【終活】自分らしい遺影づくり

年間130万人が亡くなる多死社会において、死への備えをタブー視する傾向が薄れてきました。
そのため生前の準備として、笑顔の写真や趣味を反映した自分らしい写真を遺影として用意する人が増えてきました。
「遺影=死」のイメージが変わりつつある遺影写真について今回はお話したいと思います。

■「生の証として」

遺影の歴史は、日清日露戦争の戦死者を供養する際に肖像画を飾ったことが起源と言われています。
遺影の写真は、一昔前だと白黒が一般的で固い・冷たい・かしこまったという印象でしたが、近年ではカラー写真が主流で柔らかい・優しい・微笑ましいという印象のものに変化してきています。
遺影の写真を選ぶ際は亡くなった時期に近いものを選ぶことが多いですが、病気や怪我で直近の写真では遺影として好ましくないものもあり、そのため生前に遺影を準備する人が増えてきました。
神奈川県に住む80代の女性は、3年前に亡くなった夫の死をきっかけに遺影を準備しようと考えました。
当時遺影用に夫の写真を探しましたが、慰安旅行の集合写真と免許証の写真しかなく、免許証の写真を合成して遺影にしたところ、遺影を見た孫が「おじいちゃん怖い」と言ったことから「私は優しい笑顔の写真を残したい」と思ったそうです。
遺影に対する印象が変わってきたことは、ビジネスの面でも見えてきました。
東京・巣鴨にある「えがお写真館」は、2014年に開店した遺影専門店です。
オープン当初は「遺影の写真館なんて縁起でもない」と反応はさっぱりでしたが、最近では誕生日や母の日のプレゼントで子どもが連れ立って来店するケースも増えてきているそうです。
「えがお写真館」オーナーの太田さんは、遺影の暗いイメージを払拭しようと、当初は「ベストショット」と呼んでいましたが「今は遺影という言葉を避けずに『自分はこんな人だった』と人柄がわかるような遺影写真を撮ることを心がけていると言います。
「えがお写真館」以外にも、自分らしい生前撮影は各地に広がってきています。
日本写真館協会では、2011年から東京・大阪・福岡などで「明るい遺影写真展」を開催しています。
愛犬を抱えた女性やオートバイにまたがる男性など趣味を反映した遺影写真も多く、中には音楽教師だった男性が指揮をする横長の珍しい写真を遺影にしたところ、教え子から「あの写真をください」と言われたこともあるそうです。
今「遺影は生きていた時の故人を偲ぶもの」と多くの写真家がその人らしさが伝わる写真を撮りたいと願い、
「生の証」として人間味ある写真を提案しています。

■遺影の現状


広島市にある遺影作成を手掛けるアスカネットが2014年に行った調査では、「自分の遺影写真はどんな風にしたいか」という問いに「普段着で笑顔」との回答が56.8%と圧倒的に多く、「好きな場所」「趣味など自分らしく」との回答が続く一方で、昔ながらの「正装で真顔」を好む人は5.1%にとどまりました。
このことから古くからのフォーマルな遺影から、オリジナルなものへの志向が強まっていることがわかります。
しかし、遺影に対する考えが変わりつつも実行に移す人はまだ少ないようです。
経済産業省の生前準備に関する調査(2012年)では、「遺影写真をすでに準備している」と答えた人は60代で2.4%。70歳以上でも7.8%にとどまっています。
「準備すべきだと思うが、準備していない」は60代で53.8%。70歳以上で48.9%と、意識は高まりつつあるもののなかなか踏み出せてない現状が伺えます。

■事前準備の大切さ

遺影の用意がなくて最も困るのが、急病や事故など突然の不幸です。
遺族はアルバムやスマートフォンから良い写真を選ぶ余裕もなく、葬儀会社も遺影だけは用意できません。
しかし、子どもから親に向けて「遺影を準備してほしい」とは言いにくいものです。
生前に遺影を準備することは自分のためであり、家族のためにもなります。

リガーズサービス内にある「ラストフォト」は、生前にお気に入りの写真を選び、正統派・個性派から写真のタイプを選んだのち、気になるシミ・シワや背景など程よい修正を施し、最後にふさわしい遺影写真を制作いたします。
仕上がった写真を大切に保管しておけば、もしもの時ご家族が困ることなく、本人も納得した遺影を飾ることができますね。

遺影は亡くなった後、遺族がずっと見続け語りかけるものになります。
故人が素敵な笑顔で見守り続けてくれることは、とても心の支えになります。
ぜひ、ご家族への想いをのせて遺影つくりにチャレンジしてみてください。

【公式ホームページ】

リガーズサービスのコラムについて
リガーズサービスのコラムでは、医療や福利厚生、
より良いシニアライフの考察に役立つ情報を幅広いジャンルからピックアップして配信します。
エンディングノートや遺言をつくることだけが終活ではありません。
終活とは成熟した大人がこれからの人生をどのように楽しみ、次の世代に何を託すのかを決める作業です。
何かを決めるということは大変な作業ですが、
それだけにその決断は大切なヒトへのやさしさや愛情になるのではないでしょうか。
リガーズサービスのコラムが、あなたの充実した終活のお役に立てれば幸いです。

カテゴリー: 終活 パーマリンク