【終活】増え続ける高齢者医療費、誰がどのように負担する?

あと7年で団塊の世代が75歳を超え、これにより国民の5人に1人が後期高齢者となります。

医療費や介護、年金にかかるお金がとめどなく膨張していく中、
かつてはたくさんの人で一人の老人を支えた「胴上げ式」の社会保障が、
一人で一人を支える「肩車式」になる、
現役世代には文字通り重荷な将来がすぐ目の前まで来ています。

今後も増大していく高齢者医療費を誰がどのように負担していくのか、
社会保障の見直しが大きな政策課題になっています。
終活世代の方々にとって大切な医療費について見ていきましょう。

歯止めがきかない日本の高齢化

国立社会保障・人口問題研究所のデータによれば、
日本の総人口は減少し続け、2060年には8,674万人まで減ってしまうそうです。
2010年からの50年間で
人口の、約3分の1が減ってしまうということになります。

その上、問題は人口が減っていくことだけに限りません。
総人口のうち、65歳以上の人口は2010年の約23%から、
2060年には約40%にまで増えることが予想されています。

このように、若い人が減り高齢者が増えていくという日本が抱える問題の一つに、
増大する高齢者医療費があります。
社会保障給付費は2030年に今より50兆円増えて、
170兆円に達する
とされていますが、
その中でも医療費の影響は大きく、
特に後期高齢者医療費は約1.5倍の21兆円にまで膨れ上がるとされています。

高齢者はどのくらい医療費を使っている?

財務省の統計によると、70〜79歳の国民1人あたりの医療費は、
年間65万円程度になっています。
80歳以上ともなれば、その医療費は年間100万円に届きそうな勢いです。

しかし個人差はありますので、
この年齢でも病院に滅多に行かないという人もいるとは思いますが、
平均するとこのぐらいの金額がかかってしまいます。

中には闘病生活が長くなったり、
高度な医療を受けなければならない人もいるので、
医療費はこれだけに限りません。
でも、この金額を患者が全て負担するわけではありません。
80歳で最後を迎えた男性の事例をご紹介します。

この方は、亡くなる4年前に受けた手術の経過が悪く、
透析や胃ろうなど様々な医療行為を受けていました。

亡くなるまでの3年半の医療費は7,400万円。
男性の自己負担は約190万円でした。
では、この差額がどこから支払われたかというと、
差額は上記の表にもあるとおり、
現役世代が払っている保険料と公費、
つまり国の負担によってまかなわれている
ということになります。

増える負担に苦しむ現役世代

アベノミクス始動後、
大企業を中心に積極的な賃上げが行われていましたが、
その恩恵をあまり感じることがないという人が多いというのが現状です。

理由のひとつは、増える社会保険料。
有名企業で働く30代女性は、せっかく7,000円の賃上げが行われても健康保険料が3,600円、
厚生年金保険料が7,800円増え、
結局1年前より手取りが1万円ほど減ってしまったと言います。

会社の方針で残業手当が減ったことも理由にありますが、
働く側にしてみれば何のための賃上げだったのか、
首を傾げたくなるような状況です。

また、とある大手企業では単一の健康保険組合を維持していくのは困難と判断し、
自主的に解散しました。
理由は上昇を続ける保険料率です。

08年に施行された高齢者医療制度により高齢者医療費への拠出が膨らみ、
05年度には6.6%だった保険料率は9.5%にまで上がりました。
人間ドッグ補助の削減など組合存続のための努力を重ねましたが、
厳しい運営は変わらず万策尽きた形になりました。

高齢者医療費の4割を支える現役世代。
労働意欲を削がしかねない負担の増加に、企業も労働者も苦しんでいます。

重くなる高齢者の医療費負担

医療費にしめる高齢者医療費の割合は全体の3分の1を超えている一方、
高齢者の医療費の負担率は一部1割と、
現役世代の3割に比べるとかなり抑えられています。

しかし医療費の財源は「社会保険料、公費、患者の自己負担」しかありませんので、
今の日本の少子高齢化や債務だらけの財政を考えると、
今後は高齢者にもある程度の負担をお願いすることも、
仕方がないのかもしれません。

厚生労働省は2017年度から、
高齢者の医療や介護の自己負担額を引き上げる制度改革を行いました。

医療費がかさんだときに、
毎月の患者負担に限度を設けた「高額療養費制度」の限度額の引き上げや、
75歳以上が支払う「後期高齢者医療保険」の保険料も、
一定の所得がある人は現行の5割軽減から2割軽減となり、
2018年にはこの軽減措置自体がなくなってしまう予定です。

未来を見据えた立て直しを…

自分の両親でさえ支えるのは容易なことではないのに、
そのうえ増え続ける日本の高齢者全体を支えなければいけない現役世代。
戦後の日本を支え、身を粉にしてまで今の日本を築き上げたのに、
今では心もとない年金で厳しい生活を強いられる高齢者。

このままでは社会の安定を保つ支え合いは限界に達し、
世代間の断裂
が待っています。

安心の礎になってきた社会保障ですが、
現在この制度が破綻しているのは明らかです。
社会保障制度を根本から作り替えないままでは、
今の現役世代やそれに続く世代はさらに厳しい生活を強いられるでしょう。

答えを見つけるのは簡単なことではないでしょうが、
だれもが安心して年齢を重ねられるよう、
未来を見据えた立て直しを期待したいと思います。

今回のコラムで感じたことは、
高齢者という呼称のイメージの悪さです。
医療費にしても、年金にしても、
まるで高齢者が増えることが原因のようなデータを並べられると不愉快ですね。

高齢者とは、言い換えるとご長寿のこと。
ご長寿が多い社会はいいことではないでしょうか…。
経験豊かなご長寿の皆さん、
負い目を感じる必要は一切ありません。
これまで培ってきた生命力を発揮して、
嫌なデータを一蹴し、しっかりと終活を行って、
最後まで自分らしく生き抜きましょう。

 


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