【終活】介護用具 どう選びますか?②

前回は介護用具をレンタル・購入する時に便利な介護保険についてお話しました。
詳しい内容はコチラ→https://regards-service.jp/blog/
今回はたくさんの介護用具の中から、寝床から起き上がるのが困難になった高齢者や支える家族にとって頼りになる「介護ベッド」についてご紹介します。

■進化する介護ベッド

家庭向けの介護ベッドが本格的に登場したのが1980年代前半。
その後介護保険サービスのレンタル対象商品となり、高齢化の進展と共に普及が進みました。

高齢者を高齢の家族が支える「老・老介護」が増える中、最近は「自動寝返り」機能がついていたり、リクライニングチェアのように使える介護ベッドが登場しています。

山形県の医療法人社団悠愛会は昨春、身体を動かすのが難しく、床ずれの恐れがある高齢者らが暮らす「さくらパレス」と「メルヘル」(ともに同県)に「自動寝返り支援ベッド」約200台を導入しました。
このベッドは電動操作で床板が左右に傾き、体の向きを変えることができます。
何時間ごとに床板を動かすかは、個々の利用者に応じて設定ができます。
このベッドを導入して効果を発揮したのが夜間です。
同会の施設では床ずれを防止するため、数時間ごとに職員が高齢者を抱えて体の向きを変えていました。
この「寝返り介助」は重労働で眠りも妨げてしまいます。
自動寝返り支援ベッドは、ゆっくり動くので気が付かずに眠っている人も多いといいます。

メーカー各社は利用者の負担を減らそうと工夫を凝らしています。
パラマウントベッド(東京・江東)の「楽匠」は、水平のベッドがリモコン操作でリクライニングチェアのような形に変わり、利用者は背もたれと足を載せる部分を同時に動かすことができます。
こういった機能があれば座って食事がしたいと思っている利用者や、食事の介助などをする方の助けとなります。

■自分にあった介護用ベッドの選び方

介護用ベッドは「特殊寝台」ともいわれ、ベッドを使う高齢者だけではなく、介護者にとってもメリットがあります。
どちらにも使いやすくスムーズに昇り降りできるタイプがオススメです。

その1.<モーター数で選ぶ>

介護用ベッドは電動で操作できる機能がついていることが特徴です。
モーター数によって搭載されている機能が変わるので、利用者に合ったものを選びます。

比較的体を動かすことができるのであれば、ベッドに搭載されているモーターが1つのものがおすすめです。
ベッドの背を上げることで起き上がりやすくなる「背上げ」タイプか、立ち上がりやすい高さに調節する「高さ機能」のどちらかがついている場合が多いです。
起き上がりやすくなる「背上げ」タイプの場合には、ベッドの背が上がる際に体がズレ落ちないように足の部分が連動して少し上がるものもあります。
細かい調節をすることは難しいですが、一つの操作のみなのでリモコンも簡単。利用者が一人でも使いしやすいです。
起き上がりや立ち上がりが心配なときや、介護者が常にはそばにいない場合にもおすすめです。
価格も他のタイプよりも安めなので、手に入れやすいタイプです。

引用:価格ドットcom

起き上がりと立ち上がりのどちらにも不安がある方には、「2モーターベッド」がおすすめです。
ベッドの背部分を起こす「背上げ機能」と、ベッドの高さを上げ下げする「高さ調節機能」のどちらも備わっています。
「背上げ」で起き上がりやすい体勢になり、「高さ調節機能」で足を床につけることで、ベッドの上り下りが楽になります。
なお、1モーターベッドと同様に、「高さ調節機能」は連動して「膝上げ」機能もついている場合があります。
背上げ時のズレ落ちを防止できるので、「膝上げ」機能も付いているかどうかチェックしてみてください。

引用:価格ドットcom

要介護の利用者や、ベッドの上での介助が多い人におすすめなのは、「3モーターベッド」です。
ベッドの背部分を起こす「背上げ」や「高さ調節」、そして「膝上げ」などすべての機能が備わり、それぞれ細かい設定を行うことができます。

2モーターベッドでも「背上げ」と連動して膝部分も動かせますが、3モーターベッドは連動ではなく単独で動かすことも可能です。
寝ているときに「膝上げ」機能を活用すれば、むくみ対策にもなります。

価格は高額になる傾向がありますが、自分で寝返りを打つことが難しい場合や、日常生活のほとんどの場面で介助が必要な場合には、介助する方にとっても便利です。

引用:価格ドットcom

ベッドの上で生活する時間が多い利用者であれば、「1+1モーターベッド」や、「4モーター」タイプも検討してみてください。
基本的には1~3モーターのタイプが多いですが、数は少ないながら他にも必要な機能を備えているタイプもあり、要介護度が高い方や寝たきりの状態の方におすすめです。

例えば「1+1モーターベッド」は、「背上げ機能」と「高さ調節機能」がついている2モーターベッドと似ていますが、「背上げ機能」と「膝上げ機能」がついています。
それぞれ単独で細かい調節が可能で、ベッドの上の行動を手助けする動きが多いことが特徴です。そのため、ベッドで過ごす時間が多い場合にとても便利です。

また近年は、左右の肩の部分を預けて寝返りができる「4モーター」ベッドも登場しています。それぞれに細かい設定ができますが、こちらは操作がやや複雑なところが難点です。

引用:価格ドットcom

その2.<幅・長さは身長や介護状況に合わせて>

ベッドの幅や長さは利用者と介護者にピッタリのものを選びましょう。
ベッドの長さは、利用者の身長によって決めます。
長さは基本的に3タイプありますが、身長が150cm未満の場合には「ショートサイズ」を、身長が170cm未満の場合には「レギュラーサイズ」を、身長が185cm未満の場合には「ロングサイズ」を選ぶのが基本です。

また、ベッドの幅は広いほうがゆったりできて寝返りもしやすいですが、介護者にとっては手を伸ばすこととなり、介助がきつくなることがあります。
そのため、ベット上で介護を行う場合には、シングルベッドや布団に近いタイプの100cmよりも、ゆったりとしたスペースと介護のしやすさを両立した91cm幅や、接近して介護がしやすい83cm幅のものがいいでしょう。

最後に、ベッドを置く部屋の大きさも考慮してください。
ベッドを置いてもOK。移動スペースを広く確保できるような大きさのものが理想ですね。

その3.<付属品がセットになっているもの>

必要な付属品がセットになっているかどうかもチェックが必要です。
特にマットレスが付いているものが便利です。

また、ベッドから上り下りするときに支えがあったほうが安心な方は、ベッド用手すりやサイドレールが付属しているかどうかもチェックしましょう。
サイドレールがあると、転落や寝具がベッドから落ちるのを防いでくれます。

商品によっては、食事や読み書きをするテーブルがついている場合もあります。
自分に必要な付属品がついているかどうかもチェックしてみてください。

■自立に向けての利用を

厚生労働省は福祉用具としての介護ベッドの定義を示しています。
ベッドから落ちてケガをしないよう側面に柵(サイドレール)があり、さらに①背部または足の傾斜角度が調整できる②床板の高さが調整できるのいずれかの機能を備えている必要があります。
要介護2以上であれば、介護保険サービスで介護ベッドをレンタルすることができます。

利用にあたっては介護計画をつくるケアマネージャー(介護支援専門員)、医師、自治体などが本人の自立支援などを考えながら総合的に判断します。
しかし、高齢者の中には介護ベッドが必要と判断されても、自力で寝起きしたいという人も少なくありません。
本人が介護ベッドを利用する意思があるのかを確認した上で、家族らが利用者の寝起きの状態をケアマネージャーに正確に伝える必要があります。
ケアマネージャーはそうした情報をふまえて医療機関や介護事業者などと調整をし、介護保険を利用するための手続きをとることになります。

体を動かすことがかなり困難になった人にとって、ベッドは1日の大半を過ごす場所でもあります。
介護する側もされる側も少しでも負担が軽くなれば気持ちに余裕が生まれますね。

公益財団法人テクノエイド協会(東京・新宿)は約800社、約1万2000件の製品情報を扱う「福祉用具情報システム(TAIS)」を公開しています。
詳しくはコチラをご覧ください。→http://www.techno-aids.or.jp/system/

今回のお話を参考にご自身、利用者に合った介護用具を選び、過ごしやすい毎日を過ごしていきましょう。

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エンディングノートや遺言をつくることだけが終活ではありません。
終活とは成熟した大人がこれからの人生をどのように楽しみ、次の世代に何を託すのかを決める作業です。
何かを決めるということは大変な作業ですが、
それだけにその決断は大切なヒトへのやさしさや愛情になるのではないでしょうか。
リガーズサービスのコラムが、あなたの充実した終活のお役に立てれば幸いです。

 

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