50歳の時点で一度も結婚したことがない人の割合を示す「生涯未婚率」が右肩上がりに上昇しています。
2015年度の国の調査では男性23%、女性14%となっており、数字だけ見ると50歳まで結婚しない人は、男性で4人に1人、女性は7人に1人という高い割合になっています。
一方で結婚暦のない50代以上が伴侶を求め、婚活に乗り出すケースも増えています。
最近では作家の阿川佐和子さんや、女優の桃井かおりさんが60歳を超えて初婚を迎えたことで話題になりました。
今回はそんな「シニア初婚」が広がる背景を掘り下げていきたいと思います。
50代からの伴侶探し
中高年向け結婚情報サービス「茜会」で知り合い、3週間で入籍するスピード婚に
至ったのはAさん(53)とBさん(48)夫妻です。
技師のAさんの仕事にBさんが興味を持ったことがきっかけで、話が盛り上がったそうです。
職場に女性が少なく縁がないまま50歳を過ぎていたAさんも、神経症に苦しみ人前に出るのが苦手だったBさんも初婚同士。
このまま一生独身かと不安に襲われていたそうですが、伴侶を見つけた今では気持ちが落ち着き、仕事もプライベートも前向きに頑張れるようになったと話します。
子どもを生み育て、家庭を築くことが目的ではないシニアの婚活ですが、中高年向け婚活支援サービス「パートナーエージェント」が50~69歳の独身の男女2000人を対象に行たインターネット調査で、中高年がパートナーを求める理由が見えてきました。
「安心・信頼できるパートナーが欲しい」が67%と最も多く、「人生を充実させたい」「一人では寂しい」が続いています。
つまりシニア世代の婚活は、老後を共に過ごすパートナー探しがメインになっています。
平均寿命が延びたことで、シニア世代の「残りの人生」は長くなりました。
その期間を不安なく楽しみ、充実させていきたいという思いが、シニア初婚が広がりを見せる背景にあるようです。
「生涯未婚率」上昇の原因
50歳まで一度も結婚したことがない割合を示す「生涯未婚率」。
2035年には男性28.95%、女性19.15%まで上昇すると予測されています。
独身を続けてきた理由は人それぞれですが、中でも多いのが老親の介護です。
2年前に茜会で知り合った女性(61)と結婚した、さいたま市在住の男性Cさん(65)は26年間、自宅で病気の母を介護しながら仕事を続けていましたが、その多忙さから結婚を考える余裕もなかったと話します。
8年前に母が他界し、仕事をやめたのをきっかけに婚活を始めました。
東京都の会社員Dさん(58)は、40歳の頃同居する親が相次いで認知症になり、10年以上仕事と介護に追われました。
その間交際した女性はいましたが、親の介護が障害となり結婚までには至りませんでした。
その後両親が他界したMさんは婚活を開始。
52歳の初婚の女性と結婚しました。
親の介護に関する問題は、ひと昔前なら結婚後10年、20年してから夫婦二人で悩む問題でした。
しかし晩婚化が進む現代では、結婚前に1人で抱え込まなければいけないケースが増えています。
それが結婚への足かせになることは少なくなく、生涯未婚率の上昇の原因にもなっているのです。
また理想と現実とのギャップに悩み、結婚までたどり着けないというケースも多いでしょう。
初婚の場合、結婚への憧れが強いせいか年齢や収入、さらには容姿などに厳しい条件を
求める傾向がありますが、理想を追求しすぎると「相手に巡り会えない」と専門家は注意を促します。
シニアの結婚、そのメリット
家族の反対や、介護に相続。さらには今まで培ってきた生活習慣や考え方の違いなど…。
シニアの結婚は若い世代に比べ何かとハードルが多いかもしれません。
しかし若いカップルにはないプラス面がたくさんあるのも事実です。
ここからはシニア世代になって伴侶を得ることのメリットをまとめていきます。
シニア婚がもたらす、豊かな老後
生涯未婚率が上昇していることは「一生結婚しない人が増えている」と捉われがちですが、実際にはシニアの婚活熱は高まっています。
とはいえ、夫婦をつなぎとめる「子ども」というかすがいを持たない前提の夫婦関係を
築いていくことになるシニア婚。
お互いを信頼できる強い絆がないと難しいのも現実です。
しかし、それさえクリアできる素晴らしい相手に巡り合うことができれば、人生第二のステージを豊かに、そして安心して過ごしていけるのではないでしょうか。
これまで中高年から婚活を始めることに、ためらいや気恥ずかしさを感じる人は少なくありませんでしたが、人生100年時代を迎えた今、「老後」を強く意識し共に歩んでいけるパートナーを望むことは、ごく自然なことになっているのです。
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エンディングノートや遺言をつくることだけが終活ではありません。
終活とは成熟した大人がこれからの人生をどのように楽しみ、次の世代に何を託すのかを決める作業です。
何かを決めるということは大変な作業ですが、
それだけにその決断は大切なヒトへのやさしさや愛情になるのではないでしょうか。
リガーズサービスのコラムが、あなたの充実した終活のお役に立てれば幸いです。