前回のコラム「【終活】増える高齢者の危険運転。家族はどう対処する?」でもご紹介した、高齢者の運転卒業。
運転卒業をためらう高齢者の中には、生活をする上で車の運転はかかせないという方がいるというお話もしました。
そんな中、新しい高齢者の移動手段として、電動アシスト自転車に注目が集まっています。
足腰が弱っている高齢者には、今時の電動自転車は性能が良いため便利で使い勝手がよく、利用する高齢者も増えています。
しかし、電動アシスト自転車は車と同じ扱いとなるため、一歩間違えると歩行者を巻き込んだ大きな事故になりかねません…。
今回は、そんな電動アシスト自転車のメリット、デメリットについてお話させていただきます。
増える電動アシスト自転車に乗る高齢者。
警察庁の調べによると、運転免許の自主返納件数は上昇傾向にあり、2016年には自主返納をした75歳以上の高齢者が、約16万2000人と過去最多を記録しました。
それに比例するように、自動車業界がまとめた表を見ると、2012年には約39万台の出荷だった電動アシスト自転車が2016年には約57万台と増加傾向にあります。
その背景にはこの運転免許証の自主返納があるとされています。
一度の踏み込みでグンと進み、らくらく移動出来る電動アシスト自転車は、運転免許証も返納し加齢により身体能力が衰えた高齢者にとって新たな移動手段としては最適なものでしょう。
自転車メーカー各社もシニア層に焦点を当て、高齢者が乗っても運転が簡単で安全な商品の開発を積極的に進めています。
しかし、電動アシスト自転車は大変便利なものですが、法律上「軽車両」として該当される物です。
扱いを間違えてしまえば、大きな事故に発展してしまうおそれがあります。
自転車による死亡事故も…。安全に走行するためには。
交通事故総合分析センター(ITARDA)の調べによると、電動アシスト自転車に乗っていて死亡した人は2001年の19人から、
2011年には50人と、2.6倍に急増していることがわかりました。
その85%が65歳以上の高齢者となっており、これは一般自転車の60%を大きく上回っています。
シニアの自転車事故の原因は法令違反によるものだと言われています。
電動アシスト自転車は法律上、自転車と同じ「軽車両」となるので、基本的には車道や路側帯の走行が義務づけられています。
しかし、電動アシスト自転車の手軽さから軽車両という認識が甘くなり、いつも歩道を歩くように電動アシスト自転車で走行してしまう場合があるのです。
さらに、電動アシスト自転車はひとこぎで時速12キロ以上に達すると言われているので、判断能力や運動能力が衰えた高齢者は若い人に比べ歩行者にぶつかったり転んだりと、大きな事故や怪我を招くおそれが高いのです。
そんな高齢化と運転免許自主返納の流れを受け、70歳以上専用の自転車保険も登場したり、2017年5月には自転車活用促進法により、「自転車は車道」という原則が徹底されはじめました。
少しずつではありますが、自転車に乗る高齢者や歩行者が、心から安心できる環境づくりが広がってきています。
自分に合った電動自転車を選ぶことで減る事故・怪我。
高齢化や運転免許自主返納が増えていく中、移動手段として便利な電動アシスト自転車はこれからも高齢者に求められると予想されています。
事故も増えることは懸念されますが、それだけで電動アシスト自転車に乗るなとは言えません。
メーカーによっては機能性だけでなく、倒れにくく安定性の高い電動アシスト自転車もあります。
そこで、電動アシスト自転車を選ぶ時、注意すべき点をご紹介します。
●用途に合わせた仕様を選ぶ(買い物ならカゴ付き、レジャーなら軽量など)
●低床設計など、体に合ったサイズを選ぶ(両足が地面に着く、またぎやすい)
●照明、テールランプは自動点灯のものがベター。
●BAAマーク(自転車協会認証)が付いているか。
●安全のためヘルメットも購入。
●複数のタイプを必ず試乗し、感覚を確かめる。
(出典:2017年10月日本経済新聞より)
以上の事に注意して、電動アシスト自転車を選んでみましょう。
メーカーの試乗イベントにも家族や親子で参加してみるのも良いかもしれません。
ある家電量販店の自転車試乗コースでは、「免許を返納したけど、普通の自転車での移動がつらい。」とこぼす都内の60代女性が電動アシスト自転車を試乗してみたところ、「想像以上に乗りやすい。歩かなくなって、かえって老化が進んでしまうかも。」と笑って喜び、電動アシスト自転車に乗り換えを決めたそうです。
また、自動車やバイクでの移動は心配だからと40代の息子さんが70代のお父さんに電動アシスト自転車を薦め、お父さんも「これに乗ったら普通の自転車には乗れないな」と試乗しながら感嘆したそうです。
メリットやデメリットもありますが、足腰が弱っている高齢者には電動アシスト自転車はかなり便利な物です。
終活世代の方も、いずれ免許返納をする時が必ずくるでしょう。
その時の新しい移動手段として、電動アシスト自転車を考えてみてはいかがでしょうか。
外の空気を感じながら遠出することで、車にはない新しい生きがいや楽しさを見つけられるかもしれません。
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エンディングノートや遺言をつくることだけが終活ではありません。
終活とは成熟した大人がこれからの人生をどのように楽しみ、次の世代に何を託すのかを決める作業です。
何かを決めるということは大変な作業ですが、
それだけにその決断は大切なヒトへのやさしさや愛情になるのではないでしょうか。
リガーズサービスのコラムが、あなたの充実した終活のお役に立てれば幸いです。