介護事業者や家族として介護を行っている方の負担を減らすために、
介護ロボットの存在が今日注目を集めています。
終活世代の方々は、介護ロボットの存在をご存知でしょうか?
介護の現場に実際にロボットが普及するまでには、
様々な課題があるのが現状です。
ここではそんな介護ロボットの現状と、
今後私たちがどのように介護ロボットと関わっていけるか、
考えていきましょう。
あなたは知っていますか?介護ロボットの種類と特徴
介護ロボットといってもその種類は様々です。
経済産業省と厚生労働省はロボット技術の介護利用における
重点分野として以下の8つの分野を挙げています。
具体的項目 | 特徴 |
移乗介助機器
(装着型) |
・介助者が装着して使うことで腰の負担を軽減。
・介助者が1人で着脱可能。 ・ベッド、車いす、便器の間の移乗に用いることができる。 |
移乗介助機器
(非装着型) |
・介助者が1人で使うことができる。
・ベッドと車いすの移乗用。 ・移乗に当たって介助者の力の全部または一部のパワーアシストを行う。 ・機器据付けのため、土台設置等の住宅等への工事が不要。 |
移動支援機器
(屋外型) |
・手押し車型。
・高齢者が自らの足で歩行することを支援する。 ・荷物を載せて移動できる。 ・モーター等で移動をアシスト。 |
移動支援機器
(屋内型) |
・トイレへの往復やトイレ内での姿勢保持を支援。
使用は要介護者のみ、 もしくは1人の介助者のサポートで使用できる。 ・椅子やベッドからの立ち上がりを主にサポートする。 |
排泄支援機器 | ・居室で便座に腰掛けて用いる便器。
・排泄物の臭いの分散を防ぐため、排泄物を室外へ流す、 または密閉して隔離する。 |
見守り支援機器
(介護施設型) |
・センサーや外部通信機能を備えたロボット技術を使用。
・複数の要介護者を同時に守ることができる。 ・昼夜問わず使用できる。 ・要介護者が自発的に助けを求める行動情報だけに依存しない。 ・ベッドからの離床を検知し通報できる。 |
見守り支援機器
(在宅介護型) |
・センサーや外部通信機能を備えたロボット技術を使用。
・複数の部屋を同時に見守りできる。 ・暗所や浴室でも使用できる。 ・要介護者が転倒したことを察知し通報できる。 |
入浴支援機器 | ・浴槽に出入りする際の一連の動作をサポート。
・要介護者のみ、もしくは1人の介助者のサポートで使用できる。 ・機器を使っても少なくとも胸までお湯に浸かれる。 ・介助者が1人で取り外しでき、特別な工事なしに設置できる。 |
“ロボット”と言われると人型のものをイメージするかもしれませんが、
認知症の人の行動を見守ったり、介護者の筋力補助を行ったりと、
様々なものが存在しています。
人手不足が深刻な問題とされている介護職ですが、
高齢化が進む日本は2035年に介護スタッフは、
68万人不足すると推測されています。
そこで国は、2013年から介護ロボットを購入する際、
約90万円を上限に全額の補助が行われています。
平成29年度末までに約5,500ヵ所の施設が
この制度を利用するそうです。
あなたは賛成?反対?介護ロボットに対する現場の声
国は介護ロボットの導入に補助金制度を設けるなど、
新しい介護のカタチに意欲的な姿勢です。
こうした盛り上がりの中で、
現場の介護スタッフは介護ロボットの導入に対して、
どのような意見を持っているのでしょうか?
● 移乗介護ロボット「RIBA」
● 身体機能補助ロボットスーツ「HAL」
● メンタルコミットロボ「パロ」
この3つのロボットについての意見と介護の現場にロボットが導入されることに対しての意見を紹介します。
まず3つのロボットをそれぞれ知っているかという質問に対してですが、
身体機能補助ロボットスーツ「HAL」以外のロボットは、
まだまだ知名度は低いことがわかります。
そしてそれぞれの介護ロボットが現場にやってきたとき、
使いこなせるかという質問に対しては、
使いこなせないという意見が過半数という結果になっており、
実際に介護ロボットが介護の現場に来ることに関しても、
反対意見が30%以上あることがわかります。
介護ロボットの導入に対して、
反対派の人の意見として、
「人の手によるぬくもりあるサービスを理念としており、介護ロボット導入は反対」
というものがあります。
また、「導入したいが、現場で利用できるような有能な介護ロボットがない」
という意見もあります。
アンケート結果からもわかるように、介護ロボット導入に賛成の意見もありますが、
まだまだ介護ロボット導入に否定的な意見も根強くあるようです。
一方で、メーカー側が現場のニーズを吸い上げきれていないのも現状です。
実際に「ロボットの技術そのものはすばらしいが、介護の実態に即していない機器がある」
という意見が挙げられています。
例えば装着型ロボットは脱着に時間がかかり、
患者がトイレに行きたいと言ってから着ていたのでは間に合いません。
しかし、「人の手で持ち上げられるのは痛い」という意見もあり、
人が持ち上げるよりもリフトを使う方が向いていることが分かります。
介護スタッフが介護ロボットを使いたくないと考えてたとしても、
介護される側は人の手のぬくもりに特別こだわってはいないようです。
したがって、人の手が必要な部分では人が行い、
ロボットの方が適任である場合はロボットを利用するといったように、
適材適所に使い分けることが大切だと考えられます。
今後の介護の手がかりに?介護ロボットのこれから
今後介護を受ける人口は増え続け、介護を行う人口が減り続ける日本において、
高齢者に寄り添う介護ロボットを開発・定着させていくためには、
メーカーと介護の現場が連携し、本当に必要な物が開発され、
現場に導入されることが求められます。
今あるメーカーと現場、双方の意識のズレが修復されれば、
介護ロボットは今後の介護の現場を助ける切り札になることでしょう。
そして、より良い介護ロボットを開発するためには、
こうすればいいだろう…という開発サイドの想像だけでなく、
終活世代の率直な意見や、
積極的な参加が不可欠ではないでしょうか。
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