【終活】自分の最期を望むかたちで迎えるための準備

あなたは、自身の最期をどのように迎えたいか考えたことはありますか?

近年、治療効果が見込めない終末期の患者が、治療方針について自分で判断ができなくなった場合に備えて、延命治療を望まないという意思を、事前に書面で残しておく取り組みが広がっています。

この書面を、リビングウィル事前指示書等と呼びます。

リビングウィルとは「生前の意思」といった意味の言葉です。

自然死(尊厳死)を望む場合に、かかりつけ医や家族らと事前に話し合い、患者自身の意思で延命治療を拒むことを書面に明記をすることで、心肺停止時に延命治療を受けないというものです。

しかし、現状はリビングウィルに延命処置を望まない意思を残していても、心肺停止した時、本人の意思に反して救急搬送されるという件が数多くあります。

これはなぜ起こるのでしょう?

患者の尊厳と救急救命の現状

終末期患者の救急搬送を巡っては、平成25年度の調査で、一定経験を持つ救急隊員295人中16%に当たる47人が、「心肺蘇生を望まない本人の意思表示書面を提示されたことがある」と回答しています。

しかし、総務省消防庁の基準で、患者の生命に危険がある場合は蘇生処置を行うことが原則とされています。

救急の原則か、蘇生を望まない患者の意思の尊重かで、救急の現場では対応に苦慮しています。

救急隊員による蘇生処置の中止は、国からの判断基準が示されておらず、各地域の消防本部は独自の運用を続けざるを得ないことも、患者本人の意思に反する場合の理由と言えるでしょう。

望まない蘇生の中止を学会が発表

この現状を受けて、各地の消防本部や救急隊員、医師らでつくる「日本臨床救急医学会」が提言を発表しました。

心肺停止後の蘇生処置を望まないことを事前に書面で残している場合、かかりつけ医に是非を直接確認した上で、指示を受ければ蘇生処置を中止できるというものです。

提言によると、患者が心肺蘇生を希望していない場合、家族は119番通報をしないことが望ましいとされています。

しかし、容体の急変に慌てて救急車を呼んでしまうことがあります。
こうしたケースでは現場に駆けつけた救急隊員は、家族などから蘇生処置を希望しないとの書面の提示を受けたとしても、心肺蘇生を始めるべきとしています。

その上で、かかりつけ医と連絡を取り、中止を指示されれば本人の意思を尊重して心肺蘇生を中止します。

かかりつけ医と連絡が取れない場合には、日常の救急業務で相談をしている医師を代役として指示を求めるようになります。

この提言に法的な拘束力はありませんが、提言を参考に、地域の消防、医師会などが集まってルール作りを進めていくことが今後必要とされています。

もしもの時のために私たちにできること

終末期の患者が自らの意思を残すことは、リビングウィル以外に、ディグニティセラピーの観点からも注目されています。

「ディグニティセラピー」とは、終末期の患者のその人らしさを維持することを目的とした精神療法法的アプローチのひとつです。
「人生の中で最も思い出深い出来事」や「大切な人に伝えておきたいこと」など、患者の気持ちを手紙やメッセージというかたちで残します。

また、患者がどんなこと人生をどのように捉え、何を考え伝えたかったのか、手紙やメッセージによって明確にされることで、「故人は幸せだったのか」「悔いや心残りは無いか」と悩む苦しみを少なくし、残された方々の心の支えとなります。

そのためにも、患者自身の意思を目に見える形で残すことが大切です。

患者自身が望む最期を迎えるためにも、どのように処置をして欲しいのか家族や医師と相談をして、周囲の人間に意思を統一することが必要です。

また、周囲の人間は、リビングウィルの有無の確認や、蘇生処置をしない場合は救急車を呼ばないなど、もしもの時の段取りを事前に考えておくことが大切です。

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かつて終末期についてはタブー視されていましたが、現在では必ず訪れるものと前向きに準備する機運が高まっています。

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終末期の患者の看取りに関する問題は、患者本人やその家族だけのものではありません。

医療関係者や介護・福祉施設関係者、地域住人など、社会全体で考えていくことが一層必要とされるでしょう。

 


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エンディングノートや遺言をつくることだけが終活ではありません、終活とは成熟した大人がこれからの人生をどのように楽しみ、次の世代に何を託すのかを決める作業です。

何かを決めるということは大変な作業ですが、それだけにその決断は大切なヒトへのやさしさや愛情になるのではないでしょうか。

リガーズサービスのコラムが、あなたの充実した終活のお役に立てれば幸いです。

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