万円の
補助金を交付する自治体もあります。

そのため
今後も電動自転車の需要が高まることが予想され、それに伴う交通事故が
増えて行く可能性が危惧されています。

■電動自転車の特性について理解を

電動自転車は、普通のモーターの付いていない自転車と同じ感覚で乗れるものでは
ありません。

その補助力は自分が考えている以上だと常に認識し利用することがとても重要です。

さらに
自分が運転しやすい自転車を選ぶのもポイントです。
自分の体の大きさに合い、きちんと両足が着くもの。
あるいは車体の重量ができるだけ軽いもの。
または転倒の危険性を避けるために、三輪になっている安定性の高い電動自転車を
選ぶのも良いでしょう。

今後も高齢化が進み、利用者の増加が見込まれる電動自転車。
高齢者にとって自動車に代わる安全で便利な乗り物であるために、

購入前のちょっとした注意や、その特性を理解し意識することがいま求められています。

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