今の時代に子どもが成人するまでにかかる教育費用はいくらかご存知でしょうか?
小学校から大学まで全て国公立に通ったとしても約800万円と多額です。
家計において大きな支出割合を占める子どもの教育費を祖父母が肩代わりしている
家庭も少なくないと思いますが、その援助方法には注意しなければならないことがあります。
場合によっては、子どもや孫に贈与税の負担をかけてしまうこともあるのです…。
■1500万まで税金がかからない、教育資金贈与の非課税制度
子どもや孫には将来のために、より良い教育を受けさせたい。
そう考える人は多いと思いますが、そこで頭をよぎるのは
「教育資金ってどのくらいかかるの?」だと思います。
例えば小学校から大学まで、全て国公立に通った場合で約800万円。
全て私立に通うと約2200万円(大学では理系に進んだ場合)にも上ります。
これに塾や家庭教師代も上乗せると、思っているより大きな負担になっているのでは
ないでしょうか?
多額の教育費を考えると親世代は祖父母から資金援助に期待をし、
祖父母の方も孫の教育資金になるなら出しても良いと考える人は
いるのではないでしょうか?
そんな中、子どもや孫の世代に資金移転を促す目的で施行された
「教育資金贈与の非課税制度」。
これは通常まとまったお金を子や孫に渡すと税金がかかってきますが、
教育資金に限り1500万円までは非課税で一括贈与できるという制度です。
2013年4月に施行され、19年3月末が期限でしたが21年3月まで延長されました。
使途は学費や習い事など学校等に対して直接支払われるもの以外に、
留学費用や通学定期代など学校以外に対して支払われるものも含まれます。
この制度のメリットはなにより未来を担う人材の育成に資金を有効活用できるところです。
資産を持ったまま亡くなってしまえば、相続税が課税された上で定められたルールに
のっとり親族で分配されることになりますが、
この制度なら孫への教育資金として自分の資産を無駄なく渡すことができるのです。
孫も、祖父母から受け取った教育資金をもとに知識や学歴などを得ることができれば、
それが資産形成や社会活動の基盤となり、将来の可能性を大きく広げることに
つながります。
祖父母にとって自分が援助した資金をもとに孫が大きく飛躍していく姿を見るのは、
とても楽しみなのではないでしょうか。
■デメリットもあるので気をつけて!
しかし、デメリットもあるので注意が必要です。
それは援助を受けた受贈者が30歳になったら原則残高に贈与税がかかってくることです。
例えば30歳までに資金を使い切れず300万円余ってしまった場合、
残高に対してかかる贈与税は20万円になります。
30歳になっていなくても、使い切れそうにないからと違うことに使ってしまった場合も
課税の対象になります。
教育資金目的以外に使用すると贈与税の対象となるので注意しなければなりません。
またこの制度を利用するためには銀行などに専用の口座を開設し、
そこに資金を入れておく必要があります。
金融機関によって手順は異なりますが、
口座から引き出すには領収書や請求書の提出が必須となるため、
まずはいったん親や子が自分の財布から教育資金を支払う必要がでてきます。
後日資金を清算するというこのしくみは、
資金が潤沢でない家庭の場合だと一時的ではありますが負担が大きくのしかかるため、
気をつけなければなりません。
■その都度渡す方が良いケースも…
塾や習い事などにさほど費やす予定がない、
進路先を国公立で考えているといった場合には、
あえて一括贈与の制度を使わずその都度渡した方が有効なこともあります。
「通常の生活に必要な資金」は祖父母から援助を受けても
そもそも贈与税の対象外だからです。
また年間110万円までの贈与であれば、
非課税枠がある暦年贈与でも十分間に合うこともあります。
この方法は使用用途が限定されないうえに、領収書等の提出も必要ありません。
一括贈与や暦年贈与、また都度渡す方法など孫の教育資金を援助する方法は
複数あります。
それぞれのメリットデメリットを理解しつつ、
目的や進む進路を考慮してどの贈与方法が良いのか検討してみると良いでしょう。
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