健康寿命とは、医療や介護に頼らず健康な状態で日常生活を送れる期間のことです。
骨や関節、筋肉などの障害により、体を動かす能力が低下した状態のことを
「ロコモティブ・シンドローム」(通称ロコモ)といいますが、
このロコモが健康寿命を引き下げる大きな要因になっています。
今このロコモを予防し、健康寿命を延ばす対策が注目を集めています。
健やかに、そして穏やかに日々を過ごすことも終活の大きな課題です。
進行すると、要介護や寝たきりになるリスクを高めてしまうロコモにならないために、
どんなことが大切なのでしょうか?
ロコモは要支援・要介護の大きな要因
日本人の平均寿命は年々伸びていますが、
健康な状態で日常生活を送れる健康寿命は、
男性で約9年、女性で約13年の差があります。
つまり寿命を全うするまでに、この数年を要支援や要介護の状態で過ごす方が多いということです。
厚生労働省が実施している「国民生活基礎調査」を見てみると、
その主な原因に脳卒中などの脳血管疾患、
認知症、高齢による衰弱などが挙げられますが、
実は骨折・転倒、関節疾患などの運動器疾患が
全体の23%を占めています。
実に5人に1人が、運動機能に低下をきたした状態
「ロコモ」により要介護状態になってしまうのです。
いつまでも自分の足で歩き続け、
最後まで元気に生活していくためには、
ロコモを予防し健康寿命を延ばすことが大切なようです。
ロコモは何歳くらいからはじまる?
ロコモは予備軍を含め国内に約5千万人いるとされ、
その8割が40代以上という結果が報告されています。
骨や筋肉は男女ともに40歳を過ぎた頃から衰え始め、
50歳を過ぎると急激に低下します。
さらに女性の場合、閉経によってホルモンの分泌が減少すると、
骨粗鬆症になりやすいため注意が必要です。
早く気付けば病院を受診するなどして、
その進行を止められる可能性があるロコモ。
「少し痛むけど休めば治る」「最近、歩く速度が少し遅くなったかな?」など、
普段の生活の中で感じることがあれば、
まだ若いから…と過信せず、早めのチェックとトレーニングでロコモを予防しましょう。
食事でもロコモ対策!
足腰の筋肉のために、しっかり動いたあとはしっかりした栄養を摂りましょう。
そこで、積極的に摂りたい栄養素がタンパク質です。
タンパク質は筋肉のもととなる栄養素なので、
ロコモ予防のためには必要不可欠な栄養素ですが、
一般的に高齢になると野菜を中心とした食生活に偏りがちになり、
摂取量は減少傾向にあります。
こちらの問題については、同コラム記事「増える高齢者の栄養失調」でも紹介しています。
だからこそ普段から意識して、
肉、魚、卵、乳製品、大豆製品などの良質なタンパク質をとることが大切です。
たとえば、干物や焼き魚、納豆、豆腐と油揚げのみそ汁、
温泉卵、高野豆腐や厚揚げの煮物など…。
「あれ?どこかで見たことあるな」と思われた方もいるかもしれませんが、
実は旅館でよくある朝食メニューなんです。
タンパク質と言われても、何をどう食べたらいいのか分からないという人にも、
これならイメージしやすいかもしれませんね。
生き生きとした老後のために
ロコモは高齢社会が進む日本の重大な問題になりつつありますが、
その知名度は46.8%(2017年「運動器の10年・日本協会」調べ)と、まだ低いのが現状です。
特に若い世代での認知度が低く、その重要性はあまり認識されていません。
骨や筋肉量のピークは20代〜30代。
適度な運動や適切な栄養を摂ることで強く丈夫に維持されますが、
それを怠ると40代、50代で身体の衰えを感じやすくなり、
60代以降は思うように身体を動かせなくなってしまいます。
元気なうちからロコモ予防に取り組み、
早期発見、早期治療を心がけることが運動器の健康を維持するために大事なことです。
しっかりとしたロコモ対策で健康寿命を伸ばし、生き生きとした老後を過ごすことこそ、充実した終活と言えます。
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