前回のコラムで、家族葬のメリットと金額面で注意しなければならないことを紹介しましたが、今回は他にもまだある家族葬の注意点をご紹介したいと思います。
後悔しない葬儀のために、家族葬のメリット・デメリットをよく理解しておきましょう。
家族葬のデメリット
耳にすることが増えたとは言え、まだ社会に定着したとはいえない家族葬。
そのため、家族葬と聞いて思い描く葬儀のカタチは人によってそれぞれ違うでしょう。
捉え方の違いで生まれるトラブルで、
家族葬を執り行ったことを後悔してしまう人も少なくありません。
家族葬にして良かったと思える葬儀にするために、気をつけるべきポイントを解説していきます。
家族葬のデメリットと気をつけるポイント
1.家族葬に呼ばなかった人への対応
訃報を案内しなかった人から「どうして呼んでくれなかったのか」と説明を求められる場合があります。
呼ぶかどうかを迷った場合、今後のお付き合いもあるので呼ぶことにするか、案内しないのであれば電話で家族葬を行うこと、会葬を辞退することを伝えた方がいいでしょう。
2.親族とのトラブルの可能性
親族の理解をきちんと得られなければ、トラブルに発展する可能性があります。
まだ馴染みの薄い家族葬は特に年配者からは誤解されがちで、「参列者の少ない貧相な葬儀」と思われていることもしばしば。
家族葬を望むなら、元気なうちに家族や親族でイメージを共有しておくことが大切です。
3.葬儀後に自宅に弔問に来る人への対応
葬儀後の報告はがきを受け取った人が、「焼香をあげさせてほしい」と自宅に弔問に訪れる可能性があります。
かえって応対に手間がかかることになり、土日の弔問客の対応に追われて出かけることもままならない状態になることも…。
4.寝台車やスタッフの訪問で逝去を知られる
家族葬で故人を送ると決めた家族の中には、「近所の人に亡くなったことを知られたくない」という人もいます。
しかし病院で亡くなった故人を自宅に運ぶ寝台車や、打ち合わせのために自宅に訪問するスタッフが近所の人に見られる場合があります。
専用の安置所を選ぶか、葬儀社に相談し人気のない深夜・早朝に自宅に到着するよう調整してもらいましょう。
5.支払い総額が一般葬より多くなる可能性
参列者を限定することで、一般葬に比べ受け取る香典の総額が少なくなります。
葬儀費用には会葬者が持ってくる香典が貢献している面があるので、通常の葬儀より安く済んだとしても自らの持ち出し分が思ったより多くなることもあります。
場合によっては支払う費用が一般葬より多くなってしまうこともあるので、費用面を重視する家族葬の場合注意が必要です。
多様化する葬儀
近年、家族葬の他にも多種多様な葬儀が増えています。
遺族や故人の想いにより、その人らしい葬儀を選べるようになってきたのです。
さまざまな葬儀を知っておくことで、いざというとき葬儀社と話をする際に自分たちの希望を伝えやすくなります。
ここからは一般的なものから、多様化する最近の葬儀について紹介していきます。
多様化するお葬式
1.葬儀・告別式(一般葬)…しきたりや慣習に則った普通のお葬式
葬儀は遺族や親族が故人の冥福を祈り、成仏を祈って行われる儀式です。
一方、告別式は遺族や友人・知人などが故人との最後のお別れをする社会的な儀式となりますが、現在では葬儀と告別式が同時に行われることが多くなっています。
2.社葬・合同葬…会葬者が最も多い大規模なお葬式
社葬は法人が施主となって会社で営まれる葬儀で、故人を供養する儀式であるとともに企業経営上においては「広報活動」という意味合いを持ちます。
また合同葬は故人の喪家としての葬儀と、法人としての葬儀を合同に執り行う葬儀で、二つ以上の企業や団体が合同で行う葬儀も合同葬に含まれます。
どちらも会葬者の多い大規模な葬儀となるのが通例です。
3.家族葬・密葬…少人数の参列によるお葬式
家族葬は故人と過ごす最後の時間を大切にしたいという遺族によって行われます。
単純に普通のお葬式の規模を小さくしたものではなく、故人と遺族のお別れに重点をおいた葬儀です。
また、後日一般の参列者を招いた本葬を行うことを前提に、親しい人だけで行う葬儀を密葬と呼んでいます。
4.一日葬…通夜式のない、遺族の負担を減らしたお葬式
通常、お葬式は通夜から葬儀・告別式まで2日間かけて行いますが、一日葬は通夜式なしで1日で火葬まで済ませる葬儀スタイルです。
通夜式を行わないので通夜前夜の弔問や会葬者もなく、遺族や親族のみで故人とゆっくり最後の時間を過ごせるメリットがあります。
5.直送…式を行わず火葬のみのお葬式
お通夜・告別式などの儀式を行わず、ごく限られた遺族や親族で火葬のみ執り行う葬儀です。
僧侶など宗教者を呼び、火葬炉の前で簡単なお別れの儀式をすることもあるので「炉前式」や「火葬式」と呼ぶこともあります。
6.自由葬・無宗教葬…宗教や慣習にとらわれない自由なお葬式
宗教や慣習にとらわれず故人らしいスタイルで自由に行う葬儀のことを「自由葬」や「無宗教葬」といいます。
一般的な葬儀のように宗教者を主体としないため、葬儀の段取りはある程度自分たちで決めていきます。
故人の好きだった音楽を流したり、時には生演奏を行うケースもあるようです。
7.市民葬・区民葬…自治体が葬儀社と特約を結び、低価格でできるお葬式
故人か喪主がその自治体に住んでいれば誰でも利用できる住民サービスです。
自治体が葬儀社や斎場と提携し一定の金額内で葬儀サービスを提供していますが、金額は比較的リーズナブルです。
ただし全国の自治体が行っているわけではありません。
故人と家族に寄り添えるお葬式を
葬儀には三つの別れの意味があると言われています。
一つ目は家族や友人との別れ。
二つ目は社会的な関係者との別れ。
三つ目は宗教上のこの世との別れです。
従来の葬儀は社会的な別れや宗教上の別れに重点をおいたもので、家族との別れは「亡くなった悲しみを感じる暇もないくらい忙しい」と言われるように後回しにされがちでした。
しかし、人が亡くなって一番悲しむのは家族です。
家族葬は三つの別れの意味のうち一つ目の家族や友人との別れに重点をおいているので、人の感情に一番寄り添える葬儀のカタチと言えるでしょう。
「習慣」や「昔からの決まりごと」も大切ですが、本来お葬式は大切な人との別れを受け止め、残された人々が新たな一歩を踏み出すための区切りの儀式なのだと思います。
終活を行っている人は、家族や友人、そして自分にとってどんな葬儀が一番良いのかを今の内に考えておくことが大切です。
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