【終活】介護職から腰痛を減らす

あなたの周りに腰痛で困っている方いませんか?
実は日本人の4人に1人が腰痛を患っており、もはや国民病といっても過言ではありません。

そんな腰痛のリスクと隣り合わせの仕事のひとつとしてあげられるのが、介護職。

足腰の弱った高齢者を人力で持ち上げ、トイレや移動の補助をしなければならない
介護施設の職員の中には、腰痛で悩む人がとても多いのです。

人手不足が深刻化する中で介護に携わる人をサポートできないのか?

その問題を解決すべく、いま新たな取り組みが始まっています。

■これからの介護は「持ち上げない」

横浜市にある介護施設で働くAさんは、これから入居者のBさんのトイレ介助を
するところです。

「これからトイレに行きます。リフトでつり上げますね。」

リフトでつり上げる?と目を疑った方、ご安心ください。
Bさんを持ち上げているのは、「スタンディングリフト」という立ち上がりのための
支援機なのです。

ベルトのような用具をBさんの腰に装着し、左右の脇の下にある用具にくっついた紐付き
ループを支援機のアームの先端2箇所のフックにかけてロック。
その後Aさんがボタンを押すと、アームは優しくBさんをつり上げます。

このホームではBさんのトイレの世話を今まで2人でしていました。

1人が持ち上げて便座へ。
用を足したらまた持ち上げてもう一人がその間にお尻を拭く…。
これでは持ち上げる人の腰に大きな負担がかかってしまいます。

このスタンディングリフトが導入されてから、楽になったとAさんは話します。

このように介護業界では、職業病といわれる腰痛への対策を進めています。

「持ち上げる・押す・引く・ねじる」といった作業をできるだけ機械に任せるため、
現在一部の介護施設ではありますが「立ち上がり支援機」と「寝たきりの人向けの移動用
機械」の導入が始まっているのです。

人力では、介護される側にも緊張や恐怖心を持つ人が少なくありません。

機械によるサポート介護は、介護する方とされる方の双方にメリットをもたらす
新たな介護として、いま注目を集めています。

■腰痛対策は人手不足対策にもつながる

厚生労働省によると、全国180万人強の介護職員のなんと8割が腰痛に悩んでいます。

人手不足で日々の仕事に追われ、なかなか病院に行けず腰痛を悪化させてしまう職員が
多いのです。

腰痛を我慢して仕事をするとどうしてもストレスが溜まりやすく、ささいなことで同僚と
言い争い、それが積み重なることで仕事を辞めていく人も少なくありません。

また、就労を希望するひとの中にはシングルマザーや定年退職したシニアの方などが
思いのほか多い介護業界。
しかし、就職したとしても腰痛を引き起こす恐れのある職場では、
なかなか人材が定着しません。

これでは介護施設の人手不足は悪化の一途をたどっていきます。

「介護施設にとって腰痛は深刻な問題」と指摘する専門家は、
労働契約法の安全配慮義務を根拠に、労災認定や損害賠償を求めて提訴する職員が
増える、とも予想しています。

このようなことから介護業界における腰痛対策は、人材確保や事業運営の点から
決して欠かすことのできない重要事項といえるでしょう。

■介護する側への配慮が大切な、これからの介護

介護職の職業病ともいえる腰痛は、人材確保とサービス向上のためにも対策を
欠かすことができない課題です。

しかし日本ではまだ器具を利用することへの理解が広まっていないことに加え、
導入するための費用が高額なため、実際に機械や器具を利用している介護施設が
少ないのが現状です。

そうした現状を踏まえて専門家は「労働契約法の安全配慮義務を根拠に労災認定や
損害賠償を求めて提訴する職員が今後増えるだろう」と予測しています。

労働者への安全の配慮が義務付けられる労働契約法は、怠たった場合使用者は
損害賠償などを課せられる可能性があります。

現在、腰痛対策の器具を導入するために助成金の利用ができるので、
機器導入のためのネックが費用面なら積極的に活用していってほしいと思います。

介護職員個人の予防や対策だけでは対処が難しい腰痛。
これからの介護業界は「介護される側」だけではなく、「介護する側」への配慮が
欠かせません。

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